投資初心者で、とりあえず「S&P500」に“月5万円投資”しています。友人は「知識がないならNISAなんてやめろ」と言いますが、やはり投資は危ないですか? メリットと注意点を確認
「投資知識がないならば、投資に踏み出すべきでない」という意見は根強くありますが、知識がない人は「S&P500」などへのインデックス投資も行うべきでないのでしょうか。
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
「インデックス投資」は「投資知識が少ない人のためのもの」でもある
筆者は投資初心者向けの勉強会やセミナーをよく行うのですが、参加者には常に
「投資にそれほど知識や興味がないのであれば、余裕資金で『オール・カントリー』や『S&P500』などの代表的で信託報酬が低いインデックス投資信託を、長期積立で購入しておくのがよいです」
とお伝えしています。まさに「とりあえずS&P500」という買い方を推奨しており、質問者の方の投資手法は「投資初心者向けの最適解」だと思っています。
ただしこれは、毎月5万円という投資金額が、ご自身の家計にとって本当に「余裕資金」である場合に限ります。もしも無理な節約をして投資資金を捻出しているのであれば、毎月の積立金額を減らすべきでしょう。
S&P500とは、野村證券のサイトによれば以下の通り解説されています。
“米国で時価総額の大きい主要500社で構成する時価総額加重平均型の株価指数。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出・公表しており、ニューヨーク証券取引所(NYSE)、NYSE American、NASDAQに上場している銘柄から選出される。(中略)、構成銘柄は定期的に見直される。”
解説文の最後に書かれた「構成銘柄は定期的に見直される」という点が重要で、これは一時期に業績好調で株価が高騰しても、後に衰退して株価が大きく下落してしまったような企業は、自動的にS&P500の指数には反映されなくなるということです。
この「構成銘柄の見直し」が自動的に行われるからこそ、指数に反映される企業の健全性がある程度維持されます。これは個人で個別株を購入している場合には、技術的にも心理的にも非常に困難なことなので、それを投資信託委託会社に「丸投げ」できることが、投資信託購入の大きなメリットです。
アメリカの大企業に広く分散投資した形になる「S&P500」や、それを世界中の企業に広げた「オール・カントリー」などのインデックス投資信託はまさしく「投資知識が少ない人のための商品」と言えます。
投資初心者のうちはS&P500などの指数に積立投資をすることを中心にしながら、徐々に投資について勉強をしていくとよいでしょう。それほど投資を勉強する気持ちが起きないならば「ずっとインデックス投資の積立だけ」でもかまわないと筆者は思います。
投資は「危ない(リスクがある)」からこそ、儲かる可能性があるもの
もちろん、インデックス投資にもリスクはあります。S&P500を例に取ると、ここ30年間の間には2000年頃の「ITバブル崩壊」、2008年の「リーマン・ショック」、2020年の「コロナ・ショック」など、指数全体が暴落する時期が何度もありました。
特にリーマン・ショックの時期は直近の高値から最安値を比較すると6割近くの下落幅を記録しており、もし多額の資金を投資していたのであれば目の前が真っ暗になるような状況だったでしょう。
しかし、そのような暴落を何度も乗り越え、2025年11月には過去最高値を更新しています。前述のように大きく値下がりした年もありますが、長期で見ると上昇する年のほうが多く、結果としてここ30年間の平均利回りは年8%ほどになり、長期積立投資をしていれば結果的に大きな利益となっていました。
短期的な利益を追求するのであればS&P500などの「インデックス投資」は不向きですが、長期投資による資産形成を考えているのであれば、非常に手堅い投資先だと筆者は考えています。
「知識がないならやめておけ」という周囲の声に不安を覚えることがあるかもしれませんが、仮に相場が下落した際に積み立てを続けるかどうかは、ご自身のリスク許容度によって異なります。さまざまな意見を参考にしながら、ご自身にとって無理のない範囲で判断することになります。
投資の知識について勉強し、よりリスクは高いが利回りも良い可能性がある個別株投資などに挑戦するのは、積立投資を続けながらでもよいでしょう。
まとめ
「S&P500」などの指数に連動した低コストのインデックス投資信託は、長期積立投資を通じて資産形成をするのが目的であれば、非常に手堅い商品です。長期投資をしている間には暴落の時期もありますが、暴落の時期に慌てて売却をするなどしなければ、30年の平均利回りは年8%程度となっていました。
インデックス投資信託は「投資知識が少ない人のためのもの」でもあります。暴落のリスクはあることを頭に入れたうえで、長期投資をしながら投資についての勉強を進めてみてください。
出典
野村證券 証券用語解説集 S&P500
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
