30歳で「奨学金200万円」を一括返済した友人。もし返済せずに“年5%の投資”を20年続けていたら、いまいくらになっている?
近年は投資環境の整備が進み、若いうちから資産運用を始める人も増えています。そのようななかで、「借金を早く返すこと」と「お金を増やすために運用すること」は、必ずしも同じ方向を向いた判断とはかぎりません。
本記事では、奨学金返済と投資を数字で比較しながら、どのような考え方で判断すべきかを整理していきます。
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目次
年5%で20年間運用した場合のシンプルな試算
仮に200万円を年5%で複利運用し、20年間そのまま保有した場合、将来価値はおよそ2.65倍と資産できます。この前提で計算すると、200万円は約530万円まで増えることになります。
ここで重要なのは、5%という利回りが短期間で高い収益を狙う前提ではない点です。株式などに長期・分散投資した場合、過去の市場データを基にした平均的な期待リターンとして、年5%前後の水準が用いられることがあります。
ただし投資である以上、実際の運用結果は年ごとに変動するため、必ずしもこの試算どおりの成果が得られるとはかぎりません。したがって、途中で価格が下落する局面を経験する可能性は十分にあります。
一方、奨学金を一括返済した場合、将来の返済利息は発生せず、確実に家計の固定支出を減らせるというメリットがあります。つまり、投資は「増える可能性」、返済は「確実な支出削減」という性質の違いがあるのです。
奨学金を先に返すことの金銭的意味
奨学金返済を優先する最大のメリットは、借金がなくなる安心感です。毎月の返済が不要になり、家計管理がシンプルになります。
また、返済金利が高い場合、その利息分は「確実なマイナス」として家計に影響します。そのため、投資で得られるかもしれない利益より、利息を払わないことを重視する考え方も合理的です。
ただし、金利が低い奨学金の場合、数字だけを見れば「低金利の負債を抱えたまま、より高い期待リターンを狙う」という考え方も成立します。この場合、返済を急がず、手元資金を運用に回す選択肢も浮かび上がります。
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投資を選ぶ場合に意識したいリスク
投資を優先する場合、重要になるのがリスク管理です。前述のとおり、20年間の長期投資では、途中で大きな下落局面を経験する可能性があります。精神的な不安から途中で売却してしまえば、想定していたリターンは得られません。
また、奨学金は原則として毎月返済が必要です。そのため、投資資産が一時的に値下がりしている局面であっても、返済を止めることはできません。
返済原資を投資に回している場合、相場環境によっては資産を取り崩しにくい状況で支出だけが続くことになり、収入や生活費とのバランスを崩すおそれがあります。その結果、家計全体に無理が生じるケースも考えられます。
そのため、投資を選ぶなら「生活費とは切り離した余裕資金で行うこと」、そして「返済計画と並行して無理のない設計をすること」をおすすめします。
数字だけでなく、生活全体で考える
奨学金返済か投資かという判断は、単純な損得計算だけでは決められません。手元資金が十分にあって生活防衛資金を確保できている人と、毎月の収支に余裕がない人では、同じ選択でも意味が変わります。
また、借金がある状態に強いストレスを感じる人にとっては、返済を終えること自体が大きな価値になります。一方で、資産形成を早く始めたい人にとっては、低金利の返済を急がずに運用を優先する選択が、資産効率の観点から選ばれることもあります。
重要なのは、「どちらが正しいか」ではなく、「自分の家計と価値観に合っているか」です。
奨学金返済と投資を数字と家計の両面から判断しよう
奨学金200万円を一括返済した友人の選択は、安心と確実性を重視した判断といえるでしょう。一方、同じ200万円を年5%で20年運用していれば、理論上は500万円を超える資産になっていた可能性もありました。
どちらを選ぶかは、返済金利、収入の安定性、投資に対する考え方などによって変わります。まずは数字でシミュレーションし、そのうえで生活の安定や精神的な負担も含めて考えることが、後悔の少ないお金の判断につながります。
返済か投資かで迷ったときこそ一度立ち止まり、自分のライフプラン全体を見渡して選択していきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
