「もうS&P500だけでよくないですか?」NISA人気で“集中投資”するのは危険? リスクと「資産形成のポイント」をFPが解説
本記事では、S&P500の人気の理由、集中投資のリスク、そして賢く活用するためのポイントを解説します。
FP2級、WEBライター検定3級、情報処理安全確保支援士、ネットワークスペシャリスト
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S&P500とは?
S&P500とは、アメリカの代表的な株価指数で、ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場する主要500社の時価総額から算出されています。
構成銘柄には、アップルやマイクロソフト、アマゾンといった世界的企業も含まれており、米国経済の動きを反映する世界の景気のバロメーターとも言える存在です。S&P500がNISA投資家から高く支持される理由は、大きく3つあります。
第一に、過去数十年にわたり堅調な成長を続けてきた点です。米国株式市場は世界経済の中心であり、イノベーションを生み出し続ける力を持っています。
第二に、500銘柄への分散効果がある点です。個別株を選ぶ必要がなく、幅広い業種に自動的に投資していることになるため、初心者でも安心感があります。
第三に、投資信託やETFを通じて低コストで投資できる点です。特にS&P500に連動したインデックスファンドは手数料が安いものが多く、長期投資との相性が良いとされています。
S&P500だけに集中投資、本当に大丈夫?
人気の高さから、「NISAで投資するのは、S&P500に連動した投資信託一本で良いのでは?」と考える人が増えているようです。S&P500に投資する最大のメリットは、成長性とシンプルさです。過去のデータを見ても、長期的には平均して年率10%程度のリターンが期待できるとされ、複利の効果によって資産形成を着実に進めることができます。
また、米国という世界最大の経済大国に投資できること自体が安心材料、と捉えられる面もあります。
しかし、投資先がそれだけで十分かどうかは別の問題です。確かにS&P500は魅力的ではあるものの、投資に「絶対」はありません。あらゆる事態に対応できる万能の投資先というものはないのです。
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S&P500だけに集中投資するデメリットとは
S&P500に関連した投資商品だけに資産を集中させると、いくつかのリスクを抱えることになります。まず考えられるのは為替リスクです。日本円で生活する日本人にとって、米ドル建ての資産は為替の影響を大きく受けます。円高になると、株価が上がっても円換算で利益が減ることもあります。
次に、米国市場依存のリスクです。米国が世界経済の中心とは言え、景気後退や金融危機の際には株価が大きく下落する可能性があります。実際、リーマンショックやコロナショックでは短期間に大幅な下落をしています。
また、指数全体に分散投資しているとは言え、投資対象が米国経済に偏っていることには変わりありません。S&P500の構成銘柄はハイテク企業が上位を占めるため、特定の業種に依存しているとも言えます。こうした点から、S&P500だけに限定することは、集中投資のリスクがあると言えるでしょう。
S&P500投資をどう活かす?
それでは、S&P500への投資は避けるべきなのでしょうか。答えは「いいえ」です。むしろ、S&P500は長期投資の核として非常に有効な選択肢です。ただし、ほかの資産や地域と組み合わせて投資の分散を図ることが大切です。それにより、安定した資産形成が可能になります。
例えば、日本株や新興国株、債券、REIT(不動産投資信託)などを組み合わせれば、米国一国に依存しないポートフォリオを構築できます。また、投資は短期的な上下動に一喜一憂せず、10年、20年といった長期視点を持つことが重要です。S&P500を中心に据えつつ、分散投資を意識することが、資産形成のカギとなります。
まとめ
S&P500は、NISA投資家にとって魅力的な選択肢であり、長期的な成長が期待できる強力な投資先です。しかし、それだけに集中してしまうと、為替や米国市場への依存といったリスクを抱えることになります。
大切なのは「S&P500は優秀だが万能ではない」という認識を持つことです。自分のリスク許容度や投資目的に合わせて、分散と長期視点を取り入れながら活用することが、資産形成を安定させる最良の方法と言えるでしょう。
執筆者 : 金田サトシ
FP2級、WEBライター検定3級、情報処理安全確保支援士、ネットワークスペシャリスト
