更新日: 2019.01.10 貯金

知ってトクする、お金がためやすくなる2つの視点

執筆者 : 野原亮

知ってトクする、お金がためやすくなる2つの視点
お金をためるコツというのは世にあふれています。例えば、人間が本来もっている動物としての本能が幸か不幸か、必ずしも合理的に判断・行動するわけではないので、それを逆手にとった方法。
 
環境、付き合う人、時間配分が変われば、行動も変わるという最もなご意見。
 
あるいは、よりFP的なアプローチであれば、あなたがかなえたい夢や想いをお金にするといくらか、それをためるにはどうしていけばよいか、というライフプランの作成。具体的な行動を促してくれる手法は、その気になればいくらでも手に入ります。
 
筆者もFPとして活動していくなかで、これらの有効性は十分にわかっているつもりですが、いまいちピンとこない部分もあり、もっと感覚的に何かほかに近い概念はないものかと思っていました。
 
そこで、いろんな方のご意見を聞いたり、自分自身経験していくなかで、「ビジネス」「働くこと」と同じように考えると、わかりやすいのでないかということ気づいたのです。
 
実は「ビジネス」と「お金の管理、資産運用」については、共通することがとても多いことに気づかされます。どちらも限りある資源(お金・時間・人材など)を割り振りながら、経営・運用していくのですからそれも当然かもしれません。
 
新年度を迎え心機一転、チャレンジ精神旺盛なこの時期に、お金をためるというテーマについて、それを活かした視点をシェアしたいと思います。
野原亮

Text:野原亮(のはら りょう)

確定拠出年金相談ねっと認定FP

確定拠出年金創造機構代表
https://wiselife.biz/fp/rnohara/
現東証1部上場の証券会社に入社後、個人営業・株式ディーラーとして従事。口座残高が当初20万円のお客様が2,000万円になったことも。その後、営業マーケティング会社に転職。生涯担当顧客は1,000名超。 2016年に確定拠出年金専門のファイナンシャルプランナーとして開業。法人への企業型確定拠出年金制度の導入を中心に、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)制度の普及にも努めている。生活に密着したお金の話は「人生有限、貯蓄無限」と考え、公的年金や資産運用のアドバイスも。2017年、DVD「一人社長・夫婦経営の社長のための確定拠出年金」を出版
https://www.amazon.co.jp/dp/B073JFYMQV

絶対にお金を貯めたいと、本当に思ってる?

まずは、教育資金にしろ老後資金にしろ「絶対にお金を貯めるんだ」という強い意志がなければ始まりません。これは方法論の良し悪し以前の問題です。毎月のお給料さえあれば将来なんとかなる、という安易な考えはほどほどにしてください。
 
例えば、お子さんがいる人は、赤ちゃんが初めてつかまり立ちしたころを思い出してみてください。ただひたすら無邪気に、倒れても倒れても立ち上がろうとしていました。自転車を1人で乗る練習をしていたころはどうでしょうか?
 
転んでも転んでも、お子さんは自転車をこぎ続けていたはずです。大人になるにつれ、幼少時のこの無邪気さはだんだんと失われていきます。その代わり、明確な強い意志と行動力、経済的余力はより大きくなっていきます。
 
ビジネスにおいてもそうですが、勉強だけしていても何も始まりません。実際に「売ってみる」、少額でもよいから「稼いでみる」、ということをやってみないと前に進めせん。
 
まずは「お金を貯めたい」という強い意志が大切です。方法はあとから学べばよいのです。限られた時間のなかでは「走りながら考えられるようになる」ということがどうしても必要です。
 
実際に、人生にまつわるお金の話を100%理解していて、100%実行できている人がいるのか、はなはだ疑問です。どこかで、なんとなくやっている部分は多かれ少なかれあるでしょう。できるかどうかはともかくとして、100%理解してから始めたのでは、あっという間に100歳になってしまいます。
 
ただし、基礎やセオリーを学んだり、メンター(指導者)が身近にいれば、より最短距離で目標に近づけたり、大きな痛手を被ることを防げたりするのは間違いないでしょう。それでも行動する意志がなければ、その出合いは活かされることはありません。
 
とはいっても、実際には強い意志はあとからついてくることも多いです。実生活で何か行動を促すような切迫することがあったり、とてもワクワクするような出来事や教えがあったりと、なにかのきっかけが、強い意志をもたらしてくれることもあります。
 
そのため、普段からの情報収集や、異質な世界の人との交流は継続するとよいでしょう。
 

リアルに2歩先をイメージでき、1歩先へ進もう!

「お金を貯めたい」と強くイメージできれば、あとはどうにかしてそこへ向かおうとします。あまりに遠い夢であろうが、現実味のない夢であろうが、やると決めた瞬間、ただの目標です。その瞬間から目標達成までのプロセスを考え、実行していきます。
 
よく「1歩先をイメージする」といいますが、もっと先をリアルにイメージしましょう。2歩先、3歩先です。これがリアルにイメージできたなら、いまから1歩先へ進めます。
 
この「リアルさ」がとても大切で、これにより「演じきる」ことができるようになります。理想の自分がはっきりしていればなおよいですが、実際には身近で目標とする人がいればよいです。
 
その憧れの自分がいて、その自分であればこうするだろうなとか、こう言うだろうとか、こんなことがあるだろうなとか、未来の自分を演じきってみましょう。
 
マーケティング的にいえば、未来の自分というのは「ペルソナ」とか「ターゲット」がそれにあたりますが、それを演じきるのです。
 
例えば、ヒーローになりきる息子さん、ヒロインになりきるお嬢さんを思い出すとわかりやすいでしょうか。
 
みんな一生懸命に演じきっていますよね。それを見る側からしたら、こんな細かいとこまで真似しようとしているんだとか、そんなシーン知らないよ、というくらいまで演じきっています。
 
あるいはフェイスブックでは過去の投稿、1年前の今日はこんな投稿をしていましたとか、3年前の今日はこうでしたとか知らせてくれます。
 
いまその投稿を見て「あのときやっていたことは間違いではなかった」「いまは過去の延長線上にある」ということが一目瞭然です。そのとき初めて、いまはリアルな未来にとっては「ただの過去」ということがわかってくるのです。
 
リアルにイメージし演じきることができれば「いつかこうなりたい」から「未来の自分はこうしているはずだ」というように思考が変わってきます。
 
環境・人・時間配分、自分事ではないことよりも、自分がやるのかやらないのか、ただそれだけだというシンプルな思考に行き着く気がしませんか。
 

リアルイメージがとても大切な理由

人間は自分の意志をしっかりもっていたとしても、なかなか行動が伴わないことがよくあります。これは意志を司る人間脳と、行動を司る動物脳が、まだ同じ方向を向いていないことから生じます。]
 
どういうことかというと、例えば「唾をためてください」と言われてすぐに唾がたまるか、試してみてください。きっとすぐにためることは難しいのではないでしょうか。
 
では、これならどうでしょうか。「酸っぱいレモンをイメージしてみてください」
 
先ほどと違い、自然と唾がたまってきたと思います。自分の意志で唾をためることができなかったのに、唾がたまるようなイメージをリアルにもてたことで、結果的に唾がたまりました。
 
「お金を貯めたい」そしてそのお金で「何がしたいか」。ぜひリアルにイメージしてみてください。これができればあとは方法論を勉強していくだけですし、そのイメージにそぐわないことを「やらない」ということが見えています。
 
お子さんが成長していくなかで、新しい環境で挑戦し始めるこの時期、新年度が新たな未来へのスタートとなるよう願ってやみません。リアルな未来の自分に会いにいきましょう!
 
Text:野原 亮(のはら りょう)
確定拠出年金相談ねっと認定FP,確定拠出年金創造機構代表