職場の休憩時間が「2時間」なのですが、長くないですか? 拘束時間が長くてつらいので「拘束料」は請求できないのでしょうか…?
配信日: 2024.02.07 更新日: 2024.10.10
本記事では労働基準法による休憩時間の規定や、拘束時間が長いことによる手当などを請求できるのかについて解説します。
執筆者:山田麻耶(やまだ まや)
FP2級
休憩時間が1時間以上の職場もある?
東京都産業労働局が都内の3000事業所を対象に行った「労働時間管理に関する実態調査」によると、休憩時間を「1時間」としている事業所が75.9%と最も多く、次いで「45分~1時間未満」が11.0%という結果でした。8割以上の会社が45分以上1時間以内の休憩時間を設けているということになります。
一方で1時間を超える休憩時間を設けている会社もあります。同調査によると休憩時間を「1時間超~1.5時間未満」としている事業所は5.7%、「1.5時間以上」が1.4%でした。
午前と午後に診察があるクリニックや、アイドルタイムがある飲食店などは休憩時間が長い傾向にあるようです。また生産性向上のために、あえて3時間の休憩時間を設ける企業などもあります。
労働基準法における休憩時間のルール
何気なく仕事の休憩時間を過ごしているかもしれませんが、休憩時間についてはきちんと法律で取り決めがされています。
労働基準法第34条では、使用者が労働者に与えなければいけない休憩時間について次のように規定しています。
●労働時間が6時間を超える場合:45分以上
●労働時間が8時間を超える場合:60分以上
一定の労働時間を超えたら最低でも「45分以上」または「60分以上」の休憩を与えなければいけませんが、「○時間以下」のように休憩時間の上限時間までは定められているわけではありません。つまり、仮に休憩時間が2時間設けられていたとしても、労働基準法に反しているわけではないということです。
休憩時間が長い場合、拘束料は請求できる?
たとえ休憩時間が1時間以上あって拘束時間に不満を感じていても、会社に拘束料を請求することはできないでしょう。
なぜなら、原則として休憩時間は労働から解放されている時間であり、労働とはみなされないからです。また休憩時間の上限の規定はないため、休憩時間をどれだけ与えるかは会社の自由です。
ただし、休憩中にもかかわらず「いつでも対応できるように」など指示されている場合は、使用者の指揮下にあるとみなされるため労働時間に該当します。その場合は、いわゆる残業代や時間外手当などを請求できる可能性があります。
まとめ
労働基準法では休憩時間の上限は定められていません。2時間程度の休憩時間であれば、一般的には許容の範囲内といえます。拘束料として残業代などを請求することは難しいでしょう。
ただ業務から離れて休めるとはいえ、休憩時間が長くなるほど拘束時間が増え、プライベートの時間が減ってしまうことも事実です。あまりにも休憩時間が長いようであれば、労働契約の変更をお願いする、労働基準監督署に相談するといった方法を検討しても良いかもしれません。
出典
東京都産業労働局 労働時間管理に関する実態調査
e-Gov 法令検索 労働基準法
厚生労働省 休憩時間を分割する場合どのようなことに注意が必要でしょうか。
厚生労働省 労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い
執筆者:山田麻耶
FP2級