更新日: 2024.06.04 働き方

バイトの給料を間違えて1万円多く振り込んでしまいました。過払い分の「返還請求」はできますか?

バイトの給料を間違えて1万円多く振り込んでしまいました。過払い分の「返還請求」はできますか?
本来振り込むはずの給料以上の金額を誤って従業員の口座に振り込んでしまった場合、その過払い分を返還してもらえるのか気になる方もいるでしょう。会社側のミスではありますが、基本的には従業員に対して過払い金の返還請求ができます。
 
今回は、給料の過払い金の返還についての内容や、回収方法、注意点について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

払いすぎた金額は返還請求できる?

給料を誤って多く振り込んでしまった場合は、原則返還請求が可能です。本来得るはずのない利益を不当に得た場合は、返還しなければいけないと民法第703条にも明記されています。もし、従業員が会社からの返還要望に応じない場合は、内容証明の送付や民事訴訟を起こして返還してもらう方法もあります。
 

払いすぎた金額の回収方法

払いすぎた金額を回収する方法としては、以下の2つの方法が考えられます。
 

・現金で返してもらう
・次回以降の給与から払いすぎた金額分を差し引く

 
まずは、従業員に対して謝罪やおわびを添えて、返還をお願いする内容を記載した文書を送付しましょう。従業員が金額的に現金での返還が難しい場合は、給料から差し引く方法となりますが、労働基準法第24条の「賃金の支払」に、給料は全額支払わなければならないと明記されているため、本来であれば給料から差し引いて返還してもらうことはできません。
 
ただし、会社と従業員との間に労使協定がある場合や、給料から差し引いても生活が困難にならない場合は、例外的に認められる可能性もあります。給料の振り込みミスにならないようにするのはもちろんですが、もしものケースも想定して、労使協定をあらかじめ結んでおくとよいでしょう。
 

従業員が払いすぎた金額を使用した場合の対処法

従業員が本来支給されるはずのないお金を使用してしまった場合でも、返還請求はできます。故意的ではないと判断された場合は過払い分だけの請求のみになりますが、もし故意的に使用したと判断された場合は返してもらう金額に利息を上乗せして請求できる可能性もあります。
 
会社側がミスをしたことは悪いですが、従業員側も不当な利益と知ったうえで使用してしまうと、余計に負担が増えてしまったり、会社との関係が悪化してしまったりするリスクもある点には注意が必要です。
 

払いすぎた金額の返還請求には期限が設けられている

払いすぎた金額の返還には時効が決められており、民法第166条の債権等の消滅時効にも明記されています。具体的には、以下のように定められています。
 

・債権者が権利を行使できると知った日から5年間
・権利を行使できるタイミングから10年間

 
今回の場合でいうと、会社側が給料の過払いに気づいたタイミングから5年間または、従業員に対して過払い分を含んだ給料を支払ったタイミングから10年間です。
 

払いすぎた給料がある場合は、従業員に対して不当利得返還請求できる

もし、誤って給料を払いすぎてしまった場合、会社側は従業員に対して過払い分の金額の返還請求ができます。これは民法で定められており、従業員側は原則拒否できません。
 
会社側は従業員側と返還請求に関しての労使協定を結んでいない場合は、返還対応が複雑化してしまう可能性もあるため、もしものケースも想定して労使協定を結んでおくと安心でしょう。また、不当利得返還請求には時効が設けられている点にも注意が必要です。
 

出典

デジタル庁 e-Gov法令検索 民法 明治二十九年法律第八十九号 第一編 総則 第七章 時効 第三節 消滅時効(債権等の消滅時効)第百六十六条
デジタル庁 e-Gov法令検索 民法 明治二十九年法律第八十九号 第三編 債権 第四章 不当利得(不当利得の返還義務)第七百三条
デジタル庁 e-Gov法令検索 労働基準法 昭和二十二年法律第四十九号 第三章 賃金(賃金の支払)第二十四条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

ライターさん募集