残業が多いと「社会保険料が上がる」? 社会保険料の決まり方について解説
配信日: 2022.11.18 更新日: 2024.10.10
しかし、残業が多いと社会保険料が上がってしまうとも言われています。
そこで本記事では、残業時間と社会保険料の関係についてと、社会保険料の決まり方を解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそも社会保険って何?
社会保険は主に、厚生年金、健康保険、介護保険、子育て支援を含めた雇用保険の4つの公的な保障を指します。これらの公的保障は必要不可欠なものなので、国民全員でお金を出し合って支えていこうという制度です。そのため、原則として国民全員で社会保険料を納めるようになっています。
社会保険料の決まり方
健康保険と厚生年金の保険料は、標準報酬月額によって決まります。標準報酬月額は、被保険者の毎月の給料を含めた報酬額を月額で区分したもので、定時決定と随時改定によって決まるものです。この報酬については、基本給のほかに家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当なども含まれます。
定時決定
算出する年の7月1日時点において、4月から6ヶ月の報酬月額を元に毎年1回標準報酬月額を決めることになっています。これが「定時決定」です。
残業と関わりのあるのがこの定時決定で、例えば4月、5月、6月の残業が多く、月収がその分多くなってしまうと標準報酬月額が高くなってしまいます。そのため、社会保険料も上がってしまうのです。
残業によって月収を増やすことは家計にとって必要なことかもしれませんが、月収を増やしたことで社会保険料が上がってしまうと、家計をひっ迫させることになるかもしれません。可能であれば、4月から6月にかけては残業を少なくすることも考えたほうが良いでしょう。
随時改定
被保険者の報酬が固定賃金の底上げなどによって大幅に変わってしまった場合に、要件を満たすと改定されることがあります。これが「随時改定」です。これは、実際の報酬額と標準報酬月額との間に大きな差があると、正しい値にならない場合があるので是正するために行われます。随時改定は定時決定を待たずに標準報酬月額が変更されます。
要件は、ベースアップやベースダウンなどによって固定賃金に大きな変更があること、変動があった月から3ヶ月間の標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との差が2等級以上あること、変動があった月から3ヶ月の支払基礎日数が17日以上であることの3つです。これら3つの要件をすべて満たすと随時改定の対象となります。
残業が少なくても報酬が上がれば社会保険料も上がってしまうことは注意してください。
4月から6月にかけては残業を少なくするように心がけましょう
本記事では、残業が多いと社会保険料が上がるのかについて、社会保険料の決まり方とあわせて解説しました。
残業は給料がわかりやすく上がるものですが、社会保険料に関係する場合もあるので注意が必要です。特に、4月から6月にかけてはできるだけ残業を少なくすることをおすすめします。また、残業を意識して減らした場合でも、ベースアップなどで給料が増えると社会保険料が上がることも覚えておいてください。
社会保険はいざというときにサポートしてくれる公的サービスなので、保険料をしっかりと納めるためにもこの機会にどのように保険料が決まるのか覚えておきましょう。
出典
全国健康保険協会 標準報酬月額の決め方
日本年金機構 定時決定(算定基礎届)
日本年金機構 随時改定(月額変更届)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部