定年後の父が「月5万円の配当金をもらっている」と聞きうらやましい! 月5万円は“ハードルが高い”? 配当利回り「3~5%」なら達成可能でしょうか? 必要資金とあわせて確認
大黒屋が行った調査によると共働き夫婦の夫のお小遣いは月に約3万4000円です。もし月5万円の配当金が手に入れば、自由に使えるお金を大きく増やせますし、老後の安心にもつながるでしょう。
とはいえ、「自分も月5万円の配当金生活を始めたい」と思ったとき、一体どれくらいの資金があれば実現できるのでしょうか。本記事では、月5万円の配当金を得るために必要な資金の目安と投資銘柄を選ぶ上での注意点を解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
平均的な株式投資なら「約4000万円」が必要
株式の配当金には、約20%の税金がかかります。そのため、手取りで年間60万円(月5万円)を受け取るためには、税引き前で約75万円の配当金が必要です。
日本経済新聞社のデータによると、日経平均株価の予想配当利回りは1.86%(2025年12月1日時点)となっています。この数字をもとに年間75万円配当金を得ようとすると約4032万円を用意しなければなりません。多くの人にとっては非常にハードルの高い金額と言えるでしょう。
「高配当」と呼ばれる3%~5%ならいくら必要?
とはいえ、配当利回りが高い銘柄を選べば、必要資金は抑えられます。
投資サイトや雑誌では、おおむね配当利回りが3%を超える株式が高配当株として紹介されており、1つの現実的なラインと言えるでしょう。また、日本経済新聞の予想配当利回りランキングを見ると、プライム市場で配当利回り5%を超える会社が60社以上あります。
仮に利回り3%以上の株式だけに限定した場合、年間75万円の配当を得るために必要な資金は2500万円です。もっと攻めて5%以上に限定した場合は1500万円の資金があれば年間75万円の配当金を得られます。
「1500万円なら頑張れば用意できるかも」と考える人もいるかもしれません。しかし、とにかく配当利回りが高い銘柄を選べばいいと考えるのは非常に危険です。
配当利回りは「1株あたりの配当金÷株価」で計算されます。配当金が2倍になれば配当利回りが2倍になるのと同様に、業績不振などで株価が半分になった場合も配当利回りが2倍になってしまうのです。
配当利回りが高い銘柄の中には、「ただ業績が悪くて利回りが高く見えるだけ」の銘柄が潜んでいる可能性があります。そういった銘柄は、将来配当金が減ったり、さらなる株価低下したりするリスクがあり、目先の利回りだけで飛びつくと、結果的に資産を減らしてしまうかもしれないのです。
長く持ち続けられる「優良企業」の見つけ方
重要なのは、利回りの高さだけでなく、長期的に安定して配当を出し続けられる「優良企業」を選ぶことです。以下の3つのポイントをチェックしましょう。
・配当性向:利益の何%を配当に回しているかを示す指標です。30~50%程度が健全な目安とされ、70~80%を超えている企業は余裕がなく、減配のリスクが高いと判断できます。
・EPS(1株あたり純利益):配当の源泉となる「企業の稼ぐ力」です。過去の数字を見て、これが右肩上がりに増えている企業であれば、将来的な増配も期待できます。
・配当金の推移:不況時でも配当を維持している、もしくは連続して増配している企業は、株主還元への意識が高く信頼できます。
そのほか、営業利益率や自己資本比率、売上高の推移など、総合的な判断が必要です。また、どんな優良な会社でもいつ経営状況が悪化するか分かりません。1つの銘柄だけではなく、複数の銘柄に分散投資したほうが安心でしょう。
投資初心者のうちから、良い企業だけを買うことは難しく、失敗もあるかもしれません。いきなり月に5万円の配当を目指すのではなく、「まずは携帯代の月5000円を目標にする」といった具合に、優良な高配当株を積み上げていくことが月5万円の配当金への確実な第一歩となるでしょう。
まとめ
月5万円の配当金を得るために必要な資金は、投資する銘柄の配当利回りによって変わってきます。配当利回りが高い銘柄を選べば必要資金を大きく下げられますが、配当利回りだけで銘柄を選ぶと大きな損失を出す可能性があるため注意が必要です。
いきなり「毎月5万円」となるように投資をするのではなく、まずは小さく始めて目標の月5万円の配当を目指すと良いでしょう。
出典
株式会社大黒屋 大黒屋マネーガイド「共働き夫婦のお小遣いは夫婦平均で32,682円!夫婦別では夫34,503円、妻28,820円で差あり」
株式会社日本経済新聞社 国内の株式指標・東証
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
