更新日: 2024.10.10 貯金
年収600万円ですが、40代で「2000万円」の貯金は可能ですか? 老後に必要と聞いたのですが、実際に2000万円以上貯めている人はどれだけいるのでしょうか?
本記事では、資産2000万円以上の人の割合や、30代から貯蓄を開始して40代で資産2000万円を達成できるか試算します。
執筆者:辻本剛士(つじもと つよし)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種
活動拠点は神戸。FP個別相談や、プロスポーツ選手の資産形成サポートも行っております。プロスポーツ選手に保険、資産運用、支出の見直しなど包括的なアドバイスや、帳簿などの面倒な記帳業務を代行し、本業に集中できる環境作りをサポートします。
40代で資産2000万円以上の割合は?
まず、40代で資産2000万円以上を保有している人は実際にどれくらいいるかみていきます。金融広報中央委員会が公表した2022年家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]によると、2人以上世帯の40代で2000万円以上の資産を保有している割合は10.1%です。
また、平均貯蓄額は825万円、中央値は250万円という結果になりました。中央値が肌感覚に近い数字となることが多いため、40代で2000万円もの資産を築くことは容易ではないことが分かります。
35歳から15年間で資産2000万円を築くのに必要な積立額は?
ここからは貯金だけのケースと、資産運用を活用したケースを比較しながら、期間15年で2000万円の資産を築くために必要な積立額をみていきます。試算をおこなうにあたっての設定は次のとおりです。
●積立期間:15年
●毎月の手取り:40万円(世帯年収600万円程度を想定)
●運用利回り:4%/年
貯金だけで2000万円作る場合
貯金だけで2000万円を作る場合の毎年の必要な貯蓄額は次のとおりです。
2000万円÷15年=約134万円
毎年約134万円を貯蓄する必要があり、月に換算すると毎月約11万2000円を積み立てていくことになります。
134万円÷12ヶ月=約11万2000円
このように、毎月の手取り額が40万円の人では収入の30%を貯蓄に回す必要があります。収入の30%と聞いてなかなか実現することが難しいと感じる人は多いかもしれません。
資産運用を活用した場合
ここでは、運用利回りが4%で15年間運用する場合、2000万円を達成するにはいくら積み立てる必要があるかみていきます。金融庁のサイトで利用できる資産運用シミュレーションで確認した結果、毎月8万2000円を積み立てる必要があります。
図表1
金融庁 資産運用シミュレーション
図表1のとおり、8万2000円を毎月積み立てることで、うまくいけば15年後には2000万円以上の資産を築くことが可能です。貯蓄率も20%で済むため、貯金だけで2000万円をめざすよりも経済的負担を軽減できることが分かります。
ただし、資産運用は元本が保証されているわけではなく、市場変動によっては元本割れを起こす可能性がある点に注意が必要です。
毎月安定した積立を続けるには家計の見直しが重要
15年かけて2000万円もの資産を築いていくためには、貯金だけで築く場合は11万2000円、資産運用を活用する場合は8万2000円を毎月安定して積み立てる必要があります。この目標を達成するためには家計の見直しも重要な要素の1つとなるでしょう。
家計の見直しをする際は、固定費の削減から進めていくことがおすすめで、主に次のような項目から手を付けるとよいでしょう。
●保険料
●サブスク費
●住居費
●車関連費
これらの費用は1度削減できれば、その後は何もしなくても節約が継続されていきます。まずは紹介した固定費のなかで、取り組める項目から見直してください。
資産運用についてはFPに相談を!
2人以上世帯における40代で2000万円以上の資産を保有している割合は10.1%です。もし、貯金だけで2000万円を作る場合は、毎年約134万円を所得から捻出する必要があります。その一方で、運用利回りが4%、運用期間を15年とした場合、毎月8万2000円で資産2000万円を達成できます。
このように、資産運用を活用することで、貯金だけよりも少ない積立額で目標に近づくことが可能です。ただし、資産運用は元本割れを起こす可能性があり、最低限の運用知識も必要です。また、資産運用には株式や投資信託、保険商品など多種多様なものが存在します。
そのため、今後、資産運用を始めてみたい人は、ファイナンシャルプランナー(FP)のようなお金の専門家に1度相談してみることをおすすめします。
出典
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査「二人以上世帯調査」(令和4年)
金融庁 資産運用シミュレーション
執筆者:辻本剛士
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、宅地建物取引士、証券外務員2種