昨年“10万円の損”で「S&P500をすべて手放した」という同僚…正直「一時の下落なら回復まで待てばいいのに」と思ったのですが、急落時の損切りは“悪手”ですよね?
今回は、なぜNISAでは下落時の売却が推奨されないのか、そしてリスク分散のためにどのような意識を持つべきなのかを、制度の仕組みと市場の動向から解説します。
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乱高下が続いている「S&P500」
米国を代表する株価指数である「S&P500」は、ニューヨークに本社を置く国際的な資産運用会社であるブラックロック・ジャパン株式会社(ブラックロック)のWebサイトや、大手情報サービスのブルームバーグエル・ピー(ブルームバーグ)のチャートでその動きが確認できます。
2025年の値動きを振り返ると、世界的な金融政策や地政学的要因などの影響もあり一時的に急落しました。しかし、その後は徐々に落ち着きを取り戻し、値動きは堅調な動きを見せました。
「S&P500」は米国の大企業500社で構成されており、長期的には成長を続けてきた指数です。ただし、米国主要企業が投資先であるため、米国の景気や政治、国際情勢の影響をダイレクトに受けやすい側面があります。
株価が下落したときに慌てて売るのは「NISA」では悪手
投資家心理として、株価が急落すると株価が下がったまま売るタイミングを失う「塩漬け」を恐れ、さらに下がる前に売らなければという「損切り」の思考が働きます。掲題のケースも、10万円の損失が出たことで「これ以上、原資を減らしたくない」という恐怖心から全売却に至ったのではないでしょうか。
しかし、金融庁のNISA特設サイトにある「資産形成の基本」では、リスク管理として「長期・積立・分散投資」が紹介されています。NISAの強みは、複利効果を生かして長期間運用することにあります。
下落時に売却してしまうと、その後に上昇相場が訪れた際の恩恵を受けられず、積立投資による取得単価を平準化するメリットも手放すことになります。たとえ一時的に掲題のようなマイナスが出たとしても、運用期間が10年、20年と続くのであれば、その時点での損切りは賢い選択とはいえない可能性があります。
NISAで「損切り」をすべきでない理由は「税制面」にも!
NISA口座での下落時の損切りが推奨されない理由は、税制上の仕組みにもあります。
国税庁によると、NISAは非課税での運用が可能な反面、同じ年の利益から損失を差し引く「損益通算」が不可能です。NISA同士だけでなく、一般・特定口座で運用中の資産との通算もできません。また、当年の損失を翌年の利益と相殺する「繰越控除」も認められていません。
短いスパンで売買を繰り返すスタイルは、NISAの仕組みにあまり適していないといえます。もしもNISAと一般・特定口座と併用する場合は、損失リスクの高い運用を振り分ける、損切りについての方針を明確に分けることが、実質的なリスク分散につながるでしょう。
まとめ
投資の世界に「絶対」はありませんが、短期の損で手放すことは、NISAの特徴の1つである「時間」を捨ててしまう行為です。もしリスクが怖いと感じるのであれば、一度に売却するのではなく、投資額を減らして「積み立て続ける」ことを検討してみても良いかもしれません。
下落時は「安くたくさん買えるチャンス」と捉えるくらいの余裕を持つことが、将来の資産形成への第一歩となります。
出典
国税庁 No.1535 NISA制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
