1カ月の食費が10万円!?「1週間の手書き家計簿」で家計のスリム化は可能か?
配信日: 2017.04.04 更新日: 2024.10.10
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
無駄遣いはしていないはずだけど、食費にお金をかけすぎる
家計相談に来られたWさんは49歳。息子さんは社会人1年生で昨年から独立されていて、現在は50歳のご主人と二人暮らしです。これまではご主人の会社からの家賃補助が10万円あったのですが、ご主人が転職されたので補助がなくなりました。
そこで家計を見直したいというご相談内容です。Wさんはこれまで息子さんの教育費にかなりの費用がかかったので、老後資金の準備もこれからです。
「贅沢はしていません。生命保険も見直したし、車も持っていません。無駄遣いはしていないと思います。一番気になっているのは、食費が1カ月10万円かかっていることです。他の人は、4~5万円でやり繰りしていると聞きました。何を食べているのか不思議です」と話すWさん。
人事院「人事院勧告」(平成26年)によると、二人世帯の標準生計費のうち食品は約36,000円という資料があります。Wさん世帯はあきらかにオーバーしていますね。
「外食はしますか?」と尋ねると、「主人があまり好きではないので、ほとんど家で食事をします」との答えでした。
たまたま同じ時期にご相談にいらした方も、Wさんと全く同じことをおっしゃっていました。その方は30代のご夫婦で第一子が誕生したばかり。今後必要になる教育費の準備をしたいというご希望で、Wさんと同じように「食費に1カ月10万円がかかっているのは多いのかも?」と自覚して相談に来られました。
食費が多いことを自覚するきっかけは、人によってさまざまですが、「食費が10万円かかっているのでどうしたら良いでしょうか?」という悩みは決して稀な事例ではないのです。
お二人は、家計簿アプリを使って家計管理をされています。その中で、「食費が多いのでは?」「家計のスリム化が必要なのでは?」と自覚することができたのです。この気づきは重要です。
食費の内訳を把握し、自分の買い物を自分で分析してみる
食費に関しては、健康に繋がるので節約しづらいと考える傾向にあります。また「外食していない」という場合は、「贅沢していない」と考えがちです。今回Wさんには、まず「10万円→8万円」に食費を減らすことを提案しました。予算を作ってその中で工夫してもらいます。そのために、手書きで1週間家計簿をつけていただくようお願いしました。
食費の内訳を把握してもらうのが目的です。
家計簿アプリは簡単に家計簿をつけられる優れものです。簡単なので長く続けられるというメリットに加え、分析力もあります。ですが簡単すぎて、自分の買い物を把握できていないことが多いのです。
冷蔵庫にある食品を忘れて食品ロスにしてしまう、お菓子を買い過ぎて太ってしまう、そんな経験はありませんか。
手書きなら、レシートを見ながら買い物の内容を復習できます。自分の買い物を自分で分析することは、節約への近道なのです。とは言えアプリに慣れた方には、ずっと手書きでは面倒で続きません。これが「手書きで1週間」の理由です。
Wさんは、デパートでパートのお仕事をされていて、デパ地下でお惣菜を買う機会が多いということも分かりました。その結果、「冷蔵庫で食材がロスしてしまうことも……」と話されていました。共働き世帯と単身者世帯が増えたことで、お弁当やお惣菜などの中食と呼ばれるものが充実。
デパ地下も増床しています。また、食材も産地にこだわるなど、ブランド化しているものも少なくありません。「少し高くても美味しいものを選ぶ」傾向が高くなっています。
一旦それに慣れてしまうと、「普通のもの」に戻れません。
衣食住、どれに重きを置くかは人それぞれです。「食」重視の方が「少し高くても美味しいものを選ぶこと」は尊重すべきですが、“メリハリのある消費”ということも頭の片隅に置いて欲しいと思います。贅沢する日は思い切って贅沢するけれど、普段は節約を心がけるだけでも、家計のスリム化は図れます。
Wさんは手書き家計簿をつけるにあたり、「お惣菜の欄を別枠にしてみようかしら~」とヤル気満々。無駄遣いの原因の見当はついているようです。「無駄遣いしているよね~」と漠然と思っていても、なかなか節約は実行できませんが、数字を可視化することで、次の努力目標を明確にすることに繋がります。この調子ならWさんは、節約を簡単に実現出来そうですね。