月収15万円で「NISAに月1万円」と、扶養内8万円で「月3万円」の投資…社保加入で“増える年金額”も考えると、「20年後にお得」なのはどっち? それぞれのメリットを比較
本記事では、NISAの運用結果と厚生年金の増額分を具体的に算出して比較し、社会保険加入の隠れたメリットも踏まえ、どちらがより「効率的」かを検証していきます。
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目次
20年後のNISAによる資産形成シミュレーション
まずは、NISAでの資産額を比較してみましょう。前提条件として、年利5%で20年間運用した場合を想定します。
月1万円を積み立てた場合、元本240万円は約406万円に成長します。一方、扶養内で月3万円を積み立てた場合は、元本720万円が約1217万円に達します。当然ながら、投資額が大きいほうが最終的な資産額も高くなり、その差額は約811万円です。
ここで、現在の「家計への影響」についても比較してみましょう。月収15万円(社保加入)で1万円投資する場合、手取り約12万円から引いて約11万円が手元に残ります。一方、月収8万円で3万円投資すると残金は約5万円です。
前者は保障を得つつ、月11万円を家計の足しに回せます。対して後者は、将来の資産形成を最優先する分、今現在の家計に入れられる金額は5万円まで絞られるという影響が生じます。
一見すると、「扶養内で働き、投資に資金を回すほうが圧倒的に得」と思えますが、これはあくまで「現金資産」の面だけを比較した結果に過ぎません。投資額を増やすためにあえて収入を抑えることは、将来受け取れる「厚生年金」を手厚くする権利を手放していることでもあるのです。
老後の生活設計で、この800万円近い差を厚生年金の増額分でどこまで補えるのか、詳しく見ていきましょう。
厚生年金加入による将来の年金増額分
今の家計を優先するなら月収15万円の選択肢が現実的ですが、将来への影響はどうでしょうか。
月収15万円で社会保険に加入し、20年間(240ヶ月)働いた場合の厚生年金の受給額を計算します。厚生年金の年額の基礎となる報酬比例部分は、「平均標準報酬額✕5.481÷1000✕被保険者期間の月数」という式から算出できます。
この条件で計算すると、将来の厚生年金は年間で約19万7000円となり、国民年金のみの場合に比べ、月額では約1万6000円の増額です。
月収8万円の扶養内で働く場合、厚生年金の上乗せはありません。年金は「一生涯」受け取れる終身給付です。65歳から85歳までの20年間で受給すると、社会保険加入による増額分は合計で約394万円になります。
たとえ95歳まで生きたしたとしても、増える年金額は約591万円にとどまります。NISAとの資産差額である811万円をこの増額分だけで埋めるには、100歳を超えるような長寿が必要です。
ただし、社会保険料を支払うメリットは、決して「年金の積み増し」だけではありません。数値に表れにくい保障の差こそが、実は人生全体の大きな備え(リスクヘッジ)となるのです。
社会保険加入の隠れたメリットと保障の差
社会保険料を支払うことで得られる代表的な保障が、「傷病手当金」と「出産手当金」です。傷病手当金は、病気やけがで働けなくなった場合、給与のおおよそ3分の2が最長1年6ヶ月間、健康保険から支給されます。
この保障は、扶養内(第3号被保険者)では受けられません。不測の事態が起きても、NISAの資産に手を付けず生活を守れる点は、家計を支える上での大きな強みになるでしょう。
結局どちらが「効率的」か
計算上の「純資産額」だけを重視し、さらに投資が常に右肩上がりで推移することを想定するなら、扶養内で投資額を増やすほうが手元に残る現金は多くなるかもしれません。しかし、その分、病気やけがといった予期せぬリスクへの備えは手薄になってしまいます。
月収15万円で社会保険に入って働くという選択は、NISAによる「攻め」と、社会保険による「守り」を兼ね備えたバランスの良い選択です。投資に回すのが月1万円ほどだとしても、将来の年金が増え、さらに病気や働けなくなったときの保障まで得られる利点は見逃せません。
将来、一人で家計を支える可能性や長寿によるリスクを考慮するなら、社会保険に加入して「今の収入」と「将来の年金」を底上げしておくほうが、人生全体で見たときの安定感は格段に高まります。
資産額の差を超えた「安心」の設計を
資産額だけで比べると、扶養内で投資を続けるほうがお得に思えるかもしれません。しかし、社会保険への加入で得られる「一生涯続く年金」や「もしものときの保障」は、将来を支える確かな基盤となります。
NISAなどは景気に左右される面がありますが、厚生年金は老後の暮らしを支える揺るぎない土台となってくれます。月15万円で社会保険に入って働くことは、手取りの金額以上に、未来への「備え」といえるはずです。
自身の価値観や、どこまでのリスクなら受け入れられるかを照らし合わせながら、最適な答えを探してみてください。
出典
金融庁 つみたてシミュレーター
日本年金機構 は行 報酬比例部分
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
