更新日: 2024.10.10 働き方
残業代はいくらもらえる? 割増賃金の計算方法を解説!
本記事では、割増賃金を含めた残業代の計算方法について解説します。
執筆者:西岡秀泰(にしおか ひでやす)
社会保険労務士・FP2級
目次
残業代は所定労働時間を超えて働いたときに支給される
所定労働時間とは、就業規則で定める労働時間のことです。所定労働時間は、「1日7時間」「1日8時間」など企業によって異なります。
所定労働時間を超えて仕事をしたときに支給されるのが、残業代です。所定労働時間が7時間の会社で8時間働いた場合、1時間の残業代が支給されます。同じ時間働いたとしても、所定労働時間が8時間の場合、残業は発生しないため、残業代も支給されません。
法定労働時間を超えた場合は残業代に割増賃金が加算される
法定労働時間とは、国が定めた労働時間の上限です。労働基準法では、「1日8時間・1週間40時間」を労働時間の上限と定めています。
原則、法定労働時間を超える残業はできませんが、36協定という労使協定を締結すれば条件つきで残業が可能です。
所定労働時間を超えた法定労働時間内の残業を「法内残業」、法定労働時間を超える残業を「法外残業」と呼びます。所定労働時間が7時間の会社で10時間働いた場合、法内残業は1時間、法外残業は2時間です。
残業代の水準は企業が任意に設定できますが、給与から計算した「1時間あたりの賃金」をベースに次の金額が最低限となります。
・法内残業の残業代=1時間あたりの賃金×残業時間
・法外残業の残業代=1時間あたりの賃金×残業時間×割増賃金率
割増賃金率は法律で定められていて、残業時間が同じならば、法内残業より法外残業の方が残業代が高くなります。
残業の種類によって異なる割増賃金率
実際の割増賃金率は次のとおり、残業の種類によって異なります。
・法外残業:原則25%以上
・休日労働:35%以上
・深夜(夜22時から翌朝5時まで)労働:25%以上
例えば法外残業が深夜に及んだ場合、夜22時を超える残業に対する割増賃金率は50%(=25%+25%)になります。休日に深夜労働した場合は60%(=35%+25%)です。
1時間あたりの賃金が2000円の場合、割増賃金を加えた1時間当たりの残業代の最低限は次の通りです。
・法外残業:2000円×125%=2500円
・休日労働:2000円×135%=2700円
・深夜労働:2000円×150%=3000円
月60時間を超える残業の割増賃金率は50%
法外残業に対する割増賃金率は、原則25%以上です。ただし、月60時間を超える残業については、大企業の場合は割増賃金率が50%になります。
また、2023年4月からは中小企業についても、割増賃金率が25%から50%に引き上げられる予定です。
割増賃金を理解して残業代が正しく支給されているか確認しよう
本記事で紹介したとおり、法定労働時間を超える残業(法外残業)に対しては、割増賃金を加算した残業代が支払われます。
残業の種類によって割増賃金率が異なるため、残業代の計算方法を理解したうえで、残業代が正しく支給されているかを確認できるようにしましょう。
出典
厚生労働省 法定労働時間と割増賃金について教えてください。
東京労働局 しっかりマスター労働基準法 割増賃金編
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級