更新日: 2022.10.04 働き方

会社員の年収アップに「パラレルキャリア」が注目される理由を解説

執筆者 : 茂野博起

会社員の年収アップに「パラレルキャリア」が注目される理由を解説
新型コロナウイルス感染拡大に伴う労働環境の変化によって副業への挑戦が身近な選択肢となる状況下、パラレルキャリアという言葉を耳にするようになったという方もいるかもしれません。
 
本記事ではパラレルキャリアとはどのようなものか、そしてどのようなメリット、デメリットがあるかについて、分かりやすく解説していきます。
茂野博起

執筆者:茂野博起(しげの ひろき)

AFP・2級ファイナンシャルプランニング技能士

パラレルキャリアとは

パラレルキャリアとは、本業で収入を得ながら、他の活動を並行して行うことです。必ずしも収入が発生する活動とは限らず、直接的に金銭的なリターンが生じない活動もパラレルキャリアに含まれます。

<収入を伴うパラレルキャリアの例>

・本業の知識や経験を生かしたコンサルティング業
・ライター・ブロガーなどの執筆業
・プログラミング

など

<収入を伴わないパラレルキャリアの例>

・少年野球などの指導者
・各種コンクールやオーディション活動
・モデルや俳優などの芸能活動
・ボランティア活動

など

※さまざまな形態があるためいずれもひとくくりにはできません。
 
収入面は無償の場合もあれば、本業をしのぐ規模のお金を稼いでいる場合もあります。また、パラレルキャリアを無償で行っている人でも、本業以外の活動を一種の「自己投資」と位置付けている場合があります。
 

パラレルキャリアと副業の違い

それでは、パラレルキャリアと副業とはどのように異なるのでしょうか? たしかに複数の職業をもつという点など、パラレルキャリアと副業には共通点があり、必ずしも法的根拠や金額的基準などに明確な線引きがあるわけではありません。
 
ただ、両者には「何を目的としているか」という力点の置き方に顕著な違いがあります。副業が収入アップを主目的としているのに対し、パラレルキャリアは収入の有無やその規模に関わらず、キャリアアップや自己実現の手段として位置付けられていることが特徴です。

<副業の例>

・フードデリバリーの配達員
・広告収入を売上とするブログ運営
・ネットショップの運営

など

※それぞれ自己実現の一貫として取り組む場合もありうるため、一概には言えません。
 

パラレルキャリアを実践する会社員が増えた時代的背景

パラレルキャリアが注目されるようになった一因として、新型コロナウイルス感染拡大による在宅ワークの広がりが考えられます。
 
図表1の通り、内閣府の調査では足元で全体の半数近くの企業において副業が全部、もしくは一部許容されています。
 
【図表1】勤務先の副業に関する制度(企業規模別)

図表1

 
出典:内閣府 第5回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査
 
企業によっては在宅ワークへの移行によって従業員の隙間時間が増えたため、働き方の選択肢が広がったことでパラレルキャリアに挑戦する機会も増えたと言えるでしょう。
 

パラレルキャリア実践する上でのメリット・デメリット

パラレルキャリアは自己実現を前進させる可能性を秘めているという魅力がある一方、注意しておきたいデメリットもあります。
 
ここからはパラレルキャリアのメリットとデメリットを紹介していきます。
 

パラレルキャリアのメリット

主なパラレルキャリアのメリットは下記のとおりです。
 
◎ 収入アップを見込める
収入を伴うパラレルキャリアの場合には、年収アップが見込めます。
 
◎ キャリアチェンジの準備になる
会社員としての本業を持ちながら別のキャリアを模索することは、リスクを負わずに次のキャリアに挑戦する良いシミュレーションにもなります。本業が一種の「リスクヘッジ」となっていることもあり、安心してキャリアチェンジに向けた準備に取り組める点がメリットといえるでしょう。
 
◎ キャリアのリスクヘッジに活用できる
勤務先企業の業績悪化に伴う倒産やリストラに備え、パラレルキャリアでリスクヘッジをするという考え方もあります。万が一の場合のスムーズなキャリアチェンジを可能にするためには、パラレルキャリアで多様な選択肢を確保しておくことが有効といえるでしょう。
 
◎ 人脈を作ることができる
本業以外の活動は人脈を広げることにつながります。場合によってはキャリアアップに結び付く有意義な出会いも期待できます。
 

パラレルキャリアのデメリット

一方、パラレルキャリアには以下のようなデメリットもあります。
 
◎ 本業に支障が出る可能性がある
本業以外に職業をもつことは、時間的、身体的そして精神的な余裕を失う恐れがあります。本業をおろそかにしないことが、先に紹介したパラレルキャリアのさまざまなメリットを引き出す上での大前提とも言えるでしょう。
 
◎ 勤務先の副業規定に抵触する可能性がある
パラレルキャリアや副業を認める企業が増えたとはいえ、すべての企業に該当するわけではありません。副業規定をしっかりと確認した上で活動しなくては、社内規定違反になりかねません。特にパラレルキャリアに収入が伴う場合は注意が必要です。
 
◎ 勤め先企業の保有する情報をもとにした活動は控える
本業の勤め先企業の情報を漏えいしたり、その情報を利用して収益を発生させた場合には、副業規定に抵触するだけでなく法的責任を問われるリスクも生じます。パラレルキャリアで活動する場合、本業の勤務先が保有する情報の取り扱いには十分注意しましょう。
 

パラレルキャリアが不安定な時代を乗り越えるためのヒントに

勤務先の副業規定に抵触しないことなどの最低限の注意を怠らなければ、本記事で紹介したとおりパラレルキャリアには収入面にとどまらないさまざまなメリットがあります。
 
同一企業に生涯勤め続けるという雇用慣行が揺らいでいる今、豊かな将来への足がかりとしてパラレルキャリアを実践することは、有効な選択肢といえるでしょう。
 

出典

内閣府 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査
 
執筆者:茂野博起
AFP・2級ファイナンシャルプランニング技能士

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