生活費が赤字続きのため、手持ちのNISAを「10万円売却しよう」としたところ、夫に止められました。やはり売らない方がいいのでしょうか……?
資産運用の相談業務
資産運用の相談業務のなかで、貯金・生命保険・投資信託・変額年金保険・投資信託・NISAを取り扱い、職員指導も行なった実績を活かし、お客さまから金融商品に限らず、相続などさまざまな相談を受ける。
現在も日本FP協会のSGに参加し、研修を継続中。わかりやすく正確な最新情報の提供に努めている。
NISAとは?
NISA制度は、個人の資産形成の支援と経済成長を目的に、2014年から開始された「少額投資非課税制度」です。英国のISAを参考にしているため、NISAという愛称が決まりました。
2014~2015年の制度は1年間に100万円まで、上場株式・投資信託などの配当金、譲渡益が非課税となる制度でした。非課税の期間は、5年間です。その後、2016年に非課税額が120万円までに増額されました。
そして現在のNISA制度は、新NISAとして2024年1月から取り扱われています。
2024年からの新NISAは、1年間の非課税額はつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円、総額で1800万円まで非課税で資産運用が行える制度です。非課税期限は無制限です。
ここからは、新NISAをNISAとして説明していきます。
NISA制度
NISAの利用は、18歳以上であれば利用できます。開設できる口座は、1人1口座です。取扱金融機関は銀行、証券会社、郵便局で、金融機関によって取り扱いの商品が違います。利用したい商品により、金融機関を決めましょう。
口座の利用は、店舗により、対面でまたはインターネットを利用したオンラインで口座を利用できます。口座の開設は「非課税口座開設届出書」の提出、本人確認資料の提示、マイナンバーの告知が必要です。
非課税枠は1年間につみたて枠120万円まで、成長投資枠240万円までとなり、総額1800万円まで非課税で投資を行えます。配当金、譲渡益が非課税となります。
投資対象は、投資信託・ETF・国内株式・外国株式・REITです。つみたて投資枠は金融庁が認めた、投資信託・ETFを利用できます。売却した場合の投資枠は、翌年以降に再利用できます。
図表1 新NISA制度の概要
| つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 非課税保有期間 | 無期限 | 無期限 |
| 投資対象商品 | 投資信託、ETF、金融庁が認めた商品 | 国内株式、投資信託、ETF、海外株式 REIT |
| 対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 |
(筆者作成)
(1) 非課税期間が無制限
(2) つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能
(3) 年間投資枠が最大360万円
(4) 非課税保有限度額が最大1800万円
(5) 非課税保有限度額の再利用が可能
このように、NISAは資産運用に利用しやすい制度となっています。
NISAの利用方法
積み立てを行い、長期の安定した分散投資を行いたい……
成長枠で投資を行い、リスクをとり値上がり益を期待したい……
など、どのような商品を利用したいか、どのような運用をしたいかにより、NISAに対する考え方や利用方法は違いがあると思われます。
積立投資については、取り扱いの金融機関により月1回、毎日など積み立てていきます。積立金額も、取り扱う金融機関により100~1000円からなどです。決められた日に積み立てを行います。NISA成長枠の購入は、営業日にいつでもできます。
NISAの売却
NISAの売却は、営業日にいつでも行えますが、一部取り扱えない日にちがある場合があります。
投資額の一部を、金額を指定してまたは口数を指定して売却できます。信託留保額、手数料が必要な場合がありますが、特にペナルティーはなく売却が行え、税金もかかりません。
売却した場合、現金として受け取るまでには数日かかる場合があります。また、売却した場合の投資枠は、翌年以降に利用することができます。資金が必要になった場合は、積立金額の変更も行えます。
生活費が赤字の場合についての考え方
生活費が赤字になった場合、赤字分を補てんする必要があり、どの資金から補てんするかを考える必要があります。NISAを保有しておきたい気持ちもあると思われますが、現在の生活が大切です。NISAの売却は選択肢になります。
今の生活をおろそかにしてまで、続ける必要はありません。何のために赤字になったのか、ほかに補てんできる資金があるのかにより、判断ができると思われます。子どもの入学資金に使いたい、突然、病気で入院することになったので使いたいなど、さまざまな理由があることでしょう。
また、NISAを利用する目的も確認しましょう。
NISAは長期に積み立てるほど、安定して利益になる可能性があります。ただし、毎日値動きがある商品ですから、長く置いておくほど必ず利益が増えていくとはかぎりません。かといって、いつ売却すればよいかも、はっきりと分かるわけではありません。
また、今回売却した場合、投資枠は翌年以降に利用できます。また、投資することができますので、赤字分として、必要があれば売却することがよいと思われます。
そもそも、NISAをどのような目的で始めたのか、考える必要もあります。「老後の資金として積み立てする」「必要なときのために余裕資金で購入する」など、始めたときの目的も確認しましょう。老後の資金として、どうしても売却したくないということであれば、他の方法を考えてみることも必要です。
生活費が赤字ということは、収入よりも支出が多いということです。
今回はNISAを売却するとして、今後、考える必要があることは、「なぜ赤字なのか」です。一時的に高額が必要になった場合は、今回のみであるので大きな問題はないと思われます。毎月赤字が続いている場合は、家計を見直す必要があります。
収入と支出を見直し、何にお金を使っているのか確認してください。そのうえで、減らせる支出を書き出すなどして家計を改善、または仕事を見直し、収入を増やす工夫をしましょう。老後資金が不足しそうな場合は、長く働くことも選択肢です。
いずれにしても、目の前にある赤字に対して、どこから補てんするか、話し合いましょう。NISAでの資産運用も大切ですが、もっと大切なのは、目の前の生活です。楽しみ、夢も大切です。そのうえで家計の改善について考え、NISAの制度についてどのような制度かを理解し、上手に利用していきましょう。
出典
内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 「NISA」って何? わかりやすく解説
金融庁 NISA特設ウェブサイト NISAを知る
執筆者 : 神津喜代子
資産運用の相談業務