更新日: 2024.10.10 その他家計
「車の暖房」をつけなければ「ガソリン代」を節約できる? 車のエアコンの意味についても解説
ハイブリッド車や電気自動車(以下EV車)なら節約できる可能性がありますが、実はガソリン車やディーゼル車(以下「内燃エンジン車」とします)の場合、暖房をオフにしても節約にはなりません。
本記事では車の種類による暖房の仕組みの違いや、暖房で燃費を節約するポイントについて解説します。
執筆者:山根厚介(やまね こうすけ)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
車の暖房をつけたら燃費は悪化する?
車の暖房は、エンジンで発生する排気熱によって空気を暖めています。排気熱は使われなければ捨てられるため、暖房に熱を使ったとしても燃費自体は悪化しません。
しかし、暖房をつけると燃費が下がっているように感じる人も多いのではないでしょうか。その理由は、「A/C(エアコン)」を使っていることにあります。
現在の車は、ほとんどがオートエアコンです。暖房のスイッチを入れると、暖房だけでなくエアコンも自動的にオンになる車も多いでしょう。暖房だけであれば燃費は悪化しませんが、エアコンをつけるとエンジンの負荷が増すため、燃費が悪化します。
車のエアコンにはどんな意味がある?
意外に思われるかもしれませんが、車のエアコンに暖房機能はありません。あるのは冷房機能と除湿機能だけで、住宅用のエアコンとは仕組みが異なります。暖房をオンにするとエアコンも自動でオンになる理由は、除湿のためです。暖房だけをオンにすると窓が曇りやすくなることから、エアコンも同時につけて湿度を下げ、窓が曇らないようにしています。
しかし、天気によってはエアコンをオフにしても窓が曇らないときもあるので、このような場合はエアコンを切って燃費を節約することが可能です。また、冬場は外気の方が湿度の低いことが多いため、「外気導入」にすれば曇りにくくなるでしょう。
外気導入にしても窓が曇るような場合は、積極的にエアコンをつけて視界を確保することが大切です。
ハイブリッド車やEV車は注意
車の暖房をつけても燃費は悪化しないと説明しましたが、EV車の場合は異なります。EV車にはエンジンがないため、暖房に使える排気熱がそもそも発生しません。
そのためEV車には、内燃エンジン車にはない「PTCヒーター」や「ヒートポンプエアコン」といった装置が取り付けられています。PTCヒーターは電気ストーブに、ヒートポンプエアコンは家庭用のエアコンに似たシステムで、これらの作動には電気が必要なため、EV車で暖房をつけると確実に燃費は悪化します。
また、ハイブリッド車も注意が必要です。ハイブリッド車にはエンジンがあるため排気熱を暖房に利用していますが、内燃エンジン車と異なりエンジンが常に回っているわけではありません。そのため、状況によっては暖房を動かすためだけにエンジンが回ることがあります。EV車ほどではありませんが、ハイブリッド車の場合も、燃費が悪くなる可能性はあるでしょう。
EV車やハイブリッド車でなければ暖房を使っても燃費は下がらない
EV車やハイブリッド車は暖房を使うことで燃費が下がる可能性がありますが、内燃エンジン車はエンジンの排気熱を利用しているため基本的に燃費は下がりません。そのため、寒いときは無理をせず、適切に暖房を使うことも大切です。
また、暖房だけでは窓が曇って運転に支障が生じる可能性もあるため、節約はほどほどに状況に応じてエアコンも使うようにしましょう。
出典
⼀般社団法⼈⽇本⾃動⾞連盟(JAF) [Q]エアコンの外気導入と内気循環は、どう使い分ければいいのですか?
執筆者:山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士