更新日: 2024.10.10 働き方

これからの暮らし方はどう変わる? 早期リタイア希望の若者 vs 残留希望の中高年

これからの暮らし方はどう変わる? 早期リタイア希望の若者 vs 残留希望の中高年
高年齢者雇用安定法が改正され、2021年4月から、70歳までの就業機会の確保が事業主の努力義務になりました。会社で長く働きたい中高年にとっては朗報ともいえますが、若者の中には別の動きもあります。会社に依存しない生き方へのシフトが進んでいるようです。
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

若者が関心を持つFIREって何?

FIREに関心を持つ若者が増えていると聞きます。まだまだ聞きなれない言葉ですが、FIREはFinancial Independence, Retire Early の頭文字だそうです。経済的に自立して会社組織から早期退職をすることです。
 
アーリーリタイアといえば、アメリカンドリームがかない一獲千金で富を得て、若くしてリタイア生活に入るイメージもあるかもしれません。コツコツ勤勉に働く日本人にとっては別世界、そこには「一生暮らせる資金を持つ」必要がありました。ですが、FIREは少し様相が違います。
 
FIREはどのような仕組みかというと、資産運用が収入の柱になります。何もしなければ手持ちの資産は目減りする一方なので、悠々自適な生活はできません。
 
米国でモデルになったのは、60万ドルが貯まったので早期リタイアしたご夫婦の例です。自宅は所有しています。彼らはまず節約生活を始めました。これは原資となる資金を作ることが目的ですが、無駄のない自分らしい生活に関わる費用を知る術にもなります。
 
一般的にFIREによってなされるのはシンプルな生活であり、華美な生活を目指すものではありません。
 
彼らの場合、年間支出は2万4000ドルと計算できました。必要な貯金額は年間支出の約25倍と設定しています。これなら4%で運用すれば、原資を減らすことなく暮らすことが可能です。年間支出額が多くなれば必要な貯蓄額は25倍が連動されますので、リタイアまでの年数は先延ばしになるという仕組みです。
 
ここで4%でなく5%にリターンをアップするとリスクも大きくなりますので、無理は禁物です。中には「早期にリタイアしたいから」と極端な節約生活を始める人もいるようですが、これにより算出された年間支出が今後の生活費のベースになりますので、バランス重視で長続きさせることも成功の秘訣(ひけつ)です。
 

中高年が望む働き方とは

一方、中高年の間では「長く働く」を希望する人が多数存在します。ある程度の蓄えがあってもなお、生涯現役を理想としている場合もあります。
 
日本労働組合総連合会(連合)が「高齢者雇用に関する調査」を、2019年12月18日~12月20日の3日間で実施しました。対象者は全国の45~69歳の有職者です。
 
65~69歳の「何歳まで働きたいか」の希望年齢は71.1歳という結果です。改正された高年齢者雇用安定法の70歳と均衡する数字です。他の質問の回答からも、若い世代とは違う価値観を持っていることが裏付けられます。とても興味深い内容です。
 

(図情報、連合調べ/出典:日本労働組合連合会「高齢者雇用に関する調査2020」(※))
 
中高年世代といえば、長時間働いて会社に身をささげ、「働くことが生きがい」と考える人も多く存在します。またバブルを経験して「ブランド品を身につけて高級レストランで食事をした」「不動産や株の大暴落を目の当たりにした」など、2つの両極端な記憶を持っています。
 
コロナ禍の生活で断捨離をした方もいらっしゃるかもしれませんが、それでも「お買い物大好き」で贅沢な志向を持ち合わせている方もいるでしょう。このような方はもしかしたら、シンプルな生活に移行するのは難しいかもしれません。
 
またバブル崩壊の経験から、大事な老後資金を運用することに警戒感がある方もいらっしゃるでしょう。お金の出入りが多く、収入を求めて働くことが生きがいとなる場合もあります。
 
若者と中高年の生活感や働き方、会社との距離感などの違いを見てきました。もちろん、多種多様な考え方があり、両者どちらが正解というわけではありません。違った考え方を知ることで、今後につながる見方や、新たな視界が広がるのではないでしょうか。
 
(※)日本労働組合連合会「高齢者雇用に関する調査2020」
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集