お金が貯まらないのには理由がある。 家計簿で「貯蓄の達人」への第一歩!
配信日: 2018.10.19 更新日: 2024.10.10
お金が貯まらない理由はいろいろ考えられますが、その一つは、貯蓄の目的がはっきり決まっていない、あるいは決まっていてもそれが見通しづらいからかもしれません。
どんなことでも目標があると、それを達成する確率が高まります。貯蓄の目標地点をはっきりと具体化することで、お金を貯めるという目標を達成しやすくすることが大切です。そのためには、家計簿を上手に利用するとよいでしょう。具体的にはどうすればよいのでしょうか。
Text:岩永真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/
まずは目標設定する
何のために、いつまでに、いくら貯めたいのか、を具体化し、一年あたり今いくら貯蓄すべきかを明らかにします。
例えば、
(1)子供の教育費:5年後までに、200万円を貯める場合
1年あたりの必要貯蓄額は、200万円÷5年=40万円です。
(2)住宅ローン繰上げ返済:10年後までに、500万円貯める場合
1年あたりの必要貯蓄額は、500万円÷10年=50万円です。
(1)(2)両方必要であれば、一年あたりの必要貯蓄額は40万円+50万円=90万円になります。
このように、目標が明確になれば、その目標に向けての年数から、一年あたりに必要な貯蓄額を割りだすことができます。一年あたりの貯蓄額がわかれば、あとはコツコツと実行あるのみです。
次に、家計の収入と支出(収支)がどうなっているのか、赤字か黒字かを確認する必要があります。赤字なら、その体質を黒字に変えなければ、貯蓄の目的が明確化されても、一生貯蓄をすることはできません。
家計簿は面倒、と思うかもしれませんが、家計簿があれば家計が赤字か黒字かをすぐに判断することができます。
家計簿を「正しく」利用する
家計簿は、ただつければよいというわけではありません。収支がわかるだけでよいわけでもありません。最終目的の「貯蓄の目標額を達成する」ためのツールとして利用してこそ、その真価を発揮するのです。
一年間の貯蓄額を確保できるように、それぞれの支出項目の予算を決め、毎月あるいは毎週、予算通りにいっているかを確認します。
紙ベースで手計算する家計簿は、予算と実際の支出との比較はやや面倒かもしれませんが、家計簿ソフトや家計簿アプリなどを利用すれば、予算を入力すると実際の支出との予算比を自動計算してくれるものがほとんどですので、簡単に実行できます。
予算をオーバーするようなら、無駄な支出がないかもう一度見直して予算内におさめる工夫をしましょう。それでも予算内でのやりくりが難しければ、再度予算を見直して他の支出項目から削れるものはないかを検討して、貯蓄額を確保するようにします。
それでも、どうしてもうまくいかない場合は、例えば副収入を得るなど、収入を増やす工夫ができないか考えるとよいでしょう。
大切なのは、
・貯蓄額を確保できるように予算を立てる
・家計簿(ソフトやアプリ)を利用して、実行度合をその都度チェックできる体制を整える
・予定通りできていなければ、すぐに予算内でおさまるように支出をコントロールして、年末には計画通り目標貯蓄額を達成すること
です。
家計簿アプリのメリット・デメリット
家計簿は敷居が高いと思う人でも、家計簿アプリなら始めやすいかもしれません。レシート入力機能があるものは、面倒な入力も瞬時に完了することができます。
計算ミスがなく、予算比を自動的に計算してくれるので、目標達成に向けての自分の立ち位置がわかります。グラフを作成してくれるものもあり、家計の見える化が容易にできることも特徴です。
貯蓄の目的には、子供の教育費や住宅費など、家族の目標であることも多いでしょう。家計簿アプリは、パソコンやタブレットなど6つの端末まで利用可能なものが多いため、夫婦間で共有することもできます。
ただし、夫婦間でお金や人生に対する価値観が違うと、家計簿共有がトラブルになることも考えられますので、注意が必要です。
Text:岩永 真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士