「大学の入学金22万円」を払おうとしたら、「ジュニアNISA」を引き出せず困惑! 出金できない理由とは? 2026年検討“こども支援NISA”についても解説

配信日: 2025.11.23
この記事は約 4 分で読めます。
「大学の入学金22万円」を払おうとしたら、「ジュニアNISA」を引き出せず困惑! 出金できない理由とは? 2026年検討“こども支援NISA”についても解説
ジュニアNISAの資金が、18歳になるまで引き出せないと、戸惑う家庭は少なくありません。実際、大学の入学金など急な教育費に使えず困るケースもあります。教育資金の積み立て目的で利用していた家庭からは、制度の使いにくさを指摘する声もあります。
 
本記事では、現行制度の課題と政府が2026年度に導入を検討している「こども支援NISA」の仕組みを解説します。
諸岡拓也

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

ジュニアNISAは出金可能でも使いにくさが残る

ジュニアNISAは、2023年に制度廃止となり、2024年以降は年齢や理由を問わず全額払い出しが可能とされています。
 
しかし、実際の出金にはいくつかの条件や前提があり、家庭によっては「まだ使えない」と感じる場面が生じています。ここでは、どのようなケースで出金でき、どのようなケースで制限が続くのかを整理します。
 

出金できるケース(口座解約を前提とする場合)

制度上もっともスムーズに出金できるのは、ジュニアNISA口座を完全に解約するパターンです。保有している投資信託や株式を売却する、または未成年口座に全額移管したうえで解約手続きを行えば、年齢に関係なく払い出しが可能です。残高が預り金のみの場合も同様で、解約後に未成年口座へ振替され、その口座から出金できます。
 

出金しにくいケース(非課税継続を選ぶ場合)

非課税のまま保有を継続したい家庭では、制度廃止後であっても旧ルールの払出制限がそのまま適用されます。
 
この場合、子どもが18歳になるまで出金できず、2024年以降の「払い出し可能」には該当しません。また、資産が株式・投資信託のまま残っているにもかかわらず、売却や移管の手続きに進んでいない場合も、口座解約ができないため出金まで進めません。
 

部分出金ができない点が最大のネック

ジュニアNISAの最も大きな課題は、部分的な引き出しが認められていない点です。大学の入学金だけ、塾代だけといった形で一部を取り崩すことはできず、出金する場合は口座を閉鎖したうえで「全額払い出し」が必須です。教育費が複数のタイミングで発生する家庭には使いづらい構造となっています。
 

結果として教育費に合わせにくい仕組みが残る

つまり、制度上は払い出しが可能になったものの、実務では次のような点が課題として残ります。
 

・口座解約が前提となる
・部分的な引き出しができない
・非課税継続を選ぶと従来の制限が残る

 
これらの条件が重なることで、教育費が必要になる時期と実際に資金を動かせるタイミングが一致しにくい状況が続いています。この使いにくさが、2026年に検討されている「こども支援NISA」の議論にもつながっています。
 

「こども支援NISA」とは

金融庁は2026年度の税制改正要望として、未成年を対象にした新制度「こども支援NISA(仮称)」の創設を提案しました。狙いは、子どもの教育資金を非課税で効率的に運用しながら、必要なタイミングで柔軟に使えるようにすることです。
 
主な検討内容は次のとおりです。
 

・対象年齢:18歳未満まで拡大
・年間投資枠:120万円を想定(現行NISAと同水準)
・生涯非課税枠:1800万円を適用する案
・口座管理者:親や祖父母などが管理し、教育目的で運用

 
ジュニアNISAとの最大の違いは、引き出し制限の緩和と利用目的の明確化です。教育関連の支出(入学金・授業料・留学費など)に限り、途中引き出しを認める方向で検討が進められています。
 

教育資金の新たな選択肢

こども支援NISAが実現すれば、銀行預金や学資保険に代わる新たな教育資金の選択肢として注目されます。特に、長期運用と途中利用の両立が可能になれば、学資保険より柔軟性が高い制度となる可能性があります。
 
例えば、子どもが小学生のうちに積み立てを始め、中学進学時に一部を取り崩して塾費用に充てるほか、高校や大学の入学金や授業料に使うといった運用も想定されています。教育費のピークを迎える時期に合わせて資金を活用できれば、家計全体の負担を抑えつつ、将来に備えた安定した資金運用が可能になります。
 

柔軟に使える教育資金へ

ジュニアNISAは引き出し制限の厳しさから使いづらさが指摘されました。こども支援NISAでは、教育費の時期に合わせて柔軟に使える設計が求められます。
 
非課税枠の上限や対象となる教育費の範囲は今後の法案で明確化される見通しです。制度化までに運用条件を確認し、既存のNISAや学資保険との使い分けを検討しておくことが重要です。
 

出典

金融庁 2023年までのNISA
金融庁 令和8(2026)年度税制改正要望について
 
執筆者 : 諸岡拓也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問