50歳で“貯金1500万円”…60歳までになんとか「老後2000万円問題」をクリアしたいです。NISAに“1500万円を年利3%”で積み立てたら10年で達成できますか?
その不安を少しでも解消するために、貯金を取り崩しNISAに積み立てて資産を運用しようと考えている人もいるかもしれません。本記事では、老後2000万円問題の概要や、1500万円を10年間積み立てた場合どのくらい資金が用意できるのか解説します。
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目次
そもそも「老後2000万円問題」とは?
老後2000万円問題とは、2019年6月3日に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ報告書 高齢社会における資産形成・管理」にて提示された問題です。65歳からの20年で約1300万円、30年で約2000万円の金融資産取り崩しが必要になることを指し、一般的に「老後2000万円問題」といわれています。
2000万円という数値は、2017年の高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)における毎月の実収入と実支出の差額である約5万円を不足額として算出した値です。
ただし、この金額は平均の不足額から算出したものであるため、不足額はおのおのの収入・支出の状況やライフスタイルなどによって大きく異なります。
現在の水準では「老後2000万円問題」はどうなっている?
前記のように、2000万円という数値は2017年の高齢夫婦無職世帯における収入と支出の差を元に算出された値です。つまり、収入と支出の差によっては「老後2000万円問題」の値が変動する可能性があります。
総務省統計局が公開している「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支は、可処分所得22万2462円に対し消費支出25万6521円です。
つまり、毎月3万4059円不足する計算となるため、老後30年間では3万4059円×12ヶ月×30年=1226万1240円が不足する可能性があります。以上から、2024年時点の水準では「老後1200万円問題」になっていると予測できます。
1500万円を“年利3%”で「NISA」に積み立てたら「老後2000万円問題」はクリアできる?
1500万円を10年間NISAに積み立てた場合、どのくらい老後資金を用意できるのか、金融庁が運営する「つみたてシミュレーター」で試算してみましょう。
1500万円の貯金を原資として、10年間均等割りで分割投資する場合、月の積立額は12万5000円です。10年間毎月12万5000円をNISAへ積み立てた場合、年利1%では1577万円、3%では1743万円、5%では1930万円の運用資産額となりました。
月15万円の積み立てをした場合は、年利3%でも2092万円の試算結果となります。NISAでリスクを抑えつつ、「老後2000万円問題」に余裕を持って備えたい場合は、貯金の取り崩し分に加えて、少し追加で投資する必要があるかもしれません。
まとめ
1500万円の貯金を10年間NISAに積み立てたとしても、年利3%では老後2000万円問題をクリアできない可能性があります。ただし、老後資金に関する問題はライフスタイルや家計収支によって水準が異なるため、2000万円という数値は目安でしかありません。
とはいえ、貯金1500万円を元手に余裕をもって備えたい場合は、貯金の取り崩しに加えて追加で投資する必要がありそうです。
出典
金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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