有休が「1ヶ月」残っていますが、すべて消化して「ボーナス全額」をもらって退職したいです。退職するタイミングはいつがベストでしょうか?
配信日: 2024.06.28 更新日: 2024.10.10
転職する際には転職先の選定だけでなく、現在勤めている会社を退職するタイミングも重要となるでしょう。特に、ボーナスを支給されるか否かが転職のタイミングによって左右される場合は、退職時期は転職者にとって重要なポイントです。
本記事では、転職などで勤めている会社を退職する際に損しないよう気を付けるべきポイントを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
ボーナスについては法律上の定めがないため就業規則を確認すべき
実は、ボーナスについては支給に関する明確な法律が存在しません。労働基準法でも毎月の給与や労働時間などに関する内容は定められていますが、ボーナスに関する規定はありません。
ボーナスの計算方法や支給条件については、会社が自由に定めることができるため、まずは自分の会社の就業規則を確認することが大切です。
ボーナスを受け取るポイントは「在籍」しているか否か
就業規則の中で「賞与支給日在籍要件」がある場合は、ボーナス支給日に「在籍している」必要があるため、退職を考えている場合は注意が必要です。最終出社日ではなく、有給休暇消化期間中でもよいので会社に「在籍」しているかがポイントです。
例えば、会社のボーナス支給日が6月30日で有給休暇の残りが事例のように1ヶ月残っている場合は、最終出社日を5月末として、それ以降に有給休暇を全て消化すればボーナスを全額受け取れる可能性が高いです。
この場合、6月は1度も出社しませんが、有給期間消化となりボーナス支給日時点で会社に在籍していることになるためボーナス支給対象になると考えられます。
つまり、支給日前に退職してしまうと、ボーナスは受け取れない可能性が高いです。逆に、賞与支給日在籍要件がない場合には、ボーナス支給日時点で在籍していなくても、ボーナス算定期間分の支給を受けられる可能性があります。
まずは勤めている会社の就業規則を確認し、分からない点は人事部などに相談してみましょう。
就業規則にボーナスの役割がどのように定められているか確認が必要
ボーナスは基本的に査定期間が設けられています。査定期間の定めは会社によってさまざまです。ボーナスの性質も「過去の貢献に対する支払い」と「将来の期待を含めた支払い」どちらの性質をもっているかは企業の定める就業規則によって異なります。
「過去の貢献に対する支払い」をベースにしたボーナス支給を就業規則に定めている場合は、退職までに働いた分の貢献を評価してくれることが多いため、トラブルは少ないでしょう。逆に、「将来の期待を含めた支払い」をベースにしたボーナス支給を就業規則に定めている場合は、注意が必要です。
実際に過去には、退職予定者に対して、他の正社員とは別の計算方法でボーナスを支給することを就業規則に定めており、退職者のボーナスを82%減額することについて争った判例が存在します。
結果としては、退職予定者とその他の社員で賞与額に差を設けること自体は不合理ではないが、限度は2割が妥当という判決が下されました。就業規則にボーナスの役割がどのように記載されているかは退職前に確認しておきましょう。
就業規則を確認したうえで円満退職に向けて逆算した退職計画を
ボーナス支給と退職日の最適解は、勤めている企業の定めにより異なります。
そのため、まずボーナス支給日と査定期間、性質を調べ、ボーナス支給日に関する要件を就業規則で確認する、有給休暇の残日数を確認して逆算した退職日を計画する、上司に退職の意思を伝えるといった順番で動くことで、ボーナスをもらいつつ有給休暇も消化して円満な退職をすることができるでしょう。
出典
総務省統計局労働力人口統計室 直近の転職者及び転職等希望者の動向について
公益団法人全国労働基準関係団体連合会 労働基準判例 ベネッセコーポレーション事件
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー