新NISAは「年末10万円だけ投資」でも効果ある?「月1万円×年5%」の場合と、どれだけ差が出るでしょうか?“10年後の違い”をFPが解説
結論から言えば、新NISAは年内であればいつ投資しても非課税枠の効果は同じで、年末だけの投資でも十分に意味があります。ただし、積立投資と年末一括投資では、リターンの出方に違いがあり注意が必要です。
本記事では、その違いを数字と考え方の両面から解説します。
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目次
新NISAはいつ投資しても非課税効果は同じ
新NISAは「早く始めないと損」というイメージを持たれがちですが、制度の仕組みを正しく理解すると、年末にまとめて投資する場合でも十分に意味があることが分かります。
非課税枠は「年内に投資した金額」で確定する
新NISAの非課税メリットは、投資したタイミングではなく「その年にいくら投資したか」で決まります。つみたて投資枠、成長投資枠のどちらも、1年の間に実際に投資した金額が、その年の非課税枠としてカウントされます。
そのため、年初に投資しても、年末に投資しても、税制上の扱いは同じです。年末に10万円を投資した場合でも、その10万円分は新NISAの非課税枠として確保され、将来得られる利益は非課税になります。
年末だから不利というルールも存在しない
「年末に投資すると損をするのではないか」「もう遅いのではないか」と感じる人もいますが、新NISAには年末投資を不利にするようなルールは設けられていません。非課税保有期間も無期限であるため、年末に投資したからといって、非課税で運用できる期間が短くなることもありません。
極端に言えば、12月に投資した資産も、1月に投資した資産も、同じ条件で非課税運用が続きます。この点は旧NISAとの大きな違いであり、新NISAの使いやすさの1つです。
「月1万円×年率5%の10年運用」と「年末10万円一括投資」の数字の違い
新NISAでよく比較されるのが、「毎月コツコツ積み立てる方法」と「年末にまとめて投資する方法」です。両者ではどのくらいの違いがあるのか、投資元本はいずれも10年間で合計120万円、想定利回りは年率5%として見ていきましょう。
月1万円を積み立てた場合の運用イメージ
毎月1万円を10年間積み立てると、投資元本は120万円になります。この場合、早い時期に投資した資金ほど長く運用されるため、複利の効果を受けやすくなるでしょう。
年率5%で運用できた場合、10年後の評価額は155万円前後になります。積立投資では、毎月少しずつ投資することで、運用期間の平均が長くなる点で有利です。
年末に10万円ずつ一括投資した場合の運用イメージ
一方、毎年年末に10万円ずつ投資する場合、10年間で投資元本は100万円になります。各年の投資が年末になるため、実際の平均運用期間は短くなり、年率5%で運用できた場合の評価額は125万円前後にとどまります。
元本が毎月1万円を10年間と同じ120万円(年12万円投資)の場合でも、評価額は150万円前後で、月々1万円の積立よりも最終的なリターンは小さくなります。この差は制度上の不利ではなく、運用に回っている時間の違いによるものです。
年末投資でも新NISAを生かすためのポイント
年末にまとめて投資する人でも、新NISAを上手に活用する方法はあります。
例えば、「毎月の積立は難しいが、年末に必ず投資する」と決めておくだけでも、非課税枠の使い忘れを防げます。スマートフォンのカレンダーやリマインダーに、「NISA投資」と登録しておくのも有効です。また、余裕が出てきたら、翌年から少額でも積立に切り替えるという柔軟な考え方でもよいでしょう。
新NISAは、一度決めた投資方法を一生続けなければならない制度ではありません。生活状況に合わせて、年末投資と積立投資を組み合わせることも可能です。完璧な積立にこだわることではなく、制度を使わずに終わらせないことが大切です。
新NISAは自分のスタイルに合わせて活用するのが正解
新NISAは、年末に10万円だけ投資した場合でも、非課税枠を活用できる点で十分に意味があります。積立投資のほうが数字上は有利になりやすいものの、その差は運用期間の違いによるもので、年末投資が失敗というわけではありません。
新NISAは、自分の生活に合った投資スタイルで活用できる制度なので、できる形から始めてみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
