更新日: 2024.10.10 家計の見直し
【電気代】一人暮らしで「1万円超え」!? その理由は「燃料調整費」にあり!
国は節電プログラムでのポイント還元も始めましたが、値上がり幅が大きすぎて焼け石に水です。この異常な値上がりには「燃料調整費」の大幅なアップが影響しています。では「燃料調整費」とは何なのか、詳しく見ていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
燃料調整費って何?
日本ではエネルギーの大半を輸入に頼っているため、世界の政治や経済状況などで燃料価格が大きく上下します。この時に、電力会社が著しく損失を被らないように、燃料の価格変動を毎月の電気料金で消費者に負担させる仕組みが「燃料費調整制度」であり、「燃料調整費」とは「燃料費調整制度」に基づいて決められる発電の燃料費のことなのです。
電力使用量1kWhあたりの燃料調整費は「燃料費調整単価」といい、燃料費調整単価は3ヶ月間の平均燃料価格で算出され、2ヶ月後の電気料金に反映されます。
この燃料費調整単価は各電力会社によって異なり、旧一般電気事業者の2023年2月分を比較してみると、北海道電力3円34銭、東北電力3円53銭、東京電力EP1円87銭、中部電力ミライズ1円64銭、北陸電力5円23銭、関西電力71円34銭(~15kWh)、中国電力57円16銭(~15kWh)、四国電力49円00銭(~11kWh)、九州電力5円14銭、沖縄電力30円22銭(~10kWh)となっています。
なんと、一番安い中部電力と一番高い関西電力とでは、約70円も単価が違うのです。
今後も電気料金は上昇する可能性が高い
日本はLNG(液化天然ガス)や石炭の一部をロシアから輸入していたものの、ウクライナ侵攻を受けて輸入禁止措置を行いました。
その結果、エネルギー供給がひっ迫し、需要の増加に伴って価格の上昇に歯止めがかからない状況です。これまでは、燃料費調整額の上限というものがありました。燃料価格の大幅な値上げから消費者を守るために、燃料費調整単価の算出に用いる平均燃料価格を「基準燃料価格の1.5倍」までという上限が設けられていたのです。
しかし、上記の通りの世界情勢の悪化や円安などが原因で、各電力会社は次々と自由料金(電力自由化後に設けられたプラン)の平均燃料価格の上限撤廃を始めました。さらに、規制料金(電力自由化以前のプラン。料金が法律で決められており、値上げ時に政府の許可が必要)においても、平均燃料価格の上限撤廃を政府に求める動きが出ています。
また、「再エネ賦課金」の高騰も電気料金の値上げに拍車をかけています。再エネ賦課金は、太陽光発電や風力発電など、再エネの買い取りに必要な費用をまかなうための税金です。再エネ賦課金の高騰は、エネルギー自給率の向上を目指す日本としては仕方がないですが、これには脱炭素社会やSDGsを推し進めようとする世界情勢も影響しています。
節電は無理のない範囲で
急な電気料金高騰の大きな要因である燃料調整費について解説しました。電気代の節約のために、「洗濯物はすすぎを1回にする」、「照明をLEDに取り換える」、「省エネ家電に買い替えるなど無理のない範囲での節電、燃料費調整単価を調べて安い電気会社に変更するのもよい手段です。
先行き不透明な社会情勢にコロナによる不況や倒産、円安、物価の上昇と国民の生活は非常に厳しい時代ですが、しっかり対策していきましょう。
出典
資源エネルギー庁 電気料金について 燃料費調整制度について
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部