RIZAPの「優待利回り」は、本当に“30%”超え!? 本当にそんなにお得なの?“超高利回り”のカラクリとは
付与ポイントはRIZAPやchocoZAPなどグループ店舗で利用でき、美容・健康志向の人から人気を集めているようです。
本記事では、この高利回りの仕組みと注意点を解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
RIZAPの株主優待制度の概要
RIZAPグループの株主優待は、chocoZAP(チョコザップ)の利用割引を中心とした内容です。ジムをお得に使える特典に加え、自社グループ製品、優待で付与されたポイントで購入できる優待パンフレットも用意されています。
chocoZAPの利用割引以外の優待には「優待券」と「優待ポイント」の2種類があります。優待券はグループ店舗やECサイトで使える割引券で、chocoZAPなどの関連サービスで利用可能です。一方の優待ポイントは、株主専用サイトで健康食品や美容商品、アパレル、ジム関連グッズなどと交換できます。市販価格より高還元な商品が多い点も特徴です。
なぜ「利回り30%」という高水準になるのか
RIZAPグループの優待利回りが突出して高く見えるのは、株価が低水準にあるうえ、配当金を出さず優待に全振りしているためです。2025年10月時点で100株あたり約2万円前後と手頃な価格です。100株以上の保有で、優待によりchocoZAPの利用料月額2980円(税込3278円)が6ヶ月間半額になるため、合計で約9800円分の割引が受けられます。
投資額に対する優待価値を考えると、利回りは30%どころか約49%に達します。chocoZAPの利用が前提とは言え、お得感の高い優待と言えるでしょう。
ただし、これはあくまで優待を現金換算した場合の数値です。RIZAPはこの制度を、株主への還元にとどまらず、自社商品の認知拡大やブランド価値の向上にもつなげていると考えられます。株主と企業の距離を近づける取り組みとしての側面もあるでしょう。つまり、利回りの高さだけでお得と判断するのは早計です。
優待がお得かは「自分の生活に合うか」で決まる
RIZAPグループの株主優待は、実質的にchocoZAPの利用を前提とした内容です。図表1のとおり、保有株数に応じてchocoZAPの利用料割引などが設定されています。
図表1
RIZAPグループ株式会社 第22期期末株主優待のご案内
chocoZAPは、トレーニングマシンだけでなく、セルフエステ・セルフ脱毛・セルフホワイトニング・セルフネイルのほか、一部店舗ではゴルフやランドリー、カラオケ、ワークスペースなども利用できます。
さらに、新宿店では年1回の人間ドックまで受けられます。こうした多彩な設備を活用したい人にとって、RIZAPグループ株の優待は特に魅力的と言えます。
一方で、普段からジムを利用しない人や、健康食品・美容グッズをあまり購入しない人にとっては恩恵が小さく感じられる場合もあります。日常的に運動や健康管理をしている人ほど、株主優待を利用してRIZAPやchocoZAPの商品に置き換えることで出費を抑えやすく、優待の実質的な価値を感じやすい内容です。
さらに、RIZAPグループは配当を出していないため、優待と合わせて株価の値上がり益を狙う長期保有型の投資スタイルが前提です。自分の生活スタイルと照らし合わせ、無理のない範囲で活用を検討することが重要です。
優待をお得に活かすための考え方
RIZAPグループの株主優待は、うまく使えば実質的なリターンを高められる制度です。特にジム通いの習慣があったり、健康食品や美容関連グッズを日常的に購入している人なら、実用的な節約効果が期待できます。ただし、あくまで「使う前提の価値」であり、株価変動リスクを伴う投資であることを忘れてはいけません。
優待目的で株を購入する際は、自分の生活に合った商品かを見極め、「使える優待=実質利回り」として考えることが大切です。数字の高さだけにとらわれず、制度の背景や仕組みを理解したうえで、無理のない範囲で賢く家計に活かしましょう。
出典
RIZAPグループ株式会社 第22期期末株主優待のご案内
執筆者 : 諸岡拓也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

