更新日: 2024.10.10 ライフプラン

育児と仕事を両立したいなら起業もあり?ママが起業を始めるとき注意したいこと

育児と仕事を両立したいなら起業もあり?ママが起業を始めるとき注意したいこと
政府の働き方改革により「多様な働き方を選択できる社会の実現」を目指して色々な施策が動き出しています。

副業解禁などの流れもそうですし、特に子育て世代の女性の中では育児などとの両立を目指し「起業」する動きも見られるようになりました。いわゆる「ママ起業」と呼ばれる、趣味や特技を身の回りから売っていく小さい起業を始める女性から相談を受けることが増えてきました。

ファイナンシャルプランナーとして、同じく子どもを育てながらフリーで活動する者として、ママが起業を考えるときに必ず確認してほしいことを考えます。
塚越菜々子

Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
https://mamasuma.com

何のために始めるのかを確認しましょう

結婚とともに寿退社という女性は減ってきていますが、子どもを産んだ女性の多くは男性に比べると依然として「働き方を変える」選択を迫られます。
 
女性の働き方というのはもはや社会問題であり、個々の家庭だけで完結できる問題にはなっていません。家計に関する相談の中で「今後の働き方を考えたい」というご相談は多く、多くの女性が自身の働き方を模索していると感じています。
 
そしてその働き方の一つが「起業」ということです。
 
パートも正社員も派遣も、種類は違えど手にするお金は「給料」です。それに対して「起業」というのは雇用契約を結び給与をもらうものとは全く違う働き方です。
 
収入のために起業という働き方を選ぶのか、それともやりがいや自分の能力を生かした独立なのか、はたまたあくまで本業で生計を立てたうえで「趣味」的な要素で試してみるのかで、行動の仕方は全く違ってくるはずです。
 
人の指示ではなくすべて自分の責任で行うものだからこそ、いつも順風満帆とは限りません。うまくいかなくなった時「何のために?」が重要になってきます。
 

収入の柱にするつもりなら確認したい「金額と期限」

世帯の大黒柱ともいえる人が起業するとなると、それはすぐに自分や家族の暮らしを成り立たせる収入を得なければなりません。
 
最低限必要になる金額は比較的明確で、猶予もかなり短いことでしょう。それに対し、ママの起業というのは多くの場合夫が生計の大部分を担い、妻は補助的であったり、または専業主婦で収入の柱の役目はしていないことも多いです。
 
起業して得ようとしているお金が「家計の収入の柱」として機能しなければならないのなら、「金額と期限」が必要です。起業の収入は給与と違い税金や社会保険等も自分で支払わなければなりません。もらった金額は家計で使っていい給与とは違い、手取りにあたる部分を自分で計算できなくてはいけないのです。
 

趣味ややりがい重視なら「費やしていい金額」の設定を

ママが起業する理由は、収入を得るためばかりではありません。
 
子育てが落ち着いたので長年の夢をという方もいますし、はたまた子どもがいてもやりがい見つけたい、何か新しいことをしたいという思いの表れが「起業」という形になることもあります。自分のできることで役に立ちたい。そんな想いを抱いている方も多くいます。
 
ママ友や知人に提供してあげている程度のうちは大きな収入になることもない代わりに、大きくお金がかかることもあまりありません。
 
しかし、自分を知らない第三者にサービスを提供するとなると、チラシや名刺などの広告宣伝ツール、また売り方を学ぶための研修代などがかかることは想像できますね。
 
起業の活動が、収入を得るためではないとしたら、それらのお金は「娯楽費」「お小遣い」に相当するものかもしれません。その場合、家計の中でそれに費やしていい金額の上限は定めておかねばなりません。
 
ママであっても、誰かの役に立ち・喜ばれて報酬を受け取るという喜びを味わいながら社会とつながることはとても素晴らしいことだと思っています。
 
ですが、家計管理の観点からは「仕事なのか」「趣味なのか」の線引きはきちんとしなくてはいけません。
 
初めの設定をしっかりとせずにずるずると「起業」にのめりこんでしまうことは、ゆくゆく自分も家族も苦しい思いをしてしまいかねません。働き方の一つとして「起業」を検討しているのなら、しっかりと家計と向き合うことも準備の一つとしていただきたいと思います。
 
Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

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