更新日: 2024.10.10 働き方
非正規雇用で働く女性の実態。平均年収や経済的・時間的ゆとりの有無は?
派遣社員やパート・アルバイトなど、非正規雇用で働いている女性の方が多いことが分かりますが、その実態はどのようになっているのでしょうか。
今回は、日本労働組合総連合会(所在地:東京都千代田区)が発表した「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」(※2)をひもといてみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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非正規雇用で働く女性の平均年収
この調査は、全国の非正規雇用(有期契約社員・嘱託社員、臨時・非常勤公務員、派遣社員、パートタイマー、アルバイト)で働く20~59歳の女性1000名を対象に行われたもの。
まず、個人年収をみてみましょう。
・100万円未満 31.1%
・100万円~199万円 35.0%
・200万円~299万円 25.5%
・300万円以上 8.4%
→平均:167.9万円
ほとんどの人が、300万円未満という結果に。
ちなみに、「主な家計収入が自分」という人の個人年収平均は「214.2万円」、「主な家計収入が配偶者」という人は「137.6万円」でした。夫の扶養に入りながら働く層をイメージすると、やはり199万円以下に集中するのかもしれませんね。
非正規雇用で働く女性の職種については、以下のとおり。
1位:販売・接客・サービス職 43.0%
2位:事務職 19.6%
3位:わからない・その他 15.2%
4位:医療・福祉・介護職 11.8%
5位:生産工程 6.0%
販売・接客・サービス職がダントツの1位で、半数近くを占めています。
また、「平均的な1週間の労働時間(残業含む)」のTOP3については、1位「20~30時間未満」(21.3%)、2位「10~20時間未満」(19.1%)、3位「35~40時間未満」(14.1%)でした。
全体でざっくりみると、週35時間未満がおよそ7割、35時間以上がおよそ3割という結果に。個人年収の分布からしても、この労働時間が妥当といえそうです。
「経済的なゆとりがない」という人がおよそ7割以上
非正規雇用で働く女性の年収や労働時間をみてきましたが、生活についての意識はどのようになっているのでしょうか。
1位:あまりゆとりがない 38.4%
2位:まったくゆとりがない 28.5%
3位:ある程度ゆとりがある 22.1%
4位:どちらともいえない 7.4%
5位:ゆとりがある 3.6%
ゆとりがない計がおよそ7割、ゆとりがある計がおよそ3割という結果に。
多くの人が経済的に余裕がないと自覚していることが分かります。「主な家計収入が自分」という人に絞ると、ゆとりがない計は8割近くにも。
ちなみに、「時間的ゆとり」については以下のとおり。
1位:ある程度ゆとりがある 43.3%
2位:あまりゆとりがない 26.4%
3位:ゆとりがある 12.2%
4位:まったくゆとりがない 11.6%
5位:どちらともいえない 6.5%
ゆとりがある計が55.5%、ゆとりがない計が38.0%でした。経済的なゆとりよりも、時間的なゆとりの結果の方がまだマシということが分かります。
ただ、この回答をシングルマザーに絞ってみると、ゆとりがない計が55.1%、ゆとりがある計が34.8%に。
自分の収入で子どもを養うひとり親については、経済的にも時間的にもゆとりがなく、厳しい状況であるということが改めて分かる結果になりました。
「女性の活躍」について、非正規雇用で働く女性の本音とは?
近年、女性の活躍の推進が注目されていますが、実情はどのようなものなのでしょうか。女性の本音をみてみましょう。
1位:女性だけに働くことと家事・育児の両立を求める風潮に疑問を感じる 49.9%
2位:非正規雇用の女性の働き方にも目を向けてほしい 32.7%
3位:いろいろな制度があっても知る機会がない 28.2%
4位:女性だけでなく、男性にももっと当事者意識を持ってほしい 28.1%
5位:女性活躍に関する制度だけでなく、現場の理解が高まればいいと思う 23.5%
この回答をみる限り、まだまだ社会の風潮として「女性が働くのもいいが家事・育児はどうするんだ」という見方が残っているということが伺えます。さらに、女性が働きやすくなるためのさまざまな制度が、まだ現場に浸透しておらず理解が得られにくい……と悩んでいる人も少なくないことが分かります。
非正規雇用の女性が経済的・時間的にゆとりを持って生活できるようになるためには、より一層の政府の推進と現場の理解・制度の活用が必要といえそうです。
出典
※1 総務省「労働力調査(2021年)」
※2 日本労働組合総連合会「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部