更新日: 2024.10.10 働き方
就活中の方は知っておこう! 年収と年俸の違いとは?
応募先企業によっては、表記の仕方に「年収」と書かれていたり、「年俸」と示されていたりして、何がどう違うのか疑問に思ったことはありませんか? 今回は、この違いについて整理しておきたいと思います。
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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目次
年俸は「合意された1年間の報酬総額」のこと
年俸というと、例えばプロ野球選手を思い浮かべるかもしれませんが、最近では一般の企業でも採用されるケースがあります。
年俸とはズバリ、「企業側と労働者側で合意された、1年間に支払われる報酬総額」のことです。企業側と書面を交わして雇用契約を結んだとき、1年単位で払われる報酬総額が保障されています。初めに取り決めた金額から「下がらない」と考えて差し支えないでしょう。
1年単位で契約は更新されますから、その年の実績によって更新時の年俸が上下するということになります。例えば、積極的に業務に取り組んで結果を残す意気込みがある方などは、年俸での支払いが合っているかもしれません。
ただし、契約更新時に「年俸が下がる」可能性もあります。その結果を受け入れるのが難しく、モチベーションが落ちてしまうかもしれない、と心配する方は、年俸を選択することに慎重になったほうがよいでしょう。
支払い方は契約ごとでさまざま
支払われ方については、契約ごとにさまざまなケースがあるでしょう。
例えば、年俸を16分割して、16分の1を毎月の給与として、残り16分の2ずつをボーナスとして支払う、14分割して14分の1ずつが毎月の給与として、14分の1ずつがボーナスとして年2回支払われるなどがあります。
残業代は年俸に含まれる場合と別途の場合がある
年俸は1年間に支払われる報酬総額のため、「いわゆる残業代と呼ばれる時間外手当はない」と、一概にはいい切れません。
年俸制で、部署を統括管理する立場にある場合、時間外手当はありませんが、肩書は「管理者」であっても、実質は一般的な労働者という場合、時間外手当は別途支払われることになります。
ファミリーレストランの店長で「店長」という肩書がついていたけれど、業務の内容は一般従業員と同じだった場合に残業代を支払うべきだという事例があり、このようなケースが該当します。
年収は「1年間の総収入で、いわゆる額面金額」のこと
これに対して、年収は「1年間の収入」のことで、基本給に時間外手当や住宅手当・通勤手当といった各種手当やボーナスをプラスし、社会保険料や源泉所得税を控除する前の支給総額のことです。確定申告など、税制上の概念として整理しておくべき言葉になります。
「手取りと額面」と聞くことはあるがよく分からない、という方もいるでしょう。その場合、源泉徴収票で左上部分に記載されている「支払金額」を確認してみるとよいでしょう。
年収と記載があれば、伝統的な給与制度と考えてよい
年俸といえば、「1年契約での支払い報酬金額」、年収といえば「源泉徴収票に印字されている支払金額」なのですが、伝統的な給与体系を採用している企業では、「年収」という記載のされ方が一般的だと考えてよいでしょう。
勤続年数などを基に基本給が決まり、その上に役職手当などが上乗せされていくような考え方です。
断定的にいい切ることは難しいですが、「40歳になったらだいたいこのくらい」と予想がつくのが「年収」と記載された企業、1年更新なので長期的な予想が立てられないのが「年俸」と記載された企業と整理しておくとよいでしょう。
最終的には企業ごとの細かい規定を確認しよう
それでも、報酬の決定の仕方は企業ごとでさまざまです。最近では、伝統的な企業でも「成果主義」を積極的に採り入れることによって、優秀な人材の確保・育成を狙っています。
大まかなイメージはつかんだ上で、納得できない部分については確認することが大切です。「こんなはずではなかった」といった後悔のないように、納得できる就活でキャリアを積み上げていきましょう。
出典
厚生労働省 東京労働局 年俸制賃金関係
厚生労働省 東京労働局 年俸制賃金関係より 1.年俸制の適用労働者の範囲は
厚生労働省 東京労働局 年俸制賃金関係より 2.年俸制の導入に当たり就業規則の変更で注意すべきことはなにか
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者