40年以上「伊藤忠商事」で働いた女性社員、退職時に“保有株10万株超”で「時価8億円」に!? 配当収入だけで「年2000万円」…“ジャパニーズ・ドリーム”を実現できたワケとは

配信日: 2025.10.16
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40年以上「伊藤忠商事」で働いた女性社員、退職時に“保有株10万株超”で「時価8億円」に!? 配当収入だけで「年2000万円」…“ジャパニーズ・ドリーム”を実現できたワケとは
「普通の会社員が富裕層になるなんて、無理な話」と思われがちな現代。インフレ環境となっても給料は思うように上がらず、少子高齢化の影響もあって、将来への不安ばかりが高まる時代ですが、日本を代表する総合商社「伊藤忠商事」が先日公開した一通のレポートが、大きな話題を呼びました。
 
一部の天才的な投資家や経営者ではなく、一人の会社員が起こした「ジャパニーズ・ドリーム」をご存じでしょうか。
山田圭佑

FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

伊藤忠商事の2025年9月「総合レポート」内に書かれたエピソードとは

話題となったのは、伊藤忠商事が2025年9月に公開した「統合レポート」の中にある、岡藤正広CEOのメッセージです。岡藤CEOは株主への感謝と共に、こんなエピソードを披露しました。
 

“ある女性社員が定年退職のあいさつに来てくれました。彼女は短期大学を卒業後、1970年代半ばに伊藤忠商事に入社し、40年以上にわたり、繊維カンパニーの事務業務を務め上げてきました。その間、長年コツコツと当社株式を積み立てていたそうです。(中略)話を聞いて驚いたのは退職時の保有株式数。なんと10万株を超えるまでに至ったとのことで、時価にして約8億円、配当収入だけでも年間2000万円に達します。(中略)その時、私はふと気づきました。これも「ジャパニーズ・ドリーム」と呼ぶにふさわしい物語なのではないかと。”

 
日本において資産総額8億円というと、「超富裕層(純金融資産5億円超)」にカテゴライズされます。野村総合研究所の調べによれば、これは日本全体の世帯で上位0.2%程度(11.8万世帯)となり、一人の会社員が株式投資を長年続けたことでこのランクに入れたという事実は、多くの投資家にとって励みになるのではないでしょうか。
 
しかも、今回話題となった女性社員は「勤務先の会社の株式を、長期にわたって積立投資していただけ」で、この偉業とも言える投資成果をあげられたのです。このエピソードには、投資家の心がけとして教訓になるエッセンスが詰まっているように、筆者には思えました。
 

「長期」「集中」「低コスト」で投資をした結果の「資産総額8億円」

一般に、長期投資を通じて資産を形成する際に心がけるべき要素は「長期」「分散」「低コスト」であると言われています。それぞれの言葉の意味は、以下のようになります。
 
・長期
最低でも10年以上の積立投資を行うように心がける。
 
・分散
1つの会社や業界に集中投資をせず、さまざまな業界に投資をする。特定の国の企業だけに投資をしないことや、株式だけでなく債権や資源などにも投資することも、リスクの「分散」になる。
 
・低コスト
投資商品を購入するときは、購入時手数料や信託報酬などのコストが高いものを避ける。
 
上記の3要素で分析すると、今回話題となった伊藤忠商事を定年退職した「超富裕層」の女性は
 

「長期」:40年以上、コツコツ積立投資をした。
「集中」:「伊藤忠商事」という企業の株式にフルベットした。
「低コスト」:「個別株」を購入する際の手数料は極めて安い。

 
の投資を実践したことで、巨額の資産を築くことができたと言えそうです。
 
この女性は、長期投資の基本となる3要素のうち、「分散」を「集中」に切り替えてリスクを背負い、また、伊藤忠商事が「株価200円時代」の業績低迷時期から脱して成長軌道に乗り、株価が高騰(2025年3月時点で7000円台)したところで退職できたという幸運が相まって、「超富裕層」への仲間入りを果たすことができました。
 
仮に、この女性が「伊藤忠商事」への集中投資をせず、「日経平均」や「S&P500」などの株式指数や、最近流行の「全世界株式」のようなインデックス投資信託へ積立投資をしていれば、「資産8億円」は達成できていなかったのではないでしょうか。
 
もちろん、伊藤忠商事の株価が今も低迷していたままであれば、彼女の資産額は圧倒的に少ないものにとどまっていたでしょうし、最悪の場合は伊藤忠商事が倒産して、「積立投資した資金がゼロ」になっていてもおかしくありませんでした。
 
このような想定されるリスクを飲み込んでも、惑わされず自分の所属する企業の株式を書い続けたという信念が、彼女に巨額の利益をもたらしたのです。
 
では、これから投資を通じて資産形成をしていきたい人は、彼女の「ジャパニーズ・ドリーム」をまねするべきでしょうか。
 
答えは人それぞれですが、「中立なファイナンシャル・プランナー」を自称する筆者としては、やはり「長期」「分散」「低コスト」の投資をおすすめしたいところです。
 

まとめ

伊藤忠商事が2025年9月に公開した「統合レポート」の中で、定年退職した女性社員が伊藤忠商事の株式への「長期」「集中」「低コスト」投資によって、約8億円もの資産形成ができたと伝えられ、話題になりました。
 
これは、本人が資産形成の基本である「長期」「低コスト」投資を実践したことに加え、自社の実力を信じる強い意志を持って「集中的に」伊藤忠商事の株式を長年買い続けたこと、さらに、株価低迷の時期を乗り越えて伊藤忠商事が復活したという幸運が重なった結果であると言えるでしょう。
 

出典

伊藤忠商事株式会社 統合レポート2025(オンライン版)CEOメッセージ
株式会社野村総合研究所 ニュースリリース 2025/02/13
 
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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