2018.02.13 家計

「103万円の壁」から「150万円の壁」へ これって結局お得なの?

Text : 林 智慮

平成30年から、配偶者控除および配偶者特別控除の控除額が改正されました。扶養配偶者の所得の上限を引き上げて、もっと働けるのに103万円の壁を意識して働きを調整していた女性たちに、どんどん働いてもらおうというのが狙いです。

配偶者特別控除の枠が拡大されることにより、所得税上の扶養でいられる配偶者の給与収入の上限が103万円から150万円に拡大されたのですが、これは専業主婦にとってお得な改正になったのでしょうか。

夫の収入により控除額が変わります。妻の所得がゼロでも配偶者控除が適用にならないことも

会社員の夫とその妻の場合、夫の合計所得額が900万円以下で妻の所得が85万円(給与150万円)以下であれば、源泉控除対象配偶者(扶養配偶者)として夫の所得から38万円の控除ができます。
 
夫の合計所得が900万円超になると妻を扶養とはできませんが、妻の所得に応じて控除ができます。しかし、夫の合計所得が1000万円を超える場合、妻の所得がゼロでも配偶者控除が受けられません(配偶者が障がい者の場合を除く)。
 
夫の合計所得が900万円の場合、妻の所得が85万円まで扶養配偶者とすることができるのですが、反対に1000万円の家庭の場合、今までできていた扶養配偶者控除の38万円が今年から控除できなくなるため、所得税だけで12万円ほどの増税になります。
 

わざわざ働き方を調整しても、扶養配偶者であることはメリット?

所得税の次に気になるのが社会保険料ですが、社会保険の被保険者の扶養配偶者(年間給与収入130万円、501人以上の会社の場合約106万円)でいれば、保険料を払うことなく保険証も使えるし、将来は年金も受け取れる制度になっています。企業からの手当もあります。
 
社会保険は、もし夫が亡くなった場合、遺族厚生年金が受け取れます。平成19年の改正で、30歳未満の子のない妻は5年間の有期になりますが、子がいる場合は子が18歳になるまで(子が障がい等級1級2級の場合は20歳になるまで)遺族基礎年金も合わせて受給でき、遺族基礎年金の期間が経過後、遺族厚生年金が受給できます。
 
さらに、夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満の妻で子どもがいない場合には、遺族厚生年金に加えて年間58万円の中高齢の加算があります。この加算は、子がいる場合で、遺族基礎年金の受給期間が過ぎて遺族厚生年金のみになったときにも加算されます。
 
ただ、遺族年金は扶養配偶者である必要はなく、共働きでも事実婚であっても、『同一生計、年収850万円未満』の生計維持要件を満たせば支給されます。扶養配偶者のみのメリットではないのです。
 

専業主婦であることのリスク?

国の繁栄のために『家内』の『内助の功』になにかと優遇措置をしてきた日本社会ですが、今は社会構造の変化に伴い専業主婦の優遇は減りつつあります。夫がなんらかの理由で働けなくなったとき、しばらくは傷病手当金の支給があるでしょう。失業保険もあるでしょう。しかし、そのまま生活水準を維持するのは難しいでしょうし、不足分を貯蓄や民間の保険で賄うにも限界があります。
 
その『いざ』というときに自分に収入があることは、生活の安心につながります。そして、会社員の妻である専業主婦は掛金を払わなくても年金が受給でき、夫に先立たれても夫の遺族年金も受給できるのですが、自分が厚生年金に加入することで自分の年金を増やすことができます。
 
今後、公的年金の受給金額は減ってきますが、それに対する備えが、専業主婦でいる場合にはできないのです(iDeCoには加入できますが、掛金全額所得控除のメリットは受けられません)。将来「自分がどう生きたいか」に目を向けると、目先の損得(壁)を考えて足踏みすることもリスクだと考えられます。時間は有限なのですから。
 
※2018/02/14 内容を一部修正させていただきました。
 

Text:林 智慮(はやし ちりよ)
CFP®認定者相続診断士 終活カウンセラー 確定拠出年金相談ねっと認定FP

林 智慮

Text:林 智慮(はやし ちりよ)

CFP®認定者
相続診断士 
終活カウンセラー 
確定拠出年金相談ねっと認定FP

大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

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