更新日: 2024.10.10 働き方
副業より「残業」のほうが稼げる? 残業のメリットとデメリットを解説
パーソル総合研究所が2019年、正社員として働く男女に対し実施した「副業の実態・意識調査」によると、過重労働で体調を崩した、本業に支障が出た、といった人(複数回答)は副業経験者約1000人のうち10~13%程度いました。
「副業で労働時間が増えるくらいなら、残業のほうが稼げるのでは?」と思う人もいるのではないでしょうか。ここでは、副業と比べた残業のメリットとデメリットについて解説します。
執筆者:北川真大(きたがわ まさひろ)
2級ファイナンシャルプランニング技能士・証券外務員一種
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
証券外務員一種
お金は生活するうえでなくてはならないものですが、単なる道具にすぎません。
「資産を貯める・増やす」の先を一緒に考えていきましょう。
●個人投資家として実体験に基づくアドバイスを行う
●お金との適切な「距離感」を保つ
●独立支援にも強い
●独身、一人暮らしの家計管理が得意
残業のメリット
残業を行う上でのメリットは2つあります。
副業より時給が高い
1つは残業でもらえる時給が、副業の平均時給より高い点です。パーソル総合研究所の調査結果によると、副業の平均時給は1652円です。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、残業の平均時給は1863円になります。
時給200円程度の差ではありますが、副業より残業のほうが平均時給は高いです。副業は自分で売り上げを作らなければいけないのに対して、残業は会社から所定の金額が支給されるため、副業よりはるかに稼ぎやすいというのが2つ目のメリットといえます。
残業で評価されることもある
古い価値観が根強く残っている会社の場合、残業を評価する上司がいるかもしれません。本来であれば、限られた時間で集中して業務を行い、結果を出している人を評価すべきです。
ただし、実際は人柄や態度など、結果以外の部分も評価対象にされています。残業しない人を「やる気がない」と恣意(しい)的に評価する会社では、残業している人のほうが会社のために頑張っていると評価されやすいこともあります。
残業のデメリット
ただし、長時間労働の習慣化による過労死の問題やサービス残業、深刻化する人材不足の時代とのズレを含め、残業にはデメリットが大きいので、上記のようなメリットはありますが、残業で稼ぐという考え方は持たないほうが良いでしょう。
生活のために不必要な残業をやりがち
本当に仕事が終わらなくて残業するのは、仕方がないといえます。問題は、残業代が欲しくて残業してしまう、いわゆる「生活残業」です。
生活残業とは、生活費を稼ぐためにわざと仕事のペースを落として、残業代をもらう行為のことをいいます。これを続けると、いつしかダラダラ仕事をするのが当たり前になり、常態化してしまいます。
昇進などの収入を増やす機会を失う懸念がある
ダラダラ仕事をするのが当たり前になると、一般的には評価されづらくなります。昇進の機会を失うだけでなく、新しい業務にチャレンジする機会を失うでしょう。効率よく仕事をしている人のほうが昇進する可能性はあります。
また、副業をしている人と比べても収入を増やしづらいです。副業で月10万円以上稼ぐ会社員は15%以上います。残業の平均月収は2万5000円にとどまっており、昇進しなければ残業代が増える可能性は低いといえるでしょう。
残業は長期的な弊害が大きい
短期的には残業のほうが副業より稼げます。会社から決まった金額が支給されるため、副業より楽だと感じる人もいるかもしれません。ただし長期的には先に説明した通り弊害が大きいため、生活費のために残業をするのはおすすめできません。
効率よく仕事をして残業を減らし、本業でのキャリアアップや副業につなげ、さらなるスキルアップに努めましょう。
出典
パーソル総合研究所 副業の実態・意識調査結果【個人編】
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和4年6月分結果速報
執筆者:北川真大
2級ファイナンシャルプランニング技能士・証券外務員一種