2018.07.11 家計

結婚して専業主婦を選んだ30代女性の迷い・・使えるお金について

女性には、働き方にたくさんの選択肢があります。結婚を機に仕事を辞める人、お子さんの誕生のために仕事を辞める人、最近では介護の理由でという人もいるのではないでしょうか? 
 
いろいろな場面で自分の道を選択するのは女性の方が圧倒的に多い。だからその場面が来たときにいつも悩み、決断をくだして自分の場所を変化させていることでしょう。特に30代は幅広い選択があるはずです。
 
今回は結婚して専業主婦を選んだ、沙織さん35歳(仮称)の迷いについて一緒に考えてみました。
 
現在8歳(小3)と6歳(小1)の子育てと家事をこなす専業主婦。子供たちのお稽古代にお金がかかり、夫の給与だけでは心配なため、そろそろ働きに行こうかと迷っていました。
 
また、子供たちの幼稚園時代からのママ友で、働きにいく人がでてきたことも気になっているそう。
 
専業主婦でいるか、パートで働くか、しっかり働くかで迷ってしまったのです。そこで、使えるお金がどれだけ増えるのか、また将来の年金はどれだけ増えるのかで試算してみました。
 

そのまま専業主婦でいたら、家計は厳しい

沙織さんの夫は会社員。給与は手取りで月に33万円ほど。中古マンションを購入し返済中のため、生活費は住宅ローンの返済もあり、お小遣いは夫3万5000円、自分は1万円ほどです。
 
食費も外食は抑えていますが、30万円前後の支出です。子供たちの将来の学費のために毎月3万円の貯金はしています。
 
こんな状況ですが、子供たちの希望は叶えてあげたいと、ピアノとスイミングを習わせています。今は低学年なので塾には行かせていないのですが、近所の子供たちは高学年になるとみんな塾に行っているようです。
 
このまま何もしないで、家計を切り詰めるだけでは厳しそうです。将来のための貯蓄ができず、ずっと不安と向き合っていくように感じています。
 
この場合は、使える総額が決まっています。無駄遣いをしないで、夫の給与だけでこれからをやっていくことを想定し、家計のやりくりを考えていかなければいけません。
 
沙織さんも、夫の給与は将来平均給与くらい上がる見込みとのことなので、平均額でお話をしていきます。
 
厚生労働省が発表した平成30年度年金額は国民年金を20歳から60歳まで40年間掛けて満額受け取れます。今年度の年金額では1カ月に6万4941円受け取れます。
 
厚生年金の男性の平均額は16万6863円です。夫が平均的収入(平均標準報酬〈賞与含む月額換算〉42.8万円)で40年間働き、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯のケースでは標準的な年金額として22万1277円となっています。
 
夫の給料が今後上がっていくことを考えると、この金額が参考になります。年金は2人分で月22万円ほど。年金は減少傾向ですから、それも考慮すると年金以外にも老後の準備も必要ではないでしょうか。
 
お子さんの教育費とのバランスも考えていきたいところです。
 
●専業主婦で働かないケース
 働いて増える収入:0円
 将来の年金見込み金額(夫婦):月額22万円
 

もし1日4時間パートに出たら

子供たちに寂しい思いをさせたくないと考える人は、子供たちが学校に行っている午前中だけ、という働き方も選べます。
 
沙織さんがもし1時間1000円のパートで4時間働いたとしても、子供たちは小学校に行っているため、余分な保育費用は掛かりません。
 
週に5日、1カ月で20日働いたものとして計算すると、1カ月に8万円収入が増えます。沙織さんは35歳です。60歳まで25年間このパートを継続したら、総額2400万円にもなります。
 
お子さんの教育費や余裕資金として使うこともできます。この場合の年金額は厚生年金に加入していませんから変わりません。
 
お子さんの成長に合わせて、勤務時間を増やしていくとさらに余裕資金を増やせます。専業主婦の選択は幅広いのです。時間を自由に組立てられるのは大きな強みといえます。
 
●パートで働いたケース(1日4時間 月8万円 25年間)
 働いて増える収入:約2400万円
 将来の年金見込み金額(夫婦):月額22万円
 

もし厚生年金に加入してフルタイムで働いたら

25歳で結婚してから、ずっと専業主婦をしていた沙織さん。本人は気付いていないかもしれませんが、実はこの期間に社会対応力がぐんと上がっているのです。
 
効率的な家事の手順を考えたり、父母会などでコミュニケーション能力を高めたり、さまざまなことを自然に身に付けていたりします。
 
社会復帰を不安に感じるかもしれませんが、専業主婦をしたからこその視点や手際の良さを持っています。契約社員、正社員などのステップを踏むかもしれませんが、自分の力をたくさんの人に向けて発揮していくことができます。
 
自信にもなりますし、何より給与、年金を自分の力で増やせます。
 
税引き後の手取りを年間200万円で計算すると、総額5000万円の使えるお金が増やせます。税金負担や社会保険料負担などでてきますが、手取りで考えてみましょう。使えるのは実際に振り込まれたお金です。
 
年金は毎月20万円の給与で計算して、沙織さんが25年働くことで厚生年金は年間32万8000円ほどになります。少ないようにも感じますが、年金は一生涯受け取れます。
 
100歳までの総額は変わらないものとして約1148万円受け取れる計算になります。受け取ったものをどんどん使っていける、一生涯受け取れる仕組みを頑張って働いて作ったことになります。
 
人生の中では、いろいろな出来事が待っています。これは必ず起きるわけではありませんが、ご主人の会社の経営が悪くなることも、病気で働けなくなることもありえます。
 
そんなときに経済力を夫に頼る専業主婦から、自分で支える強い立場に変身することもできるのです。専業主婦の選択は幅広く大きな変化を生み出します。
 
●厚生年金に加入して働いたら(給与20万円、25年間)
 働いて増える収入:約5000万円
 将来の年金見込み金額(夫婦):月額24.8万円
 
将来の年金額は、年金定期便により知ることができます。受け取れる金額は一人ひとり違います。将来受け取れるお金を、しっかり確認されることをお勧めします。
 
これからのいろいろな選択のときに、参考にしてみてはいかがでしょうか。
 
Text:木田美智子(きだ みちこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

木田美智子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
確定拠出年金相談ねっと認定FP、DCアドバイザー、証券外務員内部管理責任者、相続士、金融知力インストラクター、FP未来への扉(幹事)、SANWA DCサポート代表。

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