更新日: 2024.04.16 貯金

おひとりさまは「貯蓄1000万円」あれば老後は安泰? 賃貸でも暮らしていける? 年金・生活費の平均をもとに検証

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

おひとりさまは「貯蓄1000万円」あれば老後は安泰? 賃貸でも暮らしていける? 年金・生活費の平均をもとに検証
以前、老後に2000万円の貯蓄が必要という「老後2000万円問題」が話題となりました。この金額は夫婦2人分のことですが、1人なら半分の1000万円の貯蓄があれば大丈夫なのでしょうか?
 
本記事では、会社員で単身の人が65歳以降、年金と1000万円の貯蓄で暮らしていけるのかを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

老後に必要な生活費はいくらか

老後に必要な生活費は、人によってさまざまですが、今回は総務省の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」を基に、平均的な場合について見ていきます。
 
本報告によると、65歳以上の単身無職世帯の平均的な支出は毎月15万7673円です。ただし、この金額はあくまでも平均であり、世帯によっては大きく平均と乖離すると考えられます。というのも、この平均支出に含まれる住居に関する費用は持ち家のケースも含まれているため、住居費の平均が約1万2000円と少なくなっているからです。
 
賃貸物件の家賃は一般的には1万2000円以上かかりますので、賃貸物件に住む場合、支出も毎月15万7673円よりは上がると考えておいたほうが良いでしょう。
 

会社員の年金受給額はいくらか

会社員は国民年金と厚生年金に加入しており、老後は原則として65歳以降、老齢基礎年金と老齢厚生年金を生涯受け取れます。
 
そして、会社員が老後に受け取る年金の受給額は、年金に加入していた期間や収入の多さによって異なります。今回は平均値として、厚生労働省の「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」の平均年金月額を参考にしていきます。
 
それによると、老齢厚生年金の平均受給額は老齢基礎年金と合わせ、月額で14万4982円です。
 

1000万円の貯蓄で毎月の赤字額を何歳まで貯蓄でまかなえるか

今回の前提における平均値で見ると、「おひとりさま」の65歳以降の支出は毎月15万7673円、年金収入は14万4982円です。つまり、毎月の赤字額は1万2691円です。
 
貯蓄が1000万円あれば、この毎月の赤字額は788ヶ月補填することができ、年数にすると約66年です。そのため、65歳まで働いて生活費を工面すれば、その後は貯蓄の1000万円で赤字を補填すると、計算上は131歳まで暮らしていけます。
 
現在の平均寿命を考慮すると、平均的な支出と年金収入の場合、貯蓄が1000万円あれば、十分老後は暮らしていけるといえそうです。
 

実際に暮らしていけるかどうかは自身に合わせてシミュレーションが必要

平均的な65歳以上の単身無職世帯の支出と年金収入で計算すると、基本的には貯蓄が1000万円あれば老後は安泰といえそうです。
 
ただ、実際にはこのシミュレーションよりも支出が多い場合や、収入が少ない場合は多々あります。
 
例えば支出について、先述のとおり住居費は1万2000円程度で計算しています。仮に賃貸で家賃が毎月6万2000円だとすると、毎月の支出が5万円増えてしまいます。この場合、貯蓄が1000万円あっても13年程度しか対応できません。
 
収入についても、会社員ではなく自営業者の場合、老齢基礎年金のみとなるため老後に受け取れる年金額は会社員ほど多くはありません。
 
気になる人は本記事を参考に、実際に自分の場合に暮らしていけるかをシミュレーションしてみましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告〔 家計収支編〕 2023年(令和5年)平均結果の概要
厚生労働省 令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況 (年金の平均額)
厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

ライターさん募集