更新日: 2023.12.18 貯金

親の代わりに預金を引き出す必要があります。安全な方法はありますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

親の代わりに預金を引き出す必要があります。安全な方法はありますか?
金融機関で預金を引き出せるのは、原則名義人本人のみです。とはいえ、けがや病気などによる入院などの諸事情からどうしても本人が引き出せないこともあるでしょう。このような場合、代理人が引き出しを行うことができます。では、代理人が引き出す際は何が必要となるのでしょうか。本記事では、代理人が安全に預金を引き出す方法を解説します。
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預金者本人以外が引き落とす場合は?

一般社団法人全国銀行協会によると、預金者本人以外の引き落としは可能ですが、預金者本人の意思確認が必要となっています。そのため、まずは預金者本人の取引金融機関の窓口まで相談をするようにしましょう。
 
相談の際には、預金者本人の「通帳」「キャッシュカード」「届け印」や、代理人の「本人確認書類」「預金者本人との関係性が分かる種類」「お金が必要な理由が分かる書類」などを持参するとスムーズです。お金が必要な理由が分かる書類としては、入院や介護施設費用の請求書などが挙げられます。
 
ゆうちょ銀行の場合も、代理人が預金の引き落としを行うことが可能です。ただし、その際にゆうちょ銀行から委任状を求められます。委任状は、手続きを委任する預金者本人が自筆で記載することが必要です。
 
加えて、代理人の本人確認書類と印章を持っていきましょう。委任状は、ゆうちょ銀行の公式サイトからダウンロードできます。代理人が手続きを行うと、ゆうちょ銀行から預金者本人に確認の電話をするケースもあります。
 

代理人カードとは?

なかには、親のキャッシュカードを預かって預金を管理している人もいるでしょう。しかし、このような場合、定期預金などの定期性預金の解約ができないというデメリットがあります。
 
また、通帳やキャッシュカードを紛失した場合、再発行の手続きは代理人ではできません。安全に預金を引き落とすためには、金融機関が提供している代理人指名手続きというサービスを行い、代理人カードを発行するなどして手続きを行うことをおすすめします。
 

成年後見制度とは?

継続的に安全に代理人が預金の引き出しを行う場合は、「成年後見制度」を利用することを検討しましょう。成年後見制度とは、認知症などで判断能力が十分ではない人たちを守るため、成年後見人が財産管理や身上監護などを行うことです。成年後見制度には、以下の2つの種類があります。
 

任意後見制度

まだ、本人の判断能力があるうちに代理人指名手続き(任意後見人)と支援内容の決定をしておき、いざいうときにサポートしてもらう制度のことです。任意後見契約は、公証人が作成した公正証書によって結ぶとされています。
 

法定後見制度

すでに、判断能力が十分ではない人を対象に、後見人が支援する制度のことです。障害や認知症の程度など本人の状況に応じた、「補助」「保佐」「後見」の3つの種類(類型)があります。この制度を利用するためには、家庭裁判所に申立てを行う必要があります。申立て手数料は800円、登記手数料は2600円です。申し立てをすると、家庭裁判所が後見人を選任してくれます。
 
なかには、「後見人制度支援預金」を提供している銀行もあるため、問い合わせをしてみることをおすすめします。後見人制度支援預金とは、家庭裁判所が発行する指示書に基づき代理人が利用可能な貯金のことです。
 
成人後見制度には、「費用がかかる」「手続きが面倒」というデメリットがあります。その点、家族信託であれば家庭裁判所を通したり、第三者に資産を管理してもらったりする必要はありません。ただし、家族信託を利用できるのは本人の判断能力が十分にある場合にかぎります。
 

預金者本人の取引銀行窓口まで相談を!

金融機関で預金を引き出せるのは、原則名義人本人のみです。親の代わりに預金を引き出したい場合は、必要書類を持参のうえ親本人の取引銀行窓口まで相談をするようにしましょう。
 
また、継続的に安全に引き出すためには代理人カードを使うことも選択肢の一つです。頻繁に引き出しする必要がある場合は、成人後見人制度や家族信託の利用も検討してみてはいかがでしょうか。
 

出典

厚生労働省 自分ひとりではよくわからない!? そんな時でも安心してくらせるために。 成年後見制度

一般社団法人全国銀行協会 預金者ご本人以外の預金のお引出しには原則として、預金者ご本人の意思確認が必要になります。

ゆうちょ銀行 委任状について

厚生労働省 成年後見はやわかり 任意後見制度とは(手続の流れ、費用)

厚生労働省 成年後見はやわかり 法定後見制度とは(手続の流れ、費用)

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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