更新日: 2024.10.10 働き方
アパレル販売の仕事をしています。かなりの安月給なのに、自社ブランドの服を自腹で購入して着用しないといけないのがキツイです。法律的に問題はないのでしょうか?
ここでは、アパレル販売員のケースを取り上げます。自社ブランド服の自腹購入による着用について、違法にならないかも含めて検証していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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いわゆる「自爆営業」が問題視されている
企業の経営や規模拡大のためには、販売利益を上げていく必要があります。自社ブランド販売に力を入れるのは言うまでもないでしょう。商品販売の最前線に立つ営業職だけでなく、社内一丸となって取り組む姿勢も重要です。このような背景もあり、ノルマを設定されることはめずらしくありません。
ただ、それを個人目標として捉えた結果、目標未達への後ろめたさから自爆営業を選ぶ人が出てくるのも事実です。特に、責任感の強い人はそのような傾向がみられます。
質問者のケースは自社ブランドを自腹購入して着用する必要があり、安給料で割に合わないため不満に思っています。勤務先に社内割引(社割)があるかどうかは不明ですが、社割を使っても出費がキツイ人も多いでしょう。自社ブランドの衣類はプライベートでも着用できるので無駄にはなりません。
しかし、必要としないものまで購入させられるのなら、お金の無駄遣いだけにとどまらず、生活自体が成り立たなくなる恐れもでてきます。自爆営業の実態を受け、内閣府は「パワハラ防止指針に位置付けるべき」だと動きだしています。
自爆営業が法律に触れる可能性も
「自爆営業」とは販売ノルマを穴埋めするために、自腹で商品やサービスを購入することをいいます。ただ、自爆営業かどうかの線引きに迷うケースも少なくありません。しかし、自爆営業だとの認識があり、強いストレスを感じるのなら、泣き寝入りしないでしっかりと向き合うことが大切です。アパレルショップでの自爆営業は以下の法律に触れる可能性があります。
自社ブランドの衣服の購入を強制された場合、「労働基準法89条第5号」(就業規則作成及び届出の義務)や「同法第24条」(賃金の支払)に抵触する可能性が大きいです。制服代として労働者に負担させた場合は前者に、給料から天引きされた場合は後者に該当します。
ノルマ設定自体は適法ですが、ノルマを課すことは違法であり「労働基準法第16条」(賠償予定の禁止)に触れるものだと認識しておきましょう。
また、経営者や上司が不要な商品の購入を強制することはパワーハラスメントとなり、「労働施策総合推進法第30条の2第1項」の違反になる可能性もでてきます。さらに、同様の行為が悪質な場合は脅迫罪となり「刑法第223条」が適用されることもあるのです。
自爆営業への対処法は
職場内の空気や上司からの圧力に耐え切れず、自爆営業する人もいるでしょう。そのために給料の多くを費やしたり、借金をしたりするのは絶対に避ける必要があります。自爆営業を迫られても安易に応じないで、販売に有益な方法を提案することを考えましょう。
また、上司からの自爆営業を断れないときは、さらに上の人や経営者に相談することも大切です。その場合、自分一人だけでは言いにくいため、同じ悩みを持つ人と歩調を合わせましょう。
商品を購入した証拠(レシートなど)、ノルマに関する掲示物の写真、上司から浴びせられた暴言の音声データなど、第三者が自爆営業を認識できるための証拠集めも重要です。もし、職場内で解決できない場合は、労働基準監督署への相談を検討しましょう。
自爆営業は違法!関係法規を理解したうえで対処しよう
勤務先の売り上げに貢献するために自社商品を愛用することは大事ですが、ノルマ達成のために自爆営業することは望ましいとはいえません。ノルマの強要は違法行為です。
また、ノルマを課すことが法に触れる可能性についても知っておきましょう。そのうえで、ノルマの圧力に応じない、信頼できる役員などへの相談、労働基準監督署への相談など、適切な方法での対処をおすすめします。
出典
内閣府ホームページ 後を絶たない自爆営業
P1 P4 P8
e-Gov法令検索 労働基準法
e-GOV法令検索 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律
第三十条の二
e-GOV法令検索 刑法
第三十二条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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