【35年連続増配】花王に「100万円を放置」してたら、35年でいくらになってた?“値上がり益”と“配当再投資”の複利効果を検証!
長年、安定した業績と株主還元を続ける花王だからこそ見える、資産成長の実例です。本記事では、株価の値上がり益だけでなく、配当金すべてを再投資した「複利効果」に注目し、長期投資の力を検証します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
35年途切れなかった花王の増配実績
花王は1989年から一度も減配せず、毎年配当を増やし続けています。1989年の1株配当は7.1円でした。そこから、図表1のとおり、2024年度には152円まで上昇し、35年間で実に21倍に拡大しました。
図表1
花王株式会社 花王の株主になるメリット
この間、バブル崩壊やリーマンショック、コロナ禍などいくつもの経済的ショックがありましたが、花王は安定的に利益を出し、増配を継続してきました。さらに、2025年12月期の配当予想では、前年から2円増の「1株あたり154円」と発表しています。これが実現すれば36期連続の増配となります。
花王はなぜ35年も増配を続けられたのか?
花王が長期にわたり増配を続けられたのは、景気に左右されにくい「生活に身近な商品中心の事業構造」と、高いブランド力による安定した収益基盤があるためです。
代表的な製品には、食器用洗剤のキュキュット、衣料用洗剤のアタック、スキンケアブランドのニベア、入浴剤のバブ、ボディケアのビオレ、消臭スプレーのリセッシュ、制汗スプレーの8ⅹ4など、誰もが一度は目にしたり使ったりしたことのある製品が並びます。
花王株式会社の2024年12月期連結決算の概要によれば、図表2のとおり、ハイジーン&リビングケア事業(衣料用洗剤・台所用洗剤・紙おむつなど)が売上全体の33.5%、ヘルス&ビューティケア事業(スキンケア・ヘアケア・オーラルケア製品など)が26.0%、化粧品事業が15.0%を占めています。
図表2
花王株式会社 2024年12月期連結決算の概要
これら3つの事業だけで全体の約74%を構成しており、花王の主力は一般消費者向けの製品群です。こうした生活に身近な商品を中心とした事業が、花王の安定した収益を支える土台になっています。
35年前に100万円投資していたらいくら?
1989年の花王の株価は、1株あたり約1500円でした。つまり、当時100万円を投資した場合、約666株を保有できた計算になります。その後、花王の株価は長期的に上昇し、2025年10月9日時点では6300円前後で推移しています。投資結果を整理すると以下のとおりです。
・投資額:100万円
・取得株数:約666株
・現在株価:約6300円
・評価額:約420万円(約4.2倍)
・値上がり益:約320万円
つまり、単純な値上がり益だけでも、投資額の100万円は約420万円となり、約4.2倍に増えた計算です。
配当再投資と複利が資産を5倍にする理由
花王の株価は長期的に上昇してきましたが、資産をさらに大きく増やすコツは配当の再投資と複利効果にあります。花王は35期連続で増配を続けており、2024年度の年間配当は1株152円です。1989年当時の7.1円と比べると、およそ21倍に増加しています。
もしこの配当金を毎年そのまま再投資していた場合、
・配当で追加の株を購入
・翌年は株数が増えた分だけ配当も増える
・その配当をさらに再投資して株数を増やす
という雪だるま式の成長サイクルが、35年間続いたことになります。例えば、花王の過去15年間の配当利回りは図表3のとおりで、これを平均すると約2.0%です。
図表3
IR BANK 4452 花王 | 配当金の推移
配当が安定しているうえ、株価も1990年の約1500円から6300円前後まで4倍以上に上昇しており、長期的に見て堅実な成長を遂げてきたことが分かります。
この実績をもとに、配当利回り2.0%、株価上昇率年5%で試算すると、配当再投資による元本の増加は約1.8倍、それに株価上昇分約4.2倍を組み合わせると、100万円が500万円以上に成長する可能性があります。
つまり、株価上昇と配当再投資という2つの成長の柱が、長期的な資産形成を力強く支えるのです。
「放置」が最強の戦略になることもある
花王のような安定した企業に長期投資し、配当を再投資しながらじっくり持ち続けることは、派手さはないものの、堅実な資産づくりの方法と言えます。短期の値動きに振り回されず、長く保有するほど複利の力が働き、リターンは安定していきます。
花王の35年連続増配という実績は、まさに「時間を味方につける投資」の好例でしょう。将来の資産形成を考えるうえでも、長期・放置・再投資というシンプルな考え方を意識しておくことが、結果的に大きな差につながるかもしれません。
出典
花王株式会社 花王の株主になるメリット
花王株式会社 2024年12月期 連結決算の概要
IR BANK 4452 花王 | 配当金の推移
執筆者 : 諸岡拓也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士



