更新日: 2024.10.10 働き方
毎月「残業40時間」で手取り20万円…これって少なくないですか?社会人2年目ですが転職を考えています
しかしなかには、残業代が正しく支払われないケースもあるようです。そのような会社は「ブラック企業」と呼ばれることもあり、思わぬトラブルに発展するおそれがあります。
そこで今回は、平均残業時間や残業代の計算方法を確認しながら、残業が原因で転職した人の仕事事情を見てみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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残業(時間外労働)の上限と平均残業時間
労働基準法で定められている時間外労働の上限は「月45時間・年360時間」です。臨時的な特別な事情がない場合は、原則上記の時間を超えての残業はできません。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査(令和5年3月分)」によると、調査対象全体の「所定外労働時間」の平均は、10時間30分とのことです。労働時間の規定は「一日8時間、一週間40時間」であり、この時間を超えて働いた場合は、残業代(時間外手当など)が支給されます。
残業代の計算方法
残業代は、時間外労働の種類によって「割増率」が異なります。
表1
種類 | 条件 | 割増率 |
---|---|---|
時間外 (時間外手当・残業手当) |
法定労働時間(1日8時間・週40時間) を超えたとき |
25%以上 |
時間外労働が限度時間(1ヶ月45時間 ・1年360時間等)を超えたとき |
25%以上 | |
時間外労働が1ヶ月60時間を超えたとき | 50%以上 | |
休日(休日手当) | 法定休日(週1日)に勤務したとき | 35%以上 |
深夜(深夜手当) | 22時~5時の間に勤務したとき | 25%以上 |
※東京労働局「しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編」をもとに筆者作成
残業代は、「1時間当たりの賃金額×残業時間×割増率」で算出します。
例として、所定労働時間が9時~17時の会社で19時まで残業した場合の残業代を計算してみましょう。今回は、1時間当たりの賃金を1300円とします。
1300円×2時間×1.25(割増率25%)=3250円
この日は、3250円が残業代として支払われます。月に20日働いた場合、毎日2時間残業すると月の残業時間は40時間となり、残業代は6万5000円にもなります。
残業時間が多いにもかかわらず給与が少ないと感じたときは、一度自分で残業代を計算してみましょう。正しく支払われていない場合は、未払い分の残業代を会社へ請求できます。
ただし、会社によって残業代の支払いについて規定が異なりますので、まずは就業規約を確認してみましょう。
「残業」が原因で転職した人の割合
株式会社マイナビの「転職動向調査2023年版」によると、「休日や残業時間などの待遇に不満があった」との理由で転職を決めた人の割合は5.5%とのことです。なお、転職の決め手となった理由で最も多かったのは「給与が低かった(12.5%)」でした。
さらに転職先での入社を決めた理由として最も多かった回答は、「給与が良い(15.4%)」であり、次いで「休日や残業時間が適正範囲内で生活にゆとりができる(9.8%)」です。
転職することで、給与や仕事環境への不満が軽減されていることが分かります。「残業が多い」「仕事内容に給与が見合わない」などでお悩みの方は、一度転職を検討してもよいかもしれません。
残業が多くてつらい場合には「転職」も選択肢の一つに
「残業代が多い割に給与が低い」とお悩みの方は、一度正しく残業代が支払われているか確認してみましょう。正しく支払われていない場合には、未払い分の残業代を会社に請求できます。
「残業が多い」「残業代が正しく支払われない」などの会社は、今後トラブルが発生するおそれがあるため、転職を検討するのもよいでしょう。転職することで、給与や仕事環境への不満は軽減するかもしれません。
出典
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和5年3月分結果確報
厚生労働省 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説
東京労働局 しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編
株式会社マイナビ 転職動向調査2023年度版(2022年実績)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー