求人票の「固定残業代」はブラックの証し?実際どんなメリットがあるの?
配信日: 2022.10.08 更新日: 2024.10.10
この記事では、固定残業代という制度の基本についてお伝えします。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「固定残業代」は、むしろ労働者側に有利
固定残業代とは、会社があらかじめ設定した時間(みなし残業時間)の時間外手当(残業代や休日出勤代)を給与と合わせて従業員に支払っておく、雇用契約の給与体系の一種です。従業員がもし、ある月にみなし残業時間を超える残業などの時間外労働を行った場合には、その超過分について通常の算定基準で会社は時間外手当を支払わなければなりません。
求人票に「固定残業代」と書かれているために「毎月、固定時間の残業をさせられるのではないか」「ブラック企業じゃないか」と思い、応募をためらう人もいるようですが、それは誤解といわなければなりません。なぜなら、従業員の実際の時間外労働がみなし残業時間に満たなかった月でも、会社は固定残業代を支払わなければならないためです。
つまり、従業員が固定時間の残業を強制させられるのではなく、会社に固定残業代を毎月支払う義務が課されるのですから、むしろ従業員にとって有利な条件といえます。
残業代を稼ぐために、ダラダラと会社に居残ることはなくなり、むしろ定時で帰るほうが得なのですから、普段から仕事の生産性を上げようというモチベーションにもつながります。そして、労働生産性の向上は、長い目で見れば会社にとっての売り上げ向上というメリットにもつながるでしょう。
正しくない固定残業代制度とは?
以上のことから、求人票に「固定残業代」と書かれているからといって、それだけでブラック企業の証拠になるわけでは全くありません。固定残業代制度がなく、残業に対してその都度、残業代を支払う会社よりも、労働条件としては優遇されているのです。残業代は最低でも通常の給与より25%割り増しで支払われますから、都度残業代でも十分有利ですが、実際の残業時間がみなし残業時間に満たなくても固定残業代を受け取れる条件のほうがより有利といえます。
ただし、固定残業代について、不正な表示や規定をしている会社は、何かしらの事項を隠そうとしているおそれがあるため、警戒しなければならないでしょう。
固定残業代を制度として定めている会社が求人を出す際は「固定残業代を除いた基本給の額」「固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法」「みなし残業時間を超える時間外労働に対しては、割増賃金を追加で支払う旨」の3つを明記しなければならないと、厚生労働省が指導しています。つまり、固定残業代が従業員にとって有利な条件であることを求人の段階で明らかにしておく必要があるのです。
もし、3つのいずれかの表示が欠けていて、基本給と固定残業代の区別が明らかでなかったり、みなし残業時間を超えた残業をした場合の支払いを明示していなかったりする会社は、一方的に従業員にとって不利な運用をするおそれがあるので、電話やメールなどであらかじめ問い合わせておいたほうがいいでしょう。
固定残業代を正しく表示している会社に応募しよう
固定残業代と書かれている会社は、むしろ残業が少なく、従業員に優しい会社である可能性があります。より効率的に働いて、定時後や休日を有意義に過ごそうとするモチベーションにもつながるからです。
ただし、求人票の段階で紛らわしい書き方をしている会社は警戒しなければなりません。興味はあるけれど「基本給」「固定残業代の計算方法やみなし残業時間」「みなし残業時間を超えた場合の支払い」の3つがよくわからない会社には、応募の前に詳細を問い合わせることをお勧めします。
出典
厚生労働省 固定残業代 を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。
厚生労働省 働き方改革応援レシピNo.141
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部