更新日: 2020.07.18 株・株式・FX投資
こんな状況下でなぜ株価は上昇している? 原因はFRBによる「人為的なつり上げ」か
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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あらためて、株価は企業業績を反映するものであるはず
米国株価が2月12日~3月23日の間に37%の急落を見せた後、6月8日までの間に下げを上回る48%もの上昇を見せました。
もちろん上昇分のいくらかは、ロックダウン解除にともなう経済活動再開への期待ですが、6月末時点でもまだまだ感染拡大は続いていますから「期待先行しすぎ?」と疑問を持って当然ですよね。
株価は、企業業績の行方を先取りして動きますから、上昇するということは理論的には「これから企業業績は伸長する」ということです。
しかし実際はというと、一部オンライン業務関連やステイホーム関連は業績伸長が見込まれるとしても、おもてなし関連や製造業は疑問符をつけざるを得ません。
にもかかわらず上昇が続く株価、かたや失業率も5月は13%と報告されているとおり、まだまだかつてのような理想的な水準からは程遠い状態です。株価が企業業績を反映していない。
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「ずれ」が発生したのは「人為的なつり上げ」
理論値から大きく乖離(かいり)して上昇しているとなると、その原因は明らかで、FRB(米国の中央銀行)による「人為的なつり上げ」です。
政策金利をゼロにしたり、積極的な量的緩和を継続したりして「緊急事態」に備えた結果、市中に資金があふれかえっているのです。
もちろん、その理由は「中小企業の業務が滞り資金繰りに苦慮するのを助ける」ということですが、結果としてはかつての「ITバブル」時代と同じことを招こうとしています。
2000年ごろのITバブルになったのは、ITさえあれば永遠に成長を続けられる! という期待から収益の何十倍にも株価が評価されたといわれていますが、その前提には「市中に資金があふれかえっていたから」というFRBの金融緩和があったためです。似ていますよね。
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わかっているのに、歴史から学んだはずなのに…
たった20年前のことで、皆さんのご記憶にも新しいと思います。歴史から学ぶというにはあまりにも最近のことです。異常なまでの金融緩和。
20年前は米国の大手ヘッジファンドの破綻による金融市場の混乱を回避するためであったのに対して、今回は前代未聞のコロナ禍という理由は違うものの、結局とった対策は同じ。
20年前のITバブル崩壊と同じような急落が起こらなければ、と願うばかりですが、気を緩めずにいたほうがいいかもしれません。日本の株式市場は、米国株式市場と高い連動性があります。
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者