更新日: 2024.10.10 貯金
老後用の貯金を65歳から切り崩して生活する場合、70歳・75歳時点でどのくらい残っていれば安心でしょうか?
そこで本記事では、高齢世帯の平均的な収支をもとに、70歳・75歳時点で必要な貯金の残高を試算します。また、老後の資金を投資で増やす方法とポイントも紹介しますので、参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
老後の生活費と年金の収支は平均2万円超の赤字
総務省「家計調査報告家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職世帯の可処分所得と消費支出、黒字額は図表1のとおりです。
【図表1】
夫婦のみ世帯 | 単身世帯 | |
---|---|---|
可処分所得 | 21万4426円 | 12万2559円 |
消費支出 | 23万6696円 | 14万3139円 |
黒字 | -2万2270円 | -2万580円 |
総務省「家計調査報告家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」より筆者作成
収支ともに平均的な世帯の場合、夫婦のみ世帯、単身世帯ともに、毎月平均2万円超の赤字収支となる計算です。65歳から貯金を切り崩して生活する場合、毎年24~26万円程度ずつ貯金が減っていくこととなります。
なお、上記は平均額のデータであり、実際にどのくらいの収支になるのかは個々の世帯で異なります。ねんきん定期便などに記載された年金の見込み額や、現在の家計の収支をもとに、老後の収支をシミュレーションしてみましょう。
年金と貯金で生活する場合、70歳・75歳時点で必要な貯金残高は?
図表1の夫婦のみ世帯の平均的なケースでは、毎月の赤字が2万2270円です。65~95歳までの30年間として単純に計算すると、2万2270円×12ヶ月×30年=801万7200円の貯金があれば、不足分をギリギリ補えると考えられます。70歳時点では2万2270円×12ヶ月×25年=668万1000円、75歳時点では2万2270円×12ヶ月×20年=534万4800円が残っていればよい計算です。
ただし、病気やけがなどによる医療費、自宅のリフォーム費用、施設の入居費用など、一度に大きな支出が発生するケースも想定しておかなければなりません。安心して老後の生活を送るには、もう少し上乗せした金額の貯金が必要となるでしょう。
老後を迎えてからも生活資金を増やし続ける選択肢もある
老後、年金以外の収入がなくなると、老後のための貯金は減っていくばかりになります。老後を迎えるまでに十分な資金を用意できればよいですが、難しい場合は老後の生活を切り詰めるしかありません。
そこで検討したいのが、老後を迎えてからも資産運用を行い、継続して老後資金づくりをする選択肢です。運用でうまく資金を増やせれば、老後資金にゆとりが生まれるでしょう。
ただし、定年後の資産運用では、現役時代と比べて次のようなことに注意する必要があります。
●投資比率を高くしすぎない
●運用にかかるコストをおさえる
資産運用には、損失のリスクがつきものです。老後資金が目減りする危険を減らすために、投資比率はおさえるのが懸命といえます。また、金融機関を比較して手数料や口座管理料、信託報酬などのコストをおさえることも大切です。運用に際しては、税制メリットのあるNISAやiDeCoを活用すると節税しながら効率よく資産を運用できます。
老後用の貯金は使うだけでなく運用で増やすことも考えよう
70歳・75歳~95歳までの必要な貯金残高を、総務省統計局の家計調査年報をもとに単純計算した結果、70歳が668万1000円、75歳が534万4800円でした。
老後の収支が赤字の場合、長い老後の生活費をまかなうためには大きな金額の貯金が必要となります。現役時代に自分の老後資金まで貯められればよいですが、住宅ローンや子どもの教育費などに手いっぱいで、十分な資金を用意できない人も多いでしょう。
資金が十分でないなかで老後の家計をうまく回していくためには、老後を迎えた後も資産を運用して増やす方法が一つの選択肢になります。投資に回す資産の比率を調整しながら、NISAやiDeCoも活用して、上手にやりくりできるバランスをみつけましょう。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー