更新日: 2023.08.23 貯金

50代の「3分の1」が貯蓄減少! 貯蓄が減った理由は「物価高騰」で生活費が増えたから?

執筆者 : 入船みみ

50代の「3分の1」が貯蓄減少! 貯蓄が減った理由は「物価高騰」で生活費が増えたから?
最近の物価高騰によって、食費や日用品費の増加を肌で感じる人も多いのではないでしょうか。国民生活基礎調査(2022年)によると、「前年より貯蓄が減った世帯」は36.3%に達し、うち73.6%の世帯がその理由として「日常の生活費支出」を挙げています。本記事では、貯蓄減が特に目立つ50代を取り上げ、貯蓄減の理由やその傾向について解説します。

働き盛りの50代で貯蓄減が顕著

定年退職後の高齢者世帯においては、年金の不足を貯蓄で補うため貯蓄減少は自然な傾向です。実際に、65歳以上世帯において前年よりも貯蓄額が減少した世帯は40.1%、一方で増えた世帯は6.5%しかありません。
 
では、現役世代に目を向けてみるとどうでしょうか。年代が上がるにつれ貯蓄が減った世帯の割合は増加し、50代の貯蓄減は32.8%と現役世代の中で最も顕著でした。老後資金を準備する必要がある世代ですが、貯蓄が増えた世帯は17.7%にとどまっています。
 

50代の貯蓄減理由も生活費がトップ

ではなぜ、50代の貯蓄減が顕著なのでしょうか。その内訳を見てみると、貯蓄が減った50代世帯のうち、70.1%が「日常の生活費支出」を理由として挙げています。現役世代の中でも、生活費を貯蓄減の理由とする割合が最も高く、若い人に比べて収入が多いはずの50代も物価高騰の影響を色濃く受けている現状がよく分かります。
 

貯蓄減理由は「楽しみ」から「生活」に変化

さらに2019年と比較をすることで、近年の生活費が50代世帯を圧迫していることが見えてきます。国民生活基礎調査(2019年)の結果においても、50代の貯蓄額減少世帯の割合は3世帯に1世帯程度と、2022年とほとんど変わりませんでした。しかし、大きく異なるのは減額の理由です。2019年と2022年を比べることにより、以下のような変化が見えてきます。
 

●「日常の生活費支出」を理由とする世帯は、9.6ポイント増加
●「入学金、結婚費用、旅行等の一時的な支出」を理由とする世帯は、10.4ポイント減少

 
ライフイベントや旅行といった「楽しみ」の支出による貯蓄減ではなく、生活するためのやむを得ない支出による貯蓄減に理由が変化しているのです。50代に限らず、全体の傾向としても生活費支出を理由とする世帯が増え、ライフイベントや旅行の一時的な支出が原因だとする世帯が減っています。
 

「楽しみ」に貯蓄を使えるよう対策を

貯蓄額の変化とその理由から、貯蓄に対する生活費の影響が2019年と比べて大きくなっていることが分かりました。貯蓄がなかなか増えないと感じる原因は、生活費の増加によるものかもしれません。
 
物価高騰によって、特に意識をしなければ生活費は確実に増えていきます。せっかく貯蓄を取り崩すのであれば「楽しみ」に対して使うことができるよう、日常生活における支出に対して意識的になると良いでしょう。
 

出典

厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況

厚生労働省 2019年 国民生活基礎調査の概況

 
執筆者:入船みみ
FP2級

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