更新日: 2022.12.19 働き方

本年度トータル残業時間は「725時間」で36協定を無視してしまいましたが、その分の残業代は普通に申請できますか?

本年度トータル残業時間は「725時間」で36協定を無視してしまいましたが、その分の残業代は普通に申請できますか?
残業時間は労働基準法で年6ヶ月に限り月45時間・年360時間までと定められています。労使間で特別条項を締結していて「臨時的な特別の事情」があれば、年720時間までの残業も可能ですが、それを超えると労働基準法違反です。ただし、違反を問われるのは使用者のため、労働者は超過分の残業代がある場合は普通に申請できます。
FINANCIAL FIELD編集部

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あらためて残業について理解しておこう

労働基準法第32条では、法定労働時間である1日8時間・週40時間(休憩時間を除く)を超える労働を原則禁止しています。ただし、労使間で労働基準法第36条に基づく協定や特別条項を締結すれば、法定労働時間を超えた労働が可能です。
 

・法律から見た残業の定義

残業(時間外労働)とは、労働基準法に定められた法定外労働時間のことです。労働基準法第36条第4項では労使間で協定(36協定)を締結した場合に、原則月6ヶ月に限って月45時間・年360時間までの残業を認めています。
 
さらに、労使間で特別条項を締結した上で「臨時的な特別の事情」がある場合には、年6ヶ月に限って年720時間、2〜6ヶ月平均80時間(休日労働を含む)、月100時間(休日労働を含む)までの残業も可能です。なお、「臨時的な特別の事情」について労働基準法第36条第5項では、「通常予見することのできない業務量の大幅な増加など」と定めています。
 

・36協定の締結内容

36協定を締結するには、使用者と労働者代表(労働組合か従業員の過半数を代表する者)などとの協議が必要です。その上で、「残業を行う業務の種類」や「1ヶ月または1年間の残業時間の上限」などを決定し、労働基準監督署へ「36協定届」を提出します。
 

・36協定に違反した場合

使用者が36協定を締結せずに残業させたり、36協定で定めた時間を超えて残業させたりした場合は労働基準法第32条違反です。労働基準法第119条では、同法第32条に違反した場合には「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処する」としています。
 

年間の残業時間が「725時間」で36協定を無視してしまった場合の対応

36協定の特別条項を無視して年720時間を超えた残業をした場合は労働基準法違反です。ただし、違反を問われるのは管理・監督義務がある使用者のため、労働者は上限を超えた分の残業代を普通に申請できます。まずは、資料をそろえた上で最寄りの労働局に相談してください。
 

・相談時に持参したい主な資料

未払いの残業代を請求するために労働局へ相談に赴く際には、なるべく多くの資料が必要です。主な資料としては、給与明細書、入社時に使用者から提示された労働条件を示した書類(雇入通知書、労働条件通知書など)、出退勤の記録(タイムカードの情報や自分または家族のメモなど)、就業規則、賃金規定、退職金規定などの社内規定が記された書類などが該当します。
 

36協定を無視して残業した場合は最寄りの労働局に相談しよう

労働基準法第32条では1日8時間・週40時間を超える労働は禁止されています。ただし、同法第36条第4項に規定されている労使間による36協定を締結すれば、年6ヶ月に限り月45時間・年360時間の残業が可能です。
 
また、労使間で特別条項を締結していて「臨時的な特別の事情」がある場合は、年6ヶ月に限り月100時間・年720時間まで延長できます。規定の時間を超過した場合は労働基準法違反ですが、労働者が違反を問われることはありません。そのため、36協定を無視して残業した場合は、その超過分の残業代を普通に請求できます。まずは、最寄りの労働局に相談しましょう。
 

出典

e-Gov 労働基準法

厚生労働省 時間外労働の上限規制

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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