70代の母が銀行で“毎月分配型”の投資信託を「毎月3000円もらえる」とすすめられた! 兄は「絶対止めたほうがいい」と言いますが、なぜですか? 注意が必要な“たこ足配当”とは

配信日: 2026.04.28
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70代の母が銀行で“毎月分配型”の投資信託を「毎月3000円もらえる」とすすめられた! 兄は「絶対止めたほうがいい」と言いますが、なぜですか? 注意が必要な“たこ足配当”とは
銀行の窓口で勧められた投資信託を購入して「毎月3000円もらえる」と喜んでいるケースには、実は危険なサインが隠れているかもしれません。
 
結論からお伝えすると、毎月分配型の投資信託は仕組みを正しく理解しないと、気づかないうちに預けたお金が減り続けるリスクがある商品です。
 
本記事では、毎月分配型の基本的な仕組みから、「たこ足配当」と呼ばれる落とし穴、具体的な金額シミュレーション、新NISAの対象外となっている理由まで幅広く解説します。
高柳政道

FP1級、CFP、DCプランナー2級

毎月分配型の投資信託とは?

毎月分配型の投資信託とは、1ヶ月ごとに決算を行い、運用成果の一部を分配金として毎月受け取れる方針の投資信託です。「投資を続けながら、運用成果を毎月こまめに手にしたい」というニーズに応えた商品として設計されています。
 
ただし、分配金の仕組みは、銀行預金の利息とは根本的に異なります。預金の利息は銀行が支払うものですが、投資信託の分配金は投資信託の純資産(ファンドが保有する株式や債券の時価総額から経費を差し引いた資産)を取り崩して支払われます。
 
分配金が支払われると、払い出した金額と同額分だけ基準価額が下がる仕組みになっています。毎月3000円の分配金を受け取ったとしても、手元に届く3000円の分だけ、保有している投資信託の価値は目減りしています。
 
また、分配金の金額や支払い自体は毎月保証されているものではなく、運用状況によっては分配金が変動したり、支払われない月が生じたりする場合もあります。
 
銀行の窓口で勧められたからといって、安心・確実な商品というわけではありません。
 

毎月分配型の「たこ足配当」というわな

毎月分配型の投資信託で特に注意しなければならないのが、「たこ足配当」と呼ばれる問題です。運用益が十分に出ていないにもかかわらず、元本を取り崩して分配金を支払っている状態を指します。
 
タコが自分の足を食べるように資産を食いつぶしていく様子に例えて、こう呼ばれています。毎月安定した分配が続いているように見えますが、ファンドの純資産は払い出した分だけ確実に目減りしています。
 
つまり、「毎月3000円もらっている」のではなく、「自分が預けたお金から毎月3000円を少しずつ返してもらっている」に近い状態になっているわけです。
 
金融庁も2017年の金融レポートでこの問題を指摘しており、分配金として元本の一部が払い戻されることもあると認識していない顧客の割合は5割弱、という調査結果を公表しています。投資信託の分配金には、「普通分配金」と「特別分配金(元本払戻金)」の2種類があります。
 
普通分配金は運用益から支払われるため課税対象になりますが、特別分配金は元本の払い戻しにあたるため非課税です。非課税だからお得と感じるかもしれませんが、実態は自分が投じたお金がそのまま戻ってきているだけなので、資産は増えていません。
 

具体的な金額シミュレーションと注意点

「毎月3000円もらえる」という状況を、数字で確認してみましょう。仮に100万円を投資して毎月3000円の分配金を受け取る場合、年間では3万6000円の受け取りになり、利回りにすると年3.6%に相当します。
 
しかし、分配金が支払われると基準価額が払い出した分だけ下がるため、受け取った3000円は「新しく生まれた利益」ではなく「資産の一部が形を変えただけ」という側面があります。
 
さらに深刻なのは、たこ足状態が続いた場合の元本の目減りです。運用益が分配金を下回る状況が続けば、元本は毎月削られ続けます。100万円の元本が数年後には大幅に減少し、受け取れる分配金も徐々に減額されるという事態が起こりえます。
 
毎月の分配金の受け取りに喜んでいる間に、預けた元本自体が静かに消えていくリスクを見落としてはなりません。加えて、毎月分配型は複利効果が得られにくい点も大きなデメリットです。普通分配金を受け取るたびに約20.315%の税金がかかるため、再投資しても税引き後の金額しか運用に回せません。
 
同じ条件で比べると、年利7%・30年間の運用で複利では約761万円になるのに対し、分配金を受け取り続ける単利運用では約310万円にとどまるという試算もあります。
 
覚えておきたい重要な事実として、毎月分配型の投資信託は2024年から始まった新NISAの対象外とされていることです。新NISAの制度要件に、「頻繁に分配金が支払われない」という条件があり、毎月決算で分配金を出し続ける毎月分配型はその要件を満たさないためです。
 
新NISAは、長期・分散・積立投資による資産形成を目的とした制度であり、毎月分配金として資産を取り崩し続ける仕組みの商品は、制度の趣旨に合わないと判断されています。
 

まとめ

毎月分配型の投資信託は、分配金の仕組みを正しく理解しておかないと、預けたお金が気づかないうちに減り続けるリスクがあります。分配金は運用益から支払われるとは限らず、元本を取り崩して支払われる「たこ足配当」の状態に陥っているケースが少なくありません。
 
また、毎月分配型は複利効果が得られにくく、2024年から始まった新NISAの投資対象から除外されています。毎月の分配金だけに注目するのではなく、基準価額の推移や普通分配金と特別分配金の内訳を確認し、資産全体が本当に守られているかどうかを定期的にチェックするようにしましょう。
 

出典

金融庁 平成28事務年度 金融レポート
 
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級

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