ただしすべての契約を縛る規制ではなく、年収の1/3を超えて借り入れが可能な契約もあります。
この記事では総量規制対象外となる借り入れについて解説していきます。
執筆者:鴨志田 大輔
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー
大学卒業後、広告代理店に入社。
社会人生活をする中で、自分のお金の知識が高くない事を感じ、お金の知識をより持っている方が人生が豊かになると痛感。
人生をより幸せで豊かにする為にお金の知識を持ちたい気持ちが強くなり、ファイナンシャルプランナーの資格を取得
現在は、初心者の方が見て、分かりやすい記事を作成する事でお金の知識を発信することに注力している
目次
対象外には3つの意味がある
総量規制には対象外となる契約があります。対象外となるのは以下の3つに該当する契約です。
1.そもそも総量規制が及ばない業者との契約
2.総量規制の適用除外となる契約
3.総量規制の例外となる契約
それぞれ解説していきます。
1.そもそも総量規制が及ばない業者との契約
そもそも総量規制は貸金業法の規定となります。言い方を変えると、貸金業ではない業者による貸出しに適用されることはありません。
貸金業ではない業者とは、具体的にどんな金融機関かというと、銀行や信用金庫、農協などが挙げられます。これらの業態は貸金業法では規制されません。
つまりこのような金融機関でいくら借りても、総量規制の計算には入らないということです。
2.総量規制の適用除外となる契約
貸金業者との契約であっても総量規制の適用を除外される契約があります。適用除外となる契約における借入額は総量規制の計算に入りません。
具体的に適用除外となる契約は、貸金業法施行規則第10条の21(個人過剰貸付契約から除かれる契約)に列挙されています。その中から主なものをピックアップすると下記のようなものが挙げられます。
1.住宅ローン
2.自動車ローン(自動車担保貸付)
3.顧客や顧客と生計を同じくする親族の特定療養費の支払資金の貸付け
4.有価証券を担保とした時価額までの貸付け
5.不動産を担保とする貸付け
代表的な例は住宅ローンです。当然ながら住宅ローンは年収を超える額になることが多いと思います。また不動産は財産になるため、無担保・無保証のキャッシングなどの金銭消費貸借とは異なる取引であると考えられます。同じ理由から購入物件が担保となる自動車ローンも同様です。
このように総量規制になじまないと考えられる貸付けについては対象外となり、年収の1/3を超えて借り入れすることが可能です。
3.総量規制の例外となる契約
顧客の利益保護に支障がないと考えられている貸付けがあります。こちらは貸金業法施行規則第10条の23(個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約等)で列挙されています。
代表例がおまとめローンです。ただし、おまとめ前よりも条件が悪化する場合は認められません。顧客や顧客と生計を同じくする親族の医療費を支払うための貸付けで返済能力を超えない契約や特定用途の緊急費用の貸付けも例外です。
また、配偶者と合算して年収の1/3以内であれば貸付け可能となる例外や、個人事業者への貸付け、金融機関からの融資が受けられるまでのつなぎ資金の貸付けなども例外とされています。
ただし注意しておきたいのが、例外となる貸付けの場合、借入額が借入残高として計算されるという点です。これはどういうことかというと、例えば年収300万円の場合、100万円が借り入れできる総額になります。
仮に例外貸付けで100万円を借り入れた場合、総量規制の対象となる借り入れはできなくなるということです。もしこれ以上借り入れようとする場合は、総量規制対象外の借り入れを選ぶしかないということになります。
このように、適用除外の貸付けと例外となる貸付けでは同じ対象外でも大きな違いがあります。
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総量規制の対象外でお金を借りるメリット
総量規制の対象外でお金を借りる場合は、年収の1/3を超える借り入れが可能です。総量規制対象の融資を利用するより、多くのお金を借りられる可能性があります。また、消費者金融よりも金利が低い傾向があり、金融機関に対する安心感もあります。
ここでは、総量規制の対象外でお金を借りるメリットについて見ていきましょう。
年収の3分の1を超える借り入れが可能
銀行カードローンなど、総量規制の対象外でお金を借りるメリットの1つが、年収の3分の1を超える借り入れができることです。消費者金融カードローンやクレジットカードのキャッシングなど、総量規制の対象となる場合は年収の3分の1までしか借り入れができません。年収300万円の場合、借り入れの上限額は100万円です。
しかし、総量規制の対象外であれば、年収300万円でも100万円以上借り入れできる可能性があります。1社からだけでなく、「A社40万円、B社30万円、C社50万円」など複数社から合計100万円以上借りることも可能です。
このように、総量規制の対象外でお金を借りる場合は、総量規制対象の商品より、多くのお金を借り入れできる可能性がある点がメリットです。
金利が比較的低い傾向がある
総量規制対象外の商品は、総量規制対象の商品より金利が比較的低い傾向があります。以下は、銀行カードローンと消費者金融カードローンの金利です。
銀行カードローン | 金利(年率) |
---|---|
三菱UFJ銀行カードローン | 1.8〜14.6% |
みずほ銀行カードローン | 2.0〜14.0% |
三井住友銀行カードローン | 1.5〜14.5% |
イオン銀行カードローン | 3.8〜13.8% |
楽天銀行カードローン | 1.9〜14.5% |
消費者金融カードローン | 金利(年率) |
---|---|
アイフルカードローン | 3.0〜18.0% |
プロミスカードローン | 4.5〜17.8% |
SMBCモビットカードローン | 3.0〜18.0% |
レイクカードローン | 4.5〜18.0% |
(2023年8月時点)
上記のとおり、銀行カードローンは上限金利が14.5%前後、下限金利が2.0%前後なのに対し、消費者金融カードローンの上限金利は18.0%前後、下限金利は3.0〜4.5%前後です。
総量規制対象外の融資のほうが金利は比較的低い傾向にあります。
付随サービスを受けられる
付随サービスを受けられるのも、総量規制対象外でお金を借りるメリットです。付随サービスとは、金融機関で借り入れをすることで適用される様々なサービスのことです。
「グループ内のスーパーで買い物代割引」「買い物や支払いに使えるポイントを付与」「ATM利用手数料無料」など、サービス内容は金融機関によって異なります。お金を借りるだけで、このような生活に役立つサービスが適用されるのでお得です。総量規制対象外でお金を借りると、付随サービスを受けられることがあるのはメリットです。
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総量規制の対象外でお金を借りるデメリット
銀行カードローンなど総量規制の対象外でお金を借りる場合は、基本的に即日融資を受けられません。また、消費者金融のように無利息期間が適用されないことが多いのがデメリットです。メリットだけでなくデメリットも把握することで、自分に合うか判断がしやすくなります。
ここでは、総量規制の対象外でお金を借りるデメリットについて見ていきましょう。
即日融資を受けられない
銀行カードローンなど総量規制の対象外でお金を借りるデメリットが、即日融資を受けられないことです。国内の銀行各行は反社チェックを目的として、警察庁データベースへの照会が義務付けられているためです。照会・審査には時間がかかるため、各行は個人向け即日融資を停止しています。早くても申し込みをした翌日以降の融資となります。
銀行カードローンや住宅ローン、自動車ローンなど即日融資は受けられないため、急いでいる方は注意が必要です。
一方、総量規制対象外となる消費者金融カードローンでは、即日融資が可能な場合もあります。
無利息期間がないことが多い
総量規制の対象外である銀行カードローンは、基本的に無利息期間がありません。こちらも警察庁データベースへの照会で時間がかかるためです。しかし、総量規制対象である消費者金融カードローンは、無利息期間がある場合があります。
たとえば、アコムのカードローンは初回契約時に「30日間金利0円サービス」が適用されます。借り入れ日の翌日から30日間が金利0円となります。無利息期間中に返済をすると利息は1円もかかりません。
無利息期間を希望する場合は、総量規制の対象である消費者金融カードローンを検討しましょう。
借り入れする際の注意点
年収の1/3を超えるかどうかの判断は、信用情報機関に登録されている取引データと、本人から提出を受ける年収を証明する書類を利用して行われます。
借り入れをする際にはこの年収を証明する書類の提出が求められます。貸金業者から顧客が提出を求められるのは以下の2つの場合です。
【1】一つの貸金業者から50万円を超えて借りるとき
【2】すべての貸金業者から借りている分を合わせて100万円を超えて借りるとき
この条件に当てはまらない場合は、書類の提出が不要となりますが、もし当てはまる場合は忘れずに用意しておきましょう。
総量規制の対象外となる借り入れについて正しく理解しよう!
総量規制は過剰な貸付けを禁止することで債務者の保護を図る規制です。そのため、規制するまでもない契約は適用除外に、債務者の利益になる貸付けは例外として規制から外しています。また、総量規制を盛り込んでいるのは貸金業法であることから、貸金業ではない業者との契約も対象外です。
適用除外や例外には条件が付いているケースが多い点に注意しましょう。総量規制の対象外はこまかすぎて迷ってしまうことがありますが、概要を知ることで不利を回避できる可能性が高くなります。個別の事案については、専門家に相談するとよいでしょう。
執筆者:鴨志田 大輔
ファイナンシャルプランナー
※商号:アイフル株式会社
※登録番号:近畿財務局長(14)第00218号
※貸付利率:3.0%~18.0%(実質年率)
※遅延損害金:20.0%(実質年率)
※契約限度額または貸付金額:800万円以内(要審査)
※返済方式:借入後残高スライド元利定額リボルビング返済方式
※返済期間・回数:借入直後最長14年6ヶ月(1~151回)
※担保・連帯保証人:不要
■アコム
※ファイナンシャルフィールドでは、アフィリエイトプログラムを利用し、アコム社から委託を受け広告収益を得て運用しております。
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