貯金500万円、60歳からNISAを始めて70歳までに「1000万円」になることはある? 老後資金づくりはもう手遅れですか?

配信日: 2026.01.09
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貯金500万円、60歳からNISAを始めて70歳までに「1000万円」になることはある? 老後資金づくりはもう手遅れですか?
定年を迎える60歳前後になると、「今ある貯金で老後資金は足りるのだろうか」「老後資金を増やすのに今から投資を始めても遅いのでは」と不安を感じる人も多いでしょう。
 
老後資金づくりにおいて、時間が限られていることは確かですが、制度の仕組みを正しく理解することで現実的な判断がしやすくなります。本記事では、NISAの概要を整理したうえで、60歳から10年で資産を1000万円にできる可能性について検証します。
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NISAとはどのような制度か

NISA(少額投資非課税制度)は、一定の条件のもと、NISA口座で投資した金融商品から得られる運用益が非課税となる制度で、2024年からは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの投資枠が設けられています。
 
非課税保有期間が無制限となり、年間投資枠はつみたて投資枠と成長投資枠を合わせて360万円まで非課税で投資することができます。
 
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISAを利用すれば税負担がありません。このため、長期的に運用するほど税制面のメリットを生かしやすい制度とされています。
 
ただし、元本が保証されているわけではなく、運用成果は市場環境に左右される点には注意が必要です。
 

貯金500万円・60歳から10年で「1000万円」は現実的か

制度上、非課税で投資できるとはいえ、60歳時点で年間投資枠いっぱいまでNISA口座で投資する前提は、心理的にもハードルが高いといえるでしょう。そこで、ここではより現実的なケースとして、貯金500万円は生活防衛資金として確保しつつ、毎月3万円ずつNISAで積み立て投資を行う場合を考えてみます。
 
毎月3万円を10年間積み立てると、投資元本は360万円になります。金融庁の「つみたてシミュレーター」で年率3~5%程度の利回りを想定すると、10年後の運用資産額はおおむね418万円~463万円程度となるのがひとつの目安です。
 
この場合、積立投資で形成できる資産は400万円台にとどまり、貯金500万円をそのまま保持していたとしても、合計は900万円程度となります。運用環境が比較的良好だったとしても、70歳時点で1000万円に届くかどうかは微妙な水準であり、「確実に達成できる」とまでは言い切れません。
 
つまり、60歳から毎月3万円ずつ積み立てる方法は、老後資金を着実に増やす手段にはなりますが、10年という限られた期間で1000万円を目指すには、積立額の増額や、貯金の一部を段階的に投資へ回すなどの追加的な工夫が必要になる可能性が高いと考えられます。
 

1000万円に近づくために考えるべき点

10年という限られた期間で資産を大きく増やすには、初期資金を多く運用に回すことや、毎月の積立額を増やすことが有利に働きます。ただし、利回りを高く見込むほど価格変動リスクも大きくなるため、老後を目前に控えた世代では慎重な判断が求められます。
 
また、10年は資産形成としては比較的短い期間であり、20年、30年といった長期投資に比べると複利効果が十分に発揮されにくい点も押さえておく必要があります。目標額だけを見るのではなく、どの程度のリスクを許容できるかを含めて考えることが重要です。
 

NISAを老後資金づくりにどう位置づけるか

NISAは老後資金づくりに有効な制度ですが、万能ではありません。投資である以上、元本割れの可能性があり、想定どおりの成果が得られないこともあります。そのため、貯金をすべて投資に回すのではなく、生活防衛資金を確保したうえで、無理のない範囲で活用することが現実的です。
 
また、NISAだけに頼るのではなく、年金収入や支出の見直し、働き方の工夫などと組み合わせて老後資金を考える視点も欠かせません。投資はあくまで選択肢のひとつとして位置づけることが大切です。
 

まとめ

60歳からNISAを始めて10年間で資産を1000万円にすることは、条件次第では可能性がゼロとは言えませんが、安定的に達成できる目標とは言いにくいのが実情です。今回のシミュレーションを基に考えても、比較的高い利回りと積立額が必要になると考えられます。
 
老後資金づくりが「もう手遅れ」と断定する必要はありませんが、短期間で大きな成果を期待するのではなく、リスクを理解したうえで現実的な水準を見極めることが重要です。NISAを含めた制度を上手に活用しながら、自身の生活設計に合った老後資金計画を考えていくことが求められるでしょう。
 

出典

金融庁 つみたてシミュレーター
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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