更新日: 2024.04.23 働き方

「退職金がない会社」に25年勤めています。今さらですが”転職”したほうがよいのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「退職金がない会社」に25年勤めています。今さらですが”転職”したほうがよいのでしょうか?
老後資金として退職金をあてにしている方も多くいらっしゃるでしょう。
 
しかし、すべての会社が退職金制度を導入しているわけではありません。退職金がない会社に何十年も務めている方の中には、このままでいいのか将来が不安になる方もいらっしゃるでしょう。
 
そこで今回は、退職金制度の普及状況について調べてみました。老後に備えて退職金のある会社に転職する際に、考えておくといいポイントについてもご紹介しますので、参考にしてみてください。
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退職金なしの会社はどれくらいある? もらえるとしたらいくら?

老後資金としてあてにされることの多い退職金ですが、すべての会社でもらえるわけではありません。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査の概況」によると、退職金制度がある会社は74.9%であるとのことです。
 
企業規模ごとに退職金制度がある会社の割合をまとめると、以下の通りです。


・1000人以上:90.1%
・300~999人:88.8%
・100~299人:84.7%
・30~99人:70.1%

全体の約4分の1の会社は退職金制度を導入しておらず、企業規模が小さい会社で導入していない割合が増えていることが分かります。
 
退職金制度を導入している会社に勤めている場合、定年退職すると退職金はいくらくらいもらえるのか気になる方もいらっしゃるでしょう。同調査によると、勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者に給付された退職金の平均は表1の通りです。
 
表1

勤続年数 大学・大学院卒業
(管理・事務・技術職)
高校卒業
(管理・事務・技術職)
高校卒業
(現業職)
20~24年 1021万円 557万円 406万円
25~29年 1559万円 618万円 555万円
30~34年 1891万円 1094万円 800万円
35年以上 2037万円 1909万円 1471万円

※厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」を基に筆者作成
 
退職金制度のある会社に25年勤務している方の場合、学歴や職種にもよりますが、既に555万~1559万円ほど、勤続年数を増やせばさらに多くの退職金をもらえる可能性があることが分かります。
 

退職金なしの会社に25年……。転職したほうがいい? 考えておくべきポイント

25年間勤めた会社を辞めて、退職金のある会社に転職することを考えている方もいらっしゃるでしょう。その場合は、以下の点に注意が必要です。
 

転職先でもらえる退職金は割に合うか

退職金は勤続年数や功績などによって支給額が決まるため、転職後何年働けるか、また退職金の目安も考えておく必要があるでしょう。厚生労働省 中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」によると、勤続年数ごとのモデル退職金額は表2の通りです。
 
表2

勤続年数 事務・技術(総合職)
・大学卒業
事務・技術(総合職)
・高校卒業
生産・高校卒業
3年 69万円 52万2000円 54万9000円
5年 118万円 89万4000円 95万円
10年 310万2000円 214万2000円 240万1000円
15年 577万9000円 403万5000円 422万4000円
20年 953万1000円 664万7000円 690万9000円

※中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査(確報)『令和3年退職金、年金及び定年制事情調査』調査結果の概要」を基に筆者作成
 
退職金のある会社に転職した場合、この先10年務めた場合の退職金は200万~300万円程度、15年で400万~600万円程度です。
 
もちろんこれはあくまでモデル退職金額で、実際は会社ごとに異なりますが、定年までの年数ともらえる金額目安も考慮に入れて、25年間勤めた会社を辞めるだけの価値があるか検討できるでしょう。
 
現職では、退職金制度がない代わりに報酬や待遇面で優遇されている可能性もあるため、退職金だけでなく福利厚生や働きやすさなども含めて総合的に考えることが大切です。
 

転職以外の対策も検討できる

退職金がないことで定年後の生活が心配だという方は、以下のような方法で年金額を増やす方法も検討できます。
 

・年金を繰下げ受給する

日本年金機構によると、「老齢基礎(厚生)年金を65歳で受け取らずに66歳以降75歳までの間で繰り下げて受け取るようにすることができます。繰り下げた機関によって年金額が増額され、その増額率は一生変わりません。」とされています。
 

・厚生年金に長く加入する

60歳を過ぎてからも、厚生年金の適用事業所で働いて厚生年金に加入することで、将来の年金受給額を増やせます。
 

・iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する

iDeCoは、公的年金とは別に給付を受けられる私的年金制度の一つです。任意で加入して、公的年金と組み合わせることで、老後生活に備えることができます。
 

退職金がない場合でも長く勤めた会社からの転職は慎重に!

退職金がないという理由だけで、25年のように長い間勤めた会社から転職する際は、慎重に考える必要があります。
 
転職先の会社で退職金制度があったとしても、勤続年数によっては期待しているほどの金額がもらえない可能性があります。また、現職は退職金制度がない代わりに、報酬やそのほかの待遇面で還元しているかもしれず、転職することが必ずしも最良の選択とは限りません。
 
働きやすさや報酬など、現職のメリットも含めて総合的に考え、年金額を増やすなど転職以外の対策も検討してみるといいでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年就労条件総合調査の概況(12.18ページ)
厚生労働省 中央労働委員会 令和3年賃金事情等総合調査(確報)〔賃金事情等総合調査〕「令和3年退職金、年金及び定年制事情調査」〔調査結果の概要〕(8ページ)
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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