2023年4月1日から「割増率」が変わったって本当?「残業代割増率」が最も高いのは?

配信日: 2023.06.23 更新日: 2024.10.10

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2023年4月1日から「割増率」が変わったって本当?「残業代割増率」が最も高いのは?
残業代の割増率が、月の残業時間によって変動することをご存じでしょうか。そして、その割増率の変化について、2023年4月1日から多くの中小企業が影響を受けることになりました。
 
これは会社側だけでなく、私たち労働者も知っておくべきことです。今回は、残業代の割増率と、2023年4月1日以降これがどうなるのか解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

残業代の割増率はどのように決まっている?

1日8時間、週40時間を超える労働時間は、法定時間外労働として雇用主は通常よりも25%割り増しされた賃金を残業代として支給しなければなりません。
 
しかし、だからといって残業代さえ払えば何時間でも残業をさせてもいいとしてしまえば、労働者の健康が害されてしまいます。そこで、月の残業時間については、原則月に45時間、年に360時間までとされています。
 
ただし、年に6回(合計6ヶ月)までなら以下のすべての条件を満たす範囲内でのみ、原則の残業時間を超えて残業させることも可能になっています。


・年720時間を上限
・複数月の平均が80時間未満
・単月でも100時間未満

さらに、労働者の健康維持や私生活の時間の確保のため、60時間を超える残業においては通常25%の割増率が倍の50%になります。例えば、65時間残業した月があったら、そのうち5時間分の残業代は25%割増ではなく50%割増になるということです。
 

2023年4月1日からは中小企業においても50%割増になる

これまで説明してきたように、60時間を超える残業における残業代の割増賃金が50%を超えるのは、2023年3月31日までは大企業のみで、中小企業については適用が猶予されていました。
 
しかし、2023年4月1日からはその猶予期間が終わり中小企業も含めすべての企業において60時間を超える残業で、残業代が50%以上で計算されることになります。
 

60時間を超えた場合の割り増しに代えて、代替休暇の付与も認められている

60時間を超える残業代の割増率が50%とされ、背景が労働者の健康や私生活の時間の確保にある点から、残業代の割増率50%のうち、25%に相当する部分の割り増しについては、労使間の取り決めに基づき、有給休暇の付与に代えることが可能とされています。
 
しかし、60時間未満の部分の残業代や、60時間を超えた残業代のうち25%の部分については必ず金銭で支払わなければならないとされています。
 
図表1


出典:厚生労働省 改正労働基準法
 

深夜労働と重なると割増率が75%になることも

60時間を超える残業代の割増率は、深夜労働の加算とは別物になります。通常、深夜労働は残業であるか否かにかかわらず、25%の割増賃金が支払われます。そのため、60時間を超えた残業が深夜労働と重なると、その時間は通常と比べて75%の残業代が支払われることになります。
 
なお、法定休日に行われる休日労働については、この60時間の残業に関することとは別問題として考えられます。法定休日とは、1周1日、4週で4日は最低限与えられるべきとされている休日のことです。法定休日に働いた場合は、35%割増された残業代が生じます。
 
図表2


出典:厚生労働省 中小企業の事業主の皆さまへ
 
例えば、日曜日が法定休日の会社で日曜日に働いた場合、60時間以降の残業であっても残業代の割増率は50%ではなく35%の残業代になります。
 

残業代の計算される仕組みは労使ともに正しく理解すべき

2023年4月1日から中小企業を含めすべての企業において60時間を超える残業は、25%の残業割増率にさらに25%上乗せされた50%となります。
 
残業の仕組みについて雇用主だけでなく労働者も正しく理解できていないことが往々にあります。これを機に残業代のルールについて、確認をしておいてください。
 

出典

厚生労働省 改正労働基準法
厚生労働省 中小企業の事業主の皆さまへ
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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