更新日: 2024.10.10 貯金
30代の1人暮らし。親から「ちゃんと貯金しているのか」といわれます。貯金300万円では少ないのでしょうか?
すべては親心からでしょうが、生活をするうえで、また、子どもの将来のことを考えれば、お金は重要なため、当然といえば当然です。
今回は、30代の1人暮らしで貯金300万円は、親に心配されてしまうほど、少ない金額なのかについて考えます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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全世代と30代の平均貯金額
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」の結果から、平均の貯金額をみてみましょう。
まず、貯蓄額ですが、単身世帯全体の平均貯蓄額は、871万円となっています。30代では、494万円という結果でした。この貯蓄額には現金だけではなく、さまざまな金融商品が含まれています。
預貯金に限定すると、単身世帯全体の平均額は、370万円です。30代では、218万円となっています。
30代で貯金300万円は少ないとはいえない
30代の1人暮らしで貯金300万円の場合、単身世帯全体の平均と比べると70万円ほど少ないものの、30代に限ってみれば80万円ほど多いことになりますので、決して、少ない貯金額であるとはいえないでしょう。
しかし、貯蓄がこの300万円の貯金のみの場合は、また異なった見方ができます。単身世帯全体の平均貯蓄額と比べると500万円以上少なく、30代に限定しても200万円ほど少ない状況です。
ただ、紹介したデータが貯蓄額の平均である点には注意しなければいけません。同調査では貯蓄額の中央値も公表されています。それによると、単身世帯全体の貯蓄額の中央値は100万円、30代では75万円という結果でした。
つまり、平均よりも実態に近いといわれる中央値と比較すると、貯蓄が貯金の300万円のみの場合でも、単身世帯全体と30代の世帯のどちらも上回っていることになります。
前年度より貯蓄も貯金も減少
令和4年の調査では、世帯全体の平均貯蓄額は871万円でしたが、前年の調査では1062万円でした。つまり、200万円近く減っていることになります。預貯金も、前年と比べて70万円ほどの減少です。
貯蓄が減少した理由で多かったのは、「定例的な収入が減ったので金融資産をとりくずしたから」というものです。また、「株式、債券価格の低下により、これらの評価額が減少したから」という人も多くみられました。積極的に投資をしていた人の一部は、貯蓄額を減らす結果となっています。
もし、令和3年から4年にかけて貯金が増えて300万円になっているのであれば、むしろ資産管理は適切であったといえるでしょう。
貯金を増やすには収支のバランス改善がポイント
貯金を増やすには、なによりも収支のバランスを見直さなければいけません。2022年の総務省による家計調査をみると、単身世帯および勤労者世帯のうち、34歳までの世帯の平均実収入は約34万7000円でした。実収入から税金や社会保険料などを除いた可処分所得は約29万円となっています。
この世帯の消費支出額は平均で約16万円です。賃貸物件に住んでいる場合は、さらに消費支出額が増えるので、手元に残るのは毎月、数万円程度となるでしょう。貯金を増やすには、この実収入や可処分所得を増やすか、消費支出額を減らす必要があります。あるいは、両方を同時並行で行うと、さらに貯金へとお金を回すことが可能です。
親から「ちゃんと貯めているのか」と言われたら、同世代の1人暮らしの貯蓄額および預貯金額の平均や中央値を提示し、「300万円の貯金は決して少なくない」と返答してみましょう。そのうえで、貯金を増やすための行動に出られれば、少しずつ貯金を含めた貯蓄の増加にもつながります。
貯金を増やすには収入を増やして支出を減らすための行動が大切
30代の単身世帯の貯蓄額は平均こそ494万円ですが、中央値は75万円です。預貯金に限定すると、30代の平均は218万円となっています。30代の1人暮らしで貯金が300万円あれば、同じ属性の人の貯蓄額の中央値と預貯金の平均は超えていることになり、決して少ないとはいえません。
ただ、貯金を増やせる余地は充分に残っています。収入を増やして支出を減らすための行動を積極的に起こせれば、今後はさらに安定した生活を目指せるでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査 2022年
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査2022年(単身世帯調査)
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー