定期預金に「100万円」を預けても、利息は1年で“4500円足らず”!? 投資で「年3%」で運用すれば、どれだけ増えますか? 使い分けのポイントも確認【FP解説】
本記事では金利が低い理由や投資信託・株式投資との利回り差、預金や投資のリターンを比較しながら、資産運用の考え方を分かりやすく解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
100万円を1年預けても利息はたったの約4000円? 定期預金の仕組みを確認
現在、日本の銀行の定期預金金利は年0.25%~0.7%ほどが一般的です。
イオン銀行の定期預金の金利を例にすると、年0.22%~0.71%(2025年10月1日時点)にとどまります。
100万円を金利0.45%で1年間預けた場合、利息は次の通りです。
100万円×0.45%=4500円
税引前の利息は4500円です。つまり、この金額から税金が引かれるため、手元に残る金額はさらに減ってしまいます。
利息にも税金がかかる? 20.315%の税金でさらに減る受取額
預金から受け取る利息には、源泉分離課税として20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)がかけられます。
先ほどの例で計算すると、4500円の利息に対して約914円の税金が差し引かれ、手取りは約3586円となります。
つまり、100万円を1年間預けても、受け取れる利息は4000円を切るのが現状です。
日本の物価変動を示す総務省統計局の消費者物価指数の2025年8月の指標を例に取ると、日用品などを含む総合指数は2024年8月比で2.7%の上昇、2020年を100として比較しても112.1(12.1%の上昇)となっています。
インフレで物価が1年間で数%以上も上がっている今、同じ100万円でも購入できる物品の量は減少しています。これは、お金の価値が下がっていると考えられ、あなたの大切な資産が実質的に目減りしているのです。
投資信託や株式投資ならどれくらい増える? リスクとリターンを比較
投資信託や株式投資に目を向けてみると、どれくらい資産が増える見込みがあるのでしょうか。
投資信託の過去の平均リターンは年3~10%程度とされています。100万円を年3%で1年間運用すると、税引き前の利益は3万円になります。前章で試算した定期預金金利と比べ、約6.7倍の差が生じる計算です。
ただし、投資で得た利益にも預金金利と同じく20.315%の税金が課されます。また、投資には「元本割れリスク」が存在します。世界情勢の変化によって利益も損失も出るため、短期で大きな結果を求めすぎると損をする可能性もあり、購入時には十分な注意が必要です。
一方、時間を味方にする長期・分散投資を行えば、リスクを抑えながら安定的なリターンを期待できるとされています。
例えば、100万円で投資信託を購入し年3%で10年間運用した場合、最終的な評価額は134万3916円になります。利益の34万3916円に対して20.315%の税金をかけると、税額は6万9867円です。手元に残る利益は27万4049円となり、預金金利よりも大きな金額を手にすることができます。
預金も「安全資産」として大切、投資と預金をどう使い分けるのが良いか?
ここまでのシミュレーション結果を見ると、金利の低さから「投資だけ」にすべきと判断する人は多いかもしれませんが、それは早計かもしれません。投資には元本割れのリスクがありますが、預金には預金保険制度があるからです。
これは1金融機関につき、金利のつく普通預金や定期預金が元本1000万円まで保護されるとともに、決済用預金である当座預金や利息の付かない普通預金は全額保護される制度です。万一に備え、いつでも現金を引き出せる預金はある程度確保しておくと安心です。
一方、余裕資金や長期的に使う予定のないお金は、少額からでも投資を検討しましょう。NISA(少額投資非課税制度)を利用すれば、投資の利益に対する税金を非課税にすることができます。
リスクを分散しながら資産を増やす仕組みを持つことが、これからの時代の資産管理と運用のスタンダードとなるでしょう。
低金利時代の資産運用は「預けるだけ」から「増やす」へ
100万円を定期預金に預けても、1年後に手元に残るのはわずか数千円です。預金は安全で確実な手段といえますが、預金金利以上の物価上昇が続いている現代では、資産を守るだけではなく投資することで積極的に増やす視点も大切になります。
預金と投資、どちらか一方ではなく、目的に応じて使い分けることがポイントです。短期資金は預金で守り、長期資金は投資で増やすことを検討しましょう。このようにバランスの取れた資産運用こそ、これからの生活防衛術といえるでしょう。
出典
総務省統計局 2020年基準 消費者物価指数 全国(最新の月次結果の概要)
金融庁 預金保険制度
執筆者 : 上嶋勝也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
