更新日: 2024.10.10 働き方

アルバイト先の「販売ノルマ」を達成できず、「売れ残り」を買わされます……そもそもペナルティーや購入の強要ってありなのでしょうか?

アルバイト先の「販売ノルマ」を達成できず、「売れ残り」を買わされます……そもそもペナルティーや購入の強要ってありなのでしょうか?
コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売店でアルバイトをしていると、クリスマスケーキやおせちといった季節限定の商品を販売することもあります。
 
「明日までに100個売り切って」とノルマを課せられたり、売れ残ったら自腹で購入させられたりしたという経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
 
「ノルマを達成できない自分が悪い」「アルバイト先の命令に抵抗できない」と思ってしまうかもしれませんが、売れ残りを購入する義務はあるのでしょうか。
 
この記事では、アルバイトがノルマを背負う必要があるのか、売れ残りを購入しなければならないのかについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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ノルマや売り上げ目標を達成する義務はない

結論から言うと、アルバイト先が、アルバイトにノルマや売り上げ目標を設定すること自体に問題ありません。
 
正社員はもちろん、アルバイトやパートなどを含む労働者は、会社と労働契約を結んでいます。労働契約がある場合、会社は業務遂行のために労働者に対して指示または命令を行える「業務命令権」を持っています。
 
季節限定の商品は、一般的に季節を過ぎると売れ行きが落ちるため、アルバイト先も売れる時期に販売しきる努力をします。ノルマや目標を掲げ、達成のために努力するよう指示することは、売り上げを伸ばすために必要な場面もあるでしょう。
 
しかし、労働契約によって労働者は「労働する義務」はありますが、「成果を出す義務」はありません。そのため、ノルマや目標が設定されていても、達成する義務はないとされる可能性が高いでしょう。
 

ノルマや買い取りの強要は違法行為に該当する可能性がある

売り上げ目標やノルマを設定すること自体に問題はありませんが、未達だった際にペナルティーを課す、売れ残った際に商品の購入を強要するといった行為は違法行為に当たる可能性があります。
 
ノルマを達成できなければ罰金を払わせる、給与を差し引くといったペナルティーを課すことは、労働基準法第十六条の「賠償予定の禁止」に抵触する可能性のある行為です。
 
「賠償予定の禁止」を詳しく見てみると、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」とされており労働契約をする際、契約に違反した場合の違約金をあらかじめ定めておくことを禁止しているからです。
 
また、刑法第二百二十三条では「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。」と定められており、労働者に売れ残った商品の購入を強要する行為はこれに該当する可能性があります。
 
「売れ残りを買わないとクビにする」といった、強制するような発言をした場合も同様です。以上のことから、ノルマを達成できなくても商品は買い取る必要はないと考えられます。
 

ノルマを達成できなくても、売れ残りを購入する必要はないケースがほとんど

アルバイトをしている勤務先でのノルマは、法律の面では達成義務はありません。労働契約によって労働者は、労働する義務はありますが、成果を出す義務はないのです。アルバイト先が売れ残った商品を購入するよう強要するのは、違法行為に当たる可能性があります。
 
「ノルマを達成できなかったのは自分が悪いから買い取らなければ」と、責任を感じて売れ残った商品を買い取る必要はないでしょう。買い取りを断ってもしつこく強要される場合は、一人で悩まず、アルバイト先の本部や、国の相談機関に相談しましょう。
 

出典

厚生労働省 労働基準法(昭和二十二年四月七日)(法律第四十九号) (賠償予定の禁止) 第十六条
e-Gov法令検索 明治四十年法律第四十五号 刑法 第二百二十三条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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