「上場=正解」ではない? 売上7760億円でも“非上場”の「アイリスオーヤマ」が最優先に考えることとは
本記事では、アイリスオーヤマが上場していない理由や、上場のメリット・デメリットを確認していきましょう。
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アイリスオーヤマとは?
アイリスオーヤマは、プラスチック製収納用品などの家庭日用品をはじめ、近年ではLED照明や調理家電、オフィス家具、さらにはペット用品など、幅広い分野の商品を手がける総合メーカーです。特にリーズナブルで消費者目線の商品開発には定評があります。
同社のグループ全体の売上高は、2024年度予想で7760億円に達しており、これは上場している大手企業にも引けを取らない規模です。さらに、韓国・中国・アメリカ・オランダなど海外拠点を展開し、グローバル市場での存在感も高まりつつあります。
それだけの業績や事業規模がありながら、意外にも株式は上場していません。これは日本の大企業の中でも非常に珍しいケースといえるでしょう。
なぜアイリスオーヤマは上場していないの?
アイリスオーヤマが上場していない最大の理由は、創業者の経営理念にあります。創業者であり現在は会長を務める大山健太郎氏は、「社員を幸せにすること」を最優先に考えています。そのため、株式を上場して創業者利益を得ることよりも、非上場のまま自由で柔軟な経営を続けることに価値を見いだしているのです。
上場すると、株主や投資家からの要望に応える必要が生じ、どうしても短期的な利益や成長を重視せざるを得なくなります。
しかし、アイリスオーヤマは、成長よりも利益、つまり着実な収益を重ねる堅実な経営を大切にしており、これが長期的な企業の安定につながると考えています。外部の意見に左右されないことで、同社は創業以来一貫した方針で経営を進めているのです。
また、上場企業には、四半期ごとの業績発表や情報開示義務といった負担があります。非上場であればそうした義務に縛られず、より長期的な視点で経営判断を下すことが可能です。アイリスオーヤマでは、設備投資のタイミングや生産体制の変更も、自社の判断で柔軟に進めてきました。
このように同社は、経営の自由度と一貫性、そして長期的な安定を重視する姿勢を背景に、あえて非上場を選択しているのです。
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上場のメリット・デメリットとは?
企業が株式を上場する最大のメリットは、大規模な資金調達が可能になる点です。新規事業の立ち上げや設備投資、海外進出などを加速させるうえで、株式市場からの資金は大きな力になります。
さらに、上場によって企業の知名度や信用力が高まり、銀行との取引や顧客からの信頼にも良い影響を与えます。企業ブランドが強化されることで、優秀な人材を採用しやすくなるのも利点の1つです。
一方、上場にはデメリットもあります。最も大きいのは、経営の自由度が制限される点です。株主の意向に配慮する必要があり、短期的な業績へのプレッシャーが強まる傾向があります。
その結果、長期的な戦略よりも目先の利益が優先されやすくなることがあります。また、上場企業は決算の開示やガバナンス強化といった法的義務を負うため、コストや事務負担が増える点も見逃せません。
このように、上場には成長や信用向上といったメリットがある一方で、経営の柔軟性や負担面でのデメリットもあります。企業にとって上場は、単なる手段ではなく、経営戦略として慎重に検討すべき選択肢といえるでしょう。
まとめ
グループ売上高7760億円を誇るアイリスオーヤマが上場していない理由は、明確な経営戦略によるものです。創業家の哲学に基づき、迅速な意思決定と独自性を守るために、あえて非上場を選んでいるのです。
上場には確かに多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。その中で、非上場という道を選びながらも成長を続けているアイリスオーヤマの姿勢は、ほかの企業にとっても1つのヒントとなるのではないでしょうか。
今後も変化の激しい市場の中で、上場か非上場かという選択が、企業の経営方針や持続可能性に与える影響について注目が集まりそうです。
出典
アイリスオーヤマ株式会社 アイリスオーヤマの強み
アイリスオーヤマ株式会社 アイリスグループ2024年度決算速報
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
